小人との結婚 (1)
- カテゴリ:自作小説
- 2023/08/11 23:18:47
たぶん、10年くらい前に書いた小説なんだけど、一応連載小説みたいな形で書いてある。結構気に入ってる話なので、今日から、その連載をスタートするね。
タイトルは「小人〜〜〜〜」とはじめに「小人」をつけて、最後に(1)とか(2)とか、連載の何番目かを示す数字を書いたら、もしも、誰かが初めから読みたいときに読めるようにしておくね。
それでは、連載第一回目。
「小人との結婚」
あれ?
浜辺をさんぽしていると、波打ち際に小人が横たわっていた。
手のひらに乗せられるほどのほんの小さな人間の女だ。
手のひらに乗せられるほどのほんの小さな人間の女だ。
小人はおれに何か話しかけようとしてきたけど、そのとたんに波にさらわれて流されていった。
おれはあわてて海へ入り、両手で小人をすくいあげた。
小人は突然の出来事にびっくりしたようで、わたわたと手足を動かしていた。
もうだいじょぶだよ。
と声をかけると、やっと落ち着いた様子で、おれに礼を言った。
聞いたことのない言語だったけど、すんなりと理解できた。
小人は言った。
ぼくはひとりぼっちなんだ。ともだちになってくれないかい?
おれは、いいよ。と答えた。
おれは小人とともだちになった。
あるときは胸ポケットに入れて、あるときは肩にのせて歩いた。
小人は自分のことを、ぼく、と言うが女に見えた。
小人の言語には男言葉、女言葉、というものは無いようだった。
それから、近いものも遠いものも全部、あれ、と言った。
日本語に訳すと、そうとしか思えない言い回しなのだ。
小人はおれに恋をした。
おれも小人に恋をした。
彼女に服を作ってあげた。
おれはもともと手先が器用でものを作るのが好きなので、自分のTシャツやズボン、リュックの切れ端などを使って、いろんな服を作ってあげた。
彼女はとても喜んで、鏡の前で踊った。
小人独特の踊りらしく、見たこともないリズムと動きでずーっと見てしまうほど美しかった。
彼女はおれに愛している。と毎朝言った。
おれは彼女に愛している。と毎晩言った。
ひと月が過ぎ、ふた月が過ぎ、小人はいつの間にか、もうおれの持っている750mlの黄色い水筒と同じくらいの大きさになっていた。
成長しているというより、なんらかの事情で縮んでしまっていた体が元の大きさに戻ったって感じだ。そして、それ以上は大きくならなかった。
ある日、彼女はしくしくと泣いていた。
細くて白い肩が震えていた。
どうしたの?とたずねると、彼女はおれと結婚ができないことが悲しい。と答えた。
おれは彼女をつれて役場へ行った。
役場で婚姻届を書いて提出したが、受理されなかった。
小人との結婚は法律で認められていないとのことだ。
役人は彼女のことを好奇の目でじろじろと眺めて、にやにやと笑った。
おれと小人は二人一緒に役人に中指を立てて、役場を出て、家へ帰った。
彼女はおれに、自分が小人であることを謝った。
おれは彼女に、自分が小人でないことを謝った。
ふたりでこの国を出ることに決めた。
彼女は税関の係員に気づかれないよう、ゲートをくぐりぬけ、すばやくおれの右足のポケットへ潜り込んだ。
彼女はポケットの中から顔だけを出して、係員に舌を出した。
ぼくは外国へ行くよ。とはしゃいだ声で叫んだ。
係員はこちらを見て、首をかしげていた。
森と湖の多い美しい国に着いた。
湖のほとりに家を建て、大きな馬を飼った。
馬に乗り、森を探索して、湖で釣りをした。
毎日セックスをした。
どうやってするかは秘密だ。
素敵な毎日だった。
おれは小説を書いて、日本へ送った。
彼女のことを書いた小説だ。
おれには彼女のこと以外を題材にした小説は書けなかった。
しかし、彼女のことを題材にした小説ならいくらでも書けた。
おお〜〜、、、まるで、本当のプロの小説を読んだ時のような感想をいただけて、感激です(涙)
出版しちゃおうかしら。。ふふ。
自分が好きでやっていることを褒めていただけると、とっても嬉しいですね〜!
ありがとうございます!
ファンタジックな中に、普通の生活がフワフワ
と、浮かんでいるような。それが、とっても自然で。
場面が浮かんで来ました。
ケニーさんの小説は、すぐに中に溶け込めます。
私自身が、ちかくでそれを見て居るような感覚に
陥ります。
なるほど〜。
全然、考えてなかったけど、確かに。
はい、そのうちまた続きを載せますね〜!
読んでいただいて、ありがとうございます!
おれが小学生だった頃の中学生だったお姉ちゃんの部屋にありそうな漫画ですね(^ー^)
有閑倶楽部や花より団子、お父さんは心配性などがありました。
小人といえば、 僕の地球を守って っていうコミックを思い出しました
読んでいただいて、ありがとう!
はは、おれは知らないんです〜。
彼らの秘密らしいので(^ー^)