Nicotto Town


どんぐりやボタンとか


メキシコの少年

今日は久しぶりに人手が足りなくて急遽呼び出されて仕事へ行った。

地下鉄に乗ると、客はかなり少なく、車両内には5人くらいがポツポツと席に座ってるだけだ。
ふと気づくと、斜め前に綺麗な女性が乗っていた。
歳のころは30くらいに見え、茶色がかった長い髪が素敵で、目が優しそう。
読書している。
綺麗で優しそうな人だな。。と、気になったけど、あんまりじろじろ見るのも失礼なので、おれも本を出して読書をする。

一駅行くと、メキシコ人の子供が乗ってきた。
地下鉄の中でチョコやガムを売り歩いてる。
最近、多く、おれもたまに買う。
今、中南米の難民がニューヨークに溢れかえっていて、どこにも行き場のない人たちがたくさんいるのだ。
だから、子供にさえも商売をやらせてる。

その子は肌の色はメキシコ人特有の美しい茶褐色で、目が大きく愛嬌のある可愛い顔立ち。たぶん、10歳前後だろう。
彼は座っている乗客一人一人の前に行き、買わない?って声をかけていく。
一人づつ断られて、おれの斜め前のお姉さんにも断られ、おれの前へも来る。
たまには買うのだが、今日は現金持ってないし、I'm fine. Thanks.と断る。
おれの右手側にはもう客は乗ってなくて、つまり、この車両で一番奥側なのがおれだったので、彼はもうこの車両での仕事を終えたことになる。
この車両では残念ながら一つも売れなかった。

すると、彼は、なぜか、ひょいっとおれの斜め前の綺麗なお姉さんの隣へ座った。
まあ、普通は子供とはいえ、誰か座ってたら、一人分くらいのスペースを開けて座るもんだけど、彼は、こんなにすいてる車両の中でお姉さんの真横に座った。
少年がお姉さんをその愛嬌たっぷりの大きな目で見ると、お姉さんは彼に気づいて少年に優しく微笑む。
少年はお姉さんが微笑んでくれたのが嬉しいようで、「ねえ、これいらない?」とチョコを差し出した。
お姉さんは、ごめん、今はいらないの。と笑顔で断る。
今度は少年は、ガムを出して、ねえ、これ。とお姉さんに差し出す。
お姉さんは、ごめんね。本当にいらないのよ。とあくまで優しく少年を傷つけないように気を遣いながら断る。

その時、電車は次の駅に着こうとしていて、おれの乗り換え駅だったので、立ち上がってドアの方へ歩いた。

すると、少年は、あげるよ。とお姉さんの手にガムを握らせようとしている。
お姉さんはとても困った様子で、ねえ、困ったわ、この子。という表情でおれを見て目が合う。
そして、ごめんね、私、本当にいらないのよ。と、そのガムを優しく少年の方に押し戻す。
すると、今度はおれは少年と目が合い、少年はおれにニコッと笑う。
それから、彼は、お姉さんにとっても強引に、笑いながらガムを握らせようとする。
お姉さんも笑いながらガムを押し返す。
しまいには、お姉さんと少年は、もう笑いながら、きゃっきゃきゃっきゃ言いながらじゃれていて、ガムをお互いに握らせようとしている。
もう二人とも小学生の友達みたいだった。
結局、最後は少年がお姉さんの手にガムを無理やり押し付けて渡してしまうと、嬉しそうに笑って、さっと走って電車からホームへ降りた。

おれはその光景を見ながら、なんだか幸せな気分になって、おれもホームへ降りて次の電車に乗り換えた。





ねえ、これ、ちょっと映画か小説の一場面みたいじゃない?
意識して、小説っぽく書いてるけど(^ー^)
でも、今日あった本当の出来事なんだ。

なんか、お姉さんもとても優しくて、あのメキシコの少年もとっても可愛くて素敵だった。。なんだか、気持ちの奥があったかくなったの。

今、本当に中南米の難民がニューヨークのみならず、アメリカで大変になってる。
住むところがなくなったりして路上生活してる人たちさえいる。
彼らの責任じゃない。
彼らは否応なくアメリカへ逃げてくるしか生きる術のなかった人たちだ。

みんなみんな、誰だって、あったかい布団で寝たいし、安心して街を歩きたいよ。
世界中の誰もがそうなれる世界になったらいいのになあ。

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2023/08/11 22:51
みんさん、

読んでいただいてありがとうございます!

はい、理想ではあるけど、叶えられる理想だと思います。
そのために、みんさんのおっしゃる通り、まずはそれを願う人たちが増えることが大事だと思います。
戦争なんかやってる場合じゃない。
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2023/08/11 11:34
日記広場から参りました。

素敵だけど悲しい
悲しいけど素敵な場面ですね。

みんなが暖かい布団で寝て 安心して街を歩き 食べ物を食べられる
そんなの理想だって知ってるけど
それでもそれを願う人達でこの世が溢れたらいいですね。
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2023/08/11 10:22
haticoさん、

なるほど。
それはきっとその通りですね。
子供が子供らしくのびのび生活できる世界が大人にとっても幸せなんですね。
確かに。
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2023/08/11 06:52
ほんとに映画のシーン見たいですね!
いつもなら少年はガムを渡す代わりにお金をもらうのが仕事だけど、
今回は、お金の代わりにお姉さんとの遊び?をもらって帰ったのかな

厳しい生活環境の中でも子供の心を忘れないで欲しいね
私子供が子供らしく居られる世界が大人にとっても幸せな世界だと思う
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2023/08/10 05:32
ルルルのルさん、

はい、素敵な一場面でした(^ー^)
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2023/08/10 05:32
べるさん、

ほんと、そうかも。
おれがパッと見て、この人優しそう。って思ったように、優しい人ってそれが目や表情、その雰囲気に表れていて、だからこそ、少年もおれと同じようにお姉さんが優しい人ってことを敏感に感じ取って、お姉さんにちょっかい出したんだろうね(^ー^)

そうだね。
あんな年でさ、生活のために仕事してるなんて、日本やアメリカなどの先進国ではなかなか考えにくいことだもんね。
でも、彼はあの人懐っこい笑顔で、お姉さんにもおれにも何か元気をくれたように思えるな。

そうなんです。
どこにでも彼のような子供はいて、さらに、赤ちゃんを背負ったお母さんが道で物乞いしてるのもニューヨークの当たり前の風景の一つになっています。

海外で暮らしていると、世界で起こっている麻薬の問題、戦争の問題、人種の問題が本当に身近に存在している事実として日常にあります。
それで人が死んだり、行き場を失ったりしています。
だから、やっぱり綺麗事じゃなくて、世界平和を本当に願う気持ちになるんです。
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2023/08/09 23:51
ほんとに映画のワンシーンの様ですね
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2023/08/09 17:07
優しそうな人って、ほんとに顔に出てますからね・・・少年、ガムは売れなかったけど、お姉さんと少しだけでも子供らしく笑える時間が出来て良かったです^^

自分におきかえてもこういう状況って悩むだろうな~と思います。同情はしますけど、だからと言って毎回買ってあげるほどの余裕も無いし、キリも無くなるし・・・

特に日本は難民問題とかあまり身近にないから同情出来るけど、これが溢れかえる位になると対応も変わってきますもんね・・・



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