Nicotto Town


ガラクタ煎兵衛かく語りき


ホメロスかよ




何だろう 僕は一人の女性を幸せにするのが良かったんだろうか
何だろう 僕は一つの学説を完膚なきまでに作り上げるのが良かったのだろうか
何だろう 僕は一つの生き方を全うするのが良かったんだろうか
何だろう 僕は一つの詩編を作り上げるのが良かったのだろうか


誰も知らない
ただ風が吹くだけ
ただそこには風が吹くだけ


僕は君と向き合おうとした
君も僕と向き合おうとしていた
”すれ違い”という当たり前の現象を二人とも知らなかった

学説なんて時代と傾向で変わる
それで人も殺される
ほんとは学説なんてどこにも存在しないことに気付かないまま

生き方は人の数だけある 魂の数だけある でも正しくても評価されない

ここに一つの詩編 ファンタジーといってもいいかもしれない

まだ存在していないこの詩編を




どうか生み賜え給え
つまらぬ人の それも晩年にいたって 思い至ったささやかな けれど真実な
最後の吐露を

一編の詩を通じて
この世に遺し給え


遺し給え





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