煙の行方 第八章
- カテゴリ:自作小説
- 2023/08/10 00:06:36
第八章
彼と向き合って話をしていた数時間は楽しかった。
そしてそれと同時に悲しくもあったのだ。
元カノさんの話やら、彼の抱えているストレスを
沢山話してくれた。
やはり、現状に生き辛さを感じている様だったが、
彼が常に笑顔でいる事に悲しみを感じずにはいられない私がいた。
「瑠偉は辛い事が多いのかもしれないね」そう私は言い、
彼は「そうだね」そんな言葉達を交わして過ごした。
「無理して笑う必要はないよ」私の言葉を聞いた瞬間に
彼は涙を流していた。
苦しいと感じている現状が、溢れ出してしまったのだろう。
泣いている彼を目の前にして私は咄嗟に背中をさすり、
「大丈夫だよ、思う存分泣きなね」そう伝えていた。
彼は安心したかの様に号泣してしまっていた。
そんな彼を見て、咄嗟に抱き締めてしまいたくなったが
その衝動だけは、怖くて出来ずにいた。
「辛かったね」彼の日頃のストレスを全部吐き出させられる様に私は努めた。
30分程は泣いていただろうか。
少しばかり落ち着きを取り戻したかの、いつもの事なのか
「ありがとう」そう言って悲しそうな目で笑って居た。
彼は無理をしてでも笑ってしまう、それを分かった上で
私は満面の笑みで「いつでも頼ってね」と伝えた。
長い時間同じ空間に居たように感じたが、恐らく30分程であろう頃に
私は「そろそろ帰ろうかな」そう伝えて、彼は「今日はありがとう」という言葉と共に
「駅まで送ろうか?」そんな優しさも伝えてくれた。
私は「大丈夫だよ、ありがとね」と彼へと返事をし、
帰る身支度を整えていた。
少し軽めのコートを羽織り、忘れ物がないかを確認し、
玄関へと向かった。
ブーツを履き始めた頃、彼のほんのりと香る香水が私を背後から包んだ。
彼の腕の中にすっぽりと収まってしまった私は「どうしたの?瑠偉?」と尋ね
「少しだけ、抱き締めさせてくれないかな」そう言って彼は私を抱き締めていた。
私は「…分かったよ」そう言って彼が私を包んでくれた腕を掴んでいた。
恐怖心など無く、そこには安心している自分が居る事に驚いたが、
数分の間、彼に抱き締められている時間は長く感じた。
「また会ってくれる?」そんな事を彼は言っていた。
その「言葉」が私は嬉しかったのだ。
「私を求めてくれる人がいる」と、そんな風にも感じていた。
こちらこそいつもありがとうございます。
小説 毎日の楽しみになっています。
自己中は他人を思いやれない 客観的にはまさにそれなのですが
自分では「あなたのためを思って」と押し付けになってたりするので怖いです。
色々考えると・・・
1人だったら誰も傷つけないし 傷つかないから それが一番楽かな
なんて思ってしまいます。
実際 今はお一人様が増えてますよね。
リアルの付き合いではなく すぐ関係性を切ることができる
ネット上だけの付き合いも人気のようで
まさにニコタやSNS メタバースなのではないのかな と 感じています。
私もどう付き合っていくのが正解なのか
私はネット依存じゃないのか 考えています。
こんなくだらないことにまで いつもお返事くださってありがとうございます。
私も精進できるよう頑張ります。
自分を求めてくれる人がいるのは 幸せですよね。
お互いに 心が溶け合っていくようで
今この時だけなのかもしれないけれど 読んでいて心が温かくなりました。
泣けることは いいことですよね。