小人のいい日 (3)
- カテゴリ:自作小説
- 2023/08/15 07:18:36
今日はふたりで朝からのんびりしている。
レコードプレイヤーでBon Iverを聴いてる。
彼女は、この曲好きだな、ぼくは。と言って、身体をのばした。
「Wash.」という曲だ。
そろそろ朝ごはんにしようか。
と、コーヒーを入れる。
パンと目玉焼き、それからヨーグルト。
彼女はブラックベリーを入れたヨーグルトが好きだ。
彼女はぼくの隣でねむたそうな眼でもぐもぐとパンを食べている。
あんまり可愛いので顔にキスをしたら、怒られた。
ほっぺにキスがしたくても小人なので、顔中にキスをすることになってしまうので、食べてる最中に急にでかい唇で顔面にキスをされたもんだから、驚いたのだろう。
ぼくが食べてるときにはキスしないでよ!びっくりするじゃないか!
ごめんね。と笑いながらこたえた。
それから、昨日買ってきたローレンス.ブコワスキーの「私は妖精と暮らした。」を机の上に広げて辞書を片手に二人でゆっくりと読んでみた。
ロンドンの図書館での司書の仕事を引退し、南フランスのアルルという町に移り住んだローレンスはある雨の日、窓の外のでっぱりに力なく横たわっている小さな女を発見する。
「女は身長が15cmほどの小さな人間で背中に鳥のような翼があった。
彼女はケガをしているようで、ぐったりと意識無く力が抜けていた。
雨に濡れてからだは冷えて白くなっていた。
私は彼女の布切れで出来た祖末な服を脱がして、洗面器にお湯をはってその中に入れてやった。
頭まで沈まないように指でおさえながら様子を見ていると、やわやわと身体があたたまってほほに少し赤みがさしてきた。
依然、彼女の意識は無い。
10分も身体をお湯につからせたあと、身体をていねいにふいて、翼もきれいにふき、やわらかいタオルで身体をくるんで自分のベッドの枕の上に寝かせた。
春なのであまり使わなくなっていた暖炉に火を入れて部屋を暖めた。
その日は雨で冷え込んでいた。」
話はそこから始まり、ローレンスと妖精の関係はまるでおれと彼女の関係のようにともだちから恋人へ、そして恋人からもっと濃度の高いものへと変化していく。
その日々の生活をローレンスはつづり、出版したものだった。
おれたちは夢中になりこの本を読んだ。
読み終えるころには午後3時をまわっていた。
彼の名前をインターネットで検索すると、「私は妖精と暮らした。」の他にもう一冊、「妖精リリアンのふるさと」という本が出版されていた。
彼のホームページを探したが、無いようだった。
おれたちは二人でぜひ彼に会いたい、と思い、話し合った。
出版元へ電話し、彼に連絡を取りたい旨を伝えると快く住所と電話番号を教えてくれた。
おれたちは彼に手紙を書いた。
早速、電話をしてもよかったのだが、なにか彼には手紙のほうがよい手段に思われたのだ。
このことについてもふたりで話し合った結果、ふたりとも同じように考えた。
「いたずらに思われてしまうかもしれないが、私も小人と暮らしている。ぜひ二人であなたを訪ねたい。」
という内容をつづった。
その下に彼女は彼女の言語で、
「ぼくは本当に実在するのだろうか?いつもそんな不安に襲われることがある。あなたにぜひその妖精の彼女のことをもっと詳しく直接お聞きしたい。」
と書き、その下におれの翻訳をつけた。
思っていたよりもずっと長い手紙になり、便せん5枚になってしまった。
ふたりで郵便局へ行き、手紙を投函した。
帰り道、公園で花をつみ、小川で遊んだ。
農家へよって、不要になったわらの束をもらう。
それを担いで家へ帰り、馬のエサにした。
ふたりは今日に満足していた。
おれはそれから小説の続きを書いて、日本へFaxした。
彼女はもう一度「私は妖精と暮らした。」を読みなおしていた。
ありがとうございます〜(^ー^)
なるほど〜。
それって、でも女の子にとってだけではないです。
おれにとっても南フランスはかな〜り魅力的な場所です〜!
行ってみたいな〜。。
なので、作中の彼らがうらやましいです!
わかりました。
ありがとうございます!
でも、この小説には、彼らが現在住んでいる場所をどこにも明記してなくて、「森と湖の多い美しい国に着いた。」としか書いてないんですね。
それはできるだけ説明をなくして、シンプルな文章にしたかったからだから、それはそれで良いんだけど、でも、どこかに北欧と入れないと、誤解を招いて当然だと思ったんです。
なので、次のお話にちょっとだけ手を入れて、北欧と入れてみました。
やはり、読んでもらうのに、おれだけがわかってる独りよがりじゃダメで、ある程度のわかりやすさも必要だと思うんですよね。
考えさせていただいて、ありがとうございます!
素敵な小説を書きたいので、いろいろ言っていただけると何かのヒントになります〜(^ー^)
私、感想を書いてから、「ア!ここは、南フランスじゃないんだ」って
すぐに気がついたんです・・
ただ、南フランスって言葉、これ、女性にとっては、
すご~~く、すご~~くロマンチックで(笑)
勝手に、憧れが高まってしまう地名なんですよ。
だから、ついつい、先走ってしまうのかも。
はい、たぶん、おっしゃる通り、イメージやその光景が先にあって、それを言語化してたように思います。
だいぶ昔のことなので、うる覚えですが。。
でも、おっしゃっておられることはその通りだと思います。
書いてる最中、その風景を思い浮かべていますので。
あ、ちなみに、まだ南フランスには行ってません。
たぶん、おれの書き方が甘くて、誤解を招くんでしょうね。。すいません。。
彼らが住んでいるのは北欧のどこかの国、たぶん、現実には存在していないこの小説内にしか存在していない国だと思います。
その本の作者に会いに、これから南フランスへ行くところなんです。
う〜ん、他の方も彼らがフランスに住んでると誤解なさっていたから、おれの書き方がそう思わせてしまうんだろうな〜。。
序盤のどこかに北欧に住んでることをほのめかす文章を入れるべきでしたね〜。
小説って難しいんだな〜!
とにかく、読んでいただいて、ありがとうございます!
不要になったわらの束
のどかな南フランスの田舎道を
歩く二人の姿は、童話の中の
挿絵に、そのまま転じそう。
いや、逆かな?
童話の中の挿絵が、姿をもって
現れたのか・・・
そんな雰囲気
読んでいただいて、ありがとうございます!
嬉しいです(^ー^)
はい、ローレンスさんが住んでいるところは南フランスですが、主人公の彼と小人が住んでいるところは北欧のどこかの国と思われます。
たぶん、小説の中にしか実在していない国かと思われます(^ー^)
妖精と言ったらイギリスかアイルランド、というイメージですが、小説の舞台は南フランスなんですね。
景色が美しいイメージなので、確かにそちらにもいておかしくない気がします。