ジルベスターの星から
- カテゴリ:マンガ
- 2023/06/23 06:51:34
かつて、珠玉のSF漫画を描く少女漫画家たちが数多くいた。
萩尾望都 竹宮恵子 佐籐史生 山田ミネコ 佐々木淳子 星野架奈 筒井百子 樹なつみ 水樹和佳・・・
今日は竹宮恵子の「ジルベスターの星から」を紹介。
冒頭にはリルケの詩が引用されている。
「誰がわたしにいえるだろう わたしの命がどこまで届くかを」
少年とも少女ともつかない金髪とラベンダー色の瞳を持つ「ジル」
ジルは植民惑星で生まれた子供だった。
夢見たものは美しい緑と澄んだ水の流れ・・・
宇宙飛行士アロウが最果ての星で出会った時のジルの姿は
コンピューターが作った生前の幻影。
アロウは恋人とともにジルの語る夢を実現させることを決意する。
竹宮作品のSFというと「地球へ・・・」が有名だが
哀切な読後感を残す詩のような趣の傑作短編SFも多い。
そして、ラストは泣けました( ;∀;)。
少女漫画の黎明期は「恋愛」を描くことすらタブーだったんだよ。
信じられないっしょ。
それを変革したのがわたなべまさこ氏。
赤子を背負いながら掲載してくれる
出版社を回ったという話を自作のエッセイ本で読んだよ。
現在、古典と呼ばれる漫画作品の多くは多かれ少なかれ当時の漫画界の常識を
打ち破ってきた人たちだと思う。
反面、現在の商業誌は読者の反応を過度に恐れているところもあると思うな。
ジャンルは増えたのに、「こういう台詞だとネットで叩かれるのではないか」とか。
あまりに読者に媚びたり、迎合したりするのは漫画本来の力や面白さを失わせると思うけどね。
ロック魂が必要だよ。
今の商業誌ではとても連載とかできなさそうな展開やスピードとかも感じるし。