Nicotto Town



鈴城菜と知らない男

 鈴城菜と知らない男



 『お母さん、お父さん。一人にしないで。ちゃんとやれるからご飯食べさせて』
鈴城(すずしろ)菜(さい)は夢を見た。子供の頃の夢。私のトラウマ。
起きると隣で寝ている昨日知り合った男を起こさないようにシャワーを浴び着替え外に出る。
煌びやかな色は朝方のラブホテルには無いようだ。鈴城菜は今を生きるのに必死だ。
ラブホテルからのため距離的には近いが出社時間まではぎりぎりだ。
お腹が空いてるのでコンビニでサンドイッチとオロナミンCを買う。
歩きながらサンドイッチを頬張るとオロナミンCで飲み込む。
電車の中で化粧を整えると会社まで歩く。
タイムカードを押せば仕事モードだ。
ブラック企業の会社はかなり多いらしい。どこも同じだ。私も社会の歯車そう思いオフィスに着いた。学校は2流。その代わり通信で資格を学び少しでもの改善をと努力する。
定時で終わる。と言うより仕事を定時までに終わらせなければならない。
世の中がそういう風潮だから。

仕事が終わっても菜は家には帰りたくはない。
なので決まって居酒屋に赴く。
いい男が居れば捕まえていつも通りラブホテルへ。
知らない男とSEXするのに抵抗はない。
だってストレスが溜まるから。
ストレス解消のために金を使い男遊びするのか。お金が欲しいから仕事をするのかもはやわからない。
ただ巨大な歯車がそうさせる。

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2023/06/12 13:32
うむ。。。あるだろうね
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2023/06/12 13:20
トラウマは簡単に消えるものではないよ。
実際今もこういうお家は沢山あるんだろうなと思うと心が痛いよ。。。
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2023/06/12 12:25



 児童相談所の質問に鈴城菜は「私だって子供の時まともにお父さんお母さんに相手してもらえなかった。それに私は今を生きるのに精いっぱい。SEXだってストレスを解消するのに覚えたわ。・・・でも家に帰るとそこに私が居た。だから家には帰りたくなかった」
と語った。
鈴城菜は心療内科に通院となった。娘の体重が平均になってもまだ会えない。
トラウマはまだ心を占めている。生活様式を変えるには時間がかかる。
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2023/06/12 12:25



 今日の男は文系な男のようで、まずお互いを知るためとカフェを選んだ。
オルタンシアの意味は知らないが珈琲のいい匂いが店内を支配している。
「やどかり。オリジナル珈琲とケーキを・・・2つで・・・いいかな?えっと」
「それでいいわ。あと名前なんてどうでもいいでしょ?その場の付き合いだし」鈴城菜
「・・・えっ、僕は付き合うからには本気で向き合いたいんだけど?」
「いいのよ。もうそんなのは。疲れるだけだから」鈴城菜
沈黙が続く。・・・ああなんかしらけちゃったな。
「はい。お待たせ。ケーキセット。珈琲の味は保証するわよ」宿川花鈴
電話の着メロが鳴り響く。
菜は携帯を手に取る。
「ママ。いい子にするから家に帰ってきて。暑いしお腹すいたの。ママ。お願い」
鈴城菜の表情が変わる。
「恵子あなた5歳(・・)でしょ?もう家のこと自分でしなさいよ。私は忙しいの。必死で生きているの。私の足枷にはならないで」鈴城菜
「ちょっと、・・・あなた5歳の子に家のことさせているの?」宿川花鈴
「それは、酷いな。別の意味で君に興味持った。すぐ君の家に行こう。・・・子供が心配だ」
「いやよ。家には行きたくない」鈴城菜
宿川花鈴は店をスタッフに任せると女性を連れてタクシーを呼ぶ。
「どうするの?どうやって家に行くの?」宿川花鈴
「仕事の権限を使うよ。これはもう児童相談所の管轄だよ」
「・・・嫌よ。家に帰りたくない」鈴城菜
強制連行のようで宿川花鈴たちの方が不審者のようだからと「こういう者です」と児童相談所職員の札をタクシー運転者に見せた。
古びたアパート。ポストに溜まったチラシ。汚れた玄関。
女性に鍵を開けさせ玄関まで溜まったカップ麺のゴミをどかして部屋を進む。
逃げるような少女を見つけた。
その上で鈴城菜を見つけ「あっ、ママ」と近寄ってきた。
軽そうな少女だ。歯も生え変わる前に虫歯が多いように口もとが汚い。
鈴城菜は項垂れるようにしている。
児童相談所職員に連絡して少女を保護してもらう。




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