手
- カテゴリ:自作小説
- 2023/08/06 11:30:27
おれの趣味の一つは小説を書くこと。
通勤にはよく地下鉄を使うから、乗ってる時間は携帯で小説を書いてることも多い。
集中してしまって、つい乗り過ごしちゃうこともしばしば。。
全然、発表したり、何かに応募したりはしてないんだけど、たまにここにちょっと短いのでも載せてみようかな。と思い、とりあえず一つ、いつ書いたのかわからないパソコンの「小説フォルダ」に入っていた、とても短い、ちょっと不思議な小説を載せてみます。
「手」
振り向いたらそこに手が落ちていた。
パソコンのキーボードを叩いて、ステイトメントを作っていた最中だ。
なにげなく。
と、いった様子で手だけがフローリングの床に転がっていた。
右手だ。
動かない。
動かないのはぼくの視線もそうだ。
右手は微動だにしない。
ぴくり、とくらい動いてもよさそうなものなのに、まったく動かない。
ただ、死んでいるようには見えない。
しかし、生きている。という確かな手応えのようなものも感じ取れない。
彼(と言って正しいのだろうか)の心だけが死んでしまっているように見える。
ぼくは右手を手に取り、(ぼくの右手で右手を掴んだ。)黒いゴミ袋に入れて捨てようとした。
でも、できなかった。
やっぱり、できなかった。
捨てることはできないんだ。
右手はいつかまた、きっと赤みをさして動き出す。
それはかすかではあるけれど、そしてもちろん希望も含まれているけれど、しかし、確実なことであるはずなんだ。
右手を窓際に置き、水をやる。
見た目は何も変わってはいないけれど、彼の心が変化したようには見えないけれど、それでも水をやる。
「あきらめ」や「失ったもの」、「深くうすらさむいただの空洞」などといったものたちはまるでアメリカみたいにぼくを保有しようとしているけれど。
それでも水をやる。
窓の外、こどもたちがはしゃいで水鉄砲をかけあっている。
テレビではみんな笑ってる。
空は晴れていて、車たちは気持ち良さそうに走っていく。
右手はそれらとの繋がりを持たないで、ただそこにいる。
話しかけてみようと思う。
明日また水をあげようと思う。
右手の爪は少しだけ泣いてるみたいに見えた。
パソコンのキーボードを叩いて、ステイトメントを作っていた最中だ。
なにげなく。
と、いった様子で手だけがフローリングの床に転がっていた。
右手だ。
動かない。
動かないのはぼくの視線もそうだ。
右手は微動だにしない。
ぴくり、とくらい動いてもよさそうなものなのに、まったく動かない。
ただ、死んでいるようには見えない。
しかし、生きている。という確かな手応えのようなものも感じ取れない。
彼(と言って正しいのだろうか)の心だけが死んでしまっているように見える。
ぼくは右手を手に取り、(ぼくの右手で右手を掴んだ。)黒いゴミ袋に入れて捨てようとした。
でも、できなかった。
やっぱり、できなかった。
捨てることはできないんだ。
右手はいつかまた、きっと赤みをさして動き出す。
それはかすかではあるけれど、そしてもちろん希望も含まれているけれど、しかし、確実なことであるはずなんだ。
右手を窓際に置き、水をやる。
見た目は何も変わってはいないけれど、彼の心が変化したようには見えないけれど、それでも水をやる。
「あきらめ」や「失ったもの」、「深くうすらさむいただの空洞」などといったものたちはまるでアメリカみたいにぼくを保有しようとしているけれど。
それでも水をやる。
窓の外、こどもたちがはしゃいで水鉄砲をかけあっている。
テレビではみんな笑ってる。
空は晴れていて、車たちは気持ち良さそうに走っていく。
右手はそれらとの繋がりを持たないで、ただそこにいる。
話しかけてみようと思う。
明日また水をあげようと思う。
右手の爪は少しだけ泣いてるみたいに見えた。
楽しんで読んでいただけて、嬉しいです!
ところで、窓辺の手は話すのでしょうか?
個人的には、彼は話さないのだけど、きっといつかほんの少しは指先くらいピクリと動かしてくれたり、もしくは少し肌の色を赤らめてくれたりするのでは無いかな?と思っています(^ー^)
着眼点のユニークさに惹かれますね~、いえ、惹かれました。
「勉強」に、コメント入れようかなぁと思いましたが、それはもう少し、読み込んで
自分の考えを整理してから。
それで、こちらに目を向けて、
何者なの?と、言う興味がわいて来た。どんどん、沸いて来ています、今も。
貴方の部屋の窓辺に居る「右手」さん、
どこのどなたか、私も気になる。
きっと、色々な所で、色々な体験をして、世の中をみつめ・・時たま落下しては、
誰か気付いてくれまいか・・と、待っていたのではないかなぁ。
ケニーさんの部屋に行き着いて、
ここもダメかな?と、動こうとした時に、自分を見て居る視線に気付き
じっとしているのかもしれない。
窓辺の手が、いつかケニーさんに口を開いてくれる気がしてならない。
次回が楽しみです。
楽しんでいただけて、とっても嬉しいです!!
ほとんど誰にも見せてないので、試しに乗せてみたのですが、そんなふうに言っていただけるなんて(涙)
Haticoさんのこの小説の読み取り方が、すごいです。
私が描きたかった部分をおっしゃってるし、更にサボテンのように花が咲くなど、私とは違う想像もおっしゃっていただけて、なるほど、それも面白い!と、良い刺激をいただけました。
また気が向いたら載せますので、読んでいただけたら嬉しいです(^ー^)
右手はサボテンみたいだね
いつかびっくりするぐらい可愛らしい花が咲く
かもしれないし、咲かないかもしれない
右手には実は何かの種子が付いていて、
その芽がでるかもしれないしね
右手はいったいどこからやってきたのか?
きっと、主人公にとって大事なものの一部が
右手になって現れたのかな?
素人の小説を川端康成を思い出すなんて言っていただいて、とても光栄です!!
ありがとうございます!
はい、またそのうちアップしてみますね!
自分で書いた小説は誰にも見せることがほとんど無いので、読んでいただけたら幸いです!
楽しんで読んでいただけたようで、嬉しいです!
確かに。
人によって、どんなふうに捉えるのか、興味あります(^ー^)
孤独感を感じました。
こういう、日常との境が曖昧な幻想小説は大好きです。
また、読ませてほしいです。
見る人によって色々解釈が変わってくるんだろうなぁと思います。右手の気持ちを色々想像してしまいました。
今日は家でゴロゴロしてるので、ちょうどピッタリいい長さのお話読めて良かったです♪