Nicotto Town


どんぐりやボタンとか


アーティスト紹介 13


さてと、今日のアーティストは誰にしようかしら。

じゃあねー、えーと、、あ!そうだ、初めて日本人のアーティストを紹介してみようか!

「Yuji Agematsu」

彼はたぶん、今もニューヨークに住んでるんじゃないかな。
1956年生まれらしく、60代後半だね。

みなさんもたぶんご存知のニューヨーク近代美術館、通称MOMAには別館があるのね。
MOMAの本館はマンハッタンのミッドタウンにあるんだけど、別館は、PS1という名前で、クイーンズのLong Island Cityというところにあって、おれんちからも近い。
ニューヨークでは小学校にPSの後に1とか2、とか125とか、数字がつくのね。
んで、PS1は確か元々小学校だった建物を美術館にしたので、PS1って名前なの。
PS1の展示は、比較的新しいアーティストとか、結構攻めた展示をすることが多く、面白いのでよく行く。

確かパンデミックよりも1〜2年前に行った時の展覧会が、「Greater New York」っていう、確かかなりの数、200以上の、NY在住か、もしくは、NYで働いてるアーティストたちの作品ばかりを集めたグループ展だった。
面白い作品が結構あって、おれは楽しみながらゆっくり見て、2階のメインスペースに行くと、彼の作品はあった。

はじめは、それが日本人の作品だと知らなかったのだが、すぐにかなり強く惹かれた。

白い壁にプラスチックの透明の棚が設置されており、その棚にはまるでアニメマニアがコレクションのフィギュアを丁寧に並べたみたいに、小さな作品がずらっと並べられていた。
透明の薄いセロハンのような箱状の小さな包み、(ちょうどタバコの箱が入ってる透明のセロハンと似てた。今、調べたら本当にタバコの箱のセロハンだった!)その小さな包みの中に色とりどりの何やらよくわからないものが入っている。
ぱっと見、とても繊細な作品だ。
よく見てみると、その入っている中身は全て、ゴミだ。
噛んだ後に吐き捨てたガムだったり、タバコの吸い殻、使い捨ての歯間ブラシ、髪の毛、なんかのシール、吐き捨てたキャンディー、毛糸、何かの部品、などなど、が丁寧にそのセロハンの包みの中に入れられている。
入れ方は決して乱雑ではなく、あくまで丁寧に、しかもたぶん、コンポジションや色合いも考えて入れてるように見える。
つまり、アーティストが拾ったりして収集したものを組み合わせて作るアンサンブルスタイルの彫刻だ。
しかも、彼の場合は、かなり、かなり繊細だ。
彼はそれらの拾い集めたゴミ(本人はこれをゴミと呼びたくないらしい。)を、スタジオへ持ち帰り、樹脂で丁寧にセロハンの中に固めて制作するらしい。

彼は確か、一つのストリートの1ブロックで一つの作品を完成させるんじゃなかったかな?
そうとは限らないかも知れないけど。
そして、それを365日続けて、棚に全て並べていく。
(あ、でも、おれの不確かな英語力で読んだ説明だから、間違ってるかもだけど。。)
さらに、それらの拾ったものは、全て小さなノートにメモされる。
ノートには日付などと、簡単な手書きの地図と、詳細を細かい日本語で書き記されている。
それも一緒に展示されており、それも含めて彼のアート作品となるのだ。

たぶん、この作品は彫刻であり、またそのアクションそのものがアートであり、そして、記録がアートになり、彼の足取りと時間、ニューヨークの日常の一瞬一瞬、全てが作品になっているのだろう。

その日、PS1で見た作品で、最も惹きつけられて、かなりの長時間、おれは彼の作品の前から動けなかった。
大きな棚に置かれた一つ一つのセロハンの彫刻をつぶさに見て周り、何度も見て、そのディティールを確かめた。
彼のノートを見て、微笑んだ。

彼の生き方に、アートが染み込んでいるようで、本当に素晴らしい美しい作品だった。

もしかすると、日本ではなかなか見る機会がないかも知れないけど、、もし、ニューヨークに遊びに来て、彼の作品を見ることができたら、ラッキーだと思います(^ー^)

https://www.youtube.com/watch?v=h8EIS_uesnk

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2023/08/10 05:50
てんさん、

彼の制作の意図をもし言葉にするならきっとそれは「芸術作品を作る」ことじゃないかな?と思います。
彼は365日の反復を繰り返します。
実験と言っても良いかも知れませんし、考古学と言っても良いのかも知れません。
または個人的な儀式と呼べるかも知れません。
彼の街を歩きゴミを拾う行動と時間、ニューヨークのリアルな時代の移り変わりを反映しているゴミたち(それはNYCの場所によっても違います。)、それによってどのような芸術になり得るのか、そんな実験のように見えます。

彼はゴミを拾う際に「地面はあまり見ずに、ただまっすぐに進んでいきます。 物体はいつも私を見ています。」とインタビューに答えています。
言葉で説明することは難しいですが、彼の制作には、(例えば、この歌は孤独を表現していますというような)意図というよりも、個人的にはドキュメントを見せているということに近いのではないか、と考えます。
そこにはあらゆる感情や時間も内包されているように思えるのです。

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2023/08/09 15:02
制作意図が気になりますね。彼が惹かれているのは街なのか道なのか、はたまた自分の生活を視覚的に日記にしたいのか。そういう意図があったとして、なぜガムや吸い殻や髪の毛なのか。私は街が好きで、町中の建物や標識や花や鳥などをモチーフに作品制作をしているのですが、同じ「街」でも視点が違うので面白いです。ただの個人の推測ですけど、もしかしたら、街中で人の目につかなかったり、あるいは嫌な顔ばかり向けられる小さく弱いゴミたちを愛しく感じるのかも。私の持論では、町中にあるものは全て老化するし風化するし流行などによって変化もするし、「生きている」んですが、彼にとってはその小さなゴミたちも生命体で、だからゴミと呼ばれて嫌な目されるのが人種差別並みの嫌悪を感じるのかな。推測ですけど。
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2023/08/07 10:26
へえ〜、そうなんですね!
知らなかったです。

少し、当時の説明を読んだり写真を見ましたが、荒削りで思う存分やりたいようにやっていて、とても楽しそうに見えました。
日本にもそんな時代があったんだな〜。って。
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2023/08/07 08:39
はい、赤瀬川源平さんなどが、やっていたと思います

^^
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2023/08/06 22:20
ルルルのルさん、

読んでいただいて、ありがとうございます!

はい、とても興味深い作品で、久しぶりに良いアーティストを知れてワクワクしました!

ガロのトマソンって何だろう?と思って見てみたら、たぶん、日本の70年台の現代芸術のムーブメントの一つなのかな?
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2023/08/06 11:58
へぇ〜面白いですねこれ

なんか、ガロの トマソンを思い出してしまいました



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