Nicotto Town



パープル・ヘイズ

 パープル・ヘイズ



 「キャー」という甲高い声は辺りに響く。
その途端、紫の煙と大きな爆発音。
「何事ですか?」警官
「・・・怪盗よ。今話題の怪盗よ。ネックレスを奪われたわ。」
「怪盗め!!またか。」警官
「私の心配はまだなの?」
「・・ああ、お怪我はありませんか?」警官
「大丈夫よ。でも、被害届はしっかりお願いよ。」


 名も無い孤児院。
国はこの小さな孤児院に更なる負担をかけようと孤児の数をどんどん増やす。
虐待も多いが親に職がなく預けられる子供が多い。
「千鶴~」スカートめくりする子供。
「もう。ちゃんと掃除しなさい。」千鶴
「まあまあ、元気がいいことはいいことよ。最初とはぜんぜん違うわ」シスターの芳子さんは答える。
千鶴自体ももとは孤児としてここで育った。
就職したが会社が倒産して無職になったのでお手伝いとして教会にいることが増えた。
頭の良かった千鶴のため勉強も千鶴が教える。
「ほら、sineの使い方間違っているわよ。」千鶴
「教科書が読めないんだよ。何年前のなのさ。」
「こら、教えてもらえるだけありがたく思いなさい。」芳子
「は~い。」
勉強はなんとかなるが生活費は切り詰めても限界がある。
「お腹すいた~。」子供が騒ぎ出す。成長期だ、仕方ない。
「わかったわ。また、売ってくるから。」千鶴
「・・・いくら何でもあなたがそこまですることはないのよ。両親の遺産でしょ?」芳子
「いいんですよ。私もここで助けられたんですから。」千鶴は嘘をついた。遺産などない。


 ネックレスを質屋に売る。
できるだけお金を増やすため子供を大勢連れていく。
「大変だねえ。教会って確かに孤児育ててるけど生活費を支援してくれるとは限らないもんねぇ。」馴染みの質屋は色増ししてくれる。
歓声がでる。それがいつもの光景。こうして永らえている。


 金持ちの主婦は理解者だ。本来なら孤児の支援をしてくれる善意がある。
しかし、彼女たちも生活がある。
だからパープル・ヘイズの出番になる。
主婦は貴金属をあらかじめ千鶴に預ける。
路上でほどよい人混みを歩くとき遠くから『3ヨウ化窒素をすぐに割れる殻に包んだもの』をパチンコで主婦の近くの道路に当てる。
3ヨウ化窒素は激しく反応する分子で紫の煙を発する。
彼女ら主婦も不景気でお金に困っている。そのまま質屋に売るより怪盗に盗まれたとして保険金貰ったほうがお金になる。
千鶴は会社勤め時代の知識で3ヨウ化窒素の生産する技術があった。

政府はどんどん景気を悪くしたうえ税金まで上げようとしている。

怪盗パープル・ヘイズは生活の為、怪盗を続ける。
紫の煙にまいて

アバター
2023/06/11 08:28
生活のためだなあ
アバター
2023/06/11 08:20
これはまた違う切り口の物語だけど読みやすいですね
パープルヘイズには、本当はもっと違うこと?例えば悪い人をやっつけるために
悪い人の品物をぬすんでうる、とか?
してほしいなぁとも思ったけど
でも、すごいなぁ。かっこいいなぁとも思いました



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