Nicotto Town



 不老の馬林

 不老の馬林



 馬林は甲高く「コケコッコー」と鳴く目覚まし時計で目を覚ました。
友人に貰った目覚まし時計は独特で白い鶏に時計が付いたデザインで設計されている。
友人は生まれも育ちも日本人で養鶏をしていて兎にも角にも鶏が大好きな女性だ。
布団から起き上がると日本の伝統通りに布団を畳んで押入れにしまう。
古いちゃぶ台を起こすとタイマーで炊き上げているご飯を茶碗に盛り細切れの明太子を乗せる。お茶を湯のみに注ぎ、即席の味噌汁を作ると朝食を済ませる。
日本の田舎に移住してまだ1年。今日も健康的な一日が始まった。
馬林はマーリンが訛った名前だ。苗字は知らない。
 馬林は何人にも見え何人にも見えない。
あえて言えば耳が少し尖っているように見えるし、鼻が尖っているようにも見える。
誰も馬林の過去を知らない。何歳かも知らない。実は馬林自身も正確にはわからない。
友人の手崎檸檬の家の手伝いをするため鶏小屋に行く。
鶏の中には卵を取り出すとき羽を広げ襲いかかるやつがいる。
雄の鶏で卵を守っているつもりの奴だ。
突かれると地味に痛い。
卵を採収すると餌の野菜くずを撒き、水を入れ替える。
この季節は割れた西瓜も与えると喜んで食べる。
餌を運ぶ時、鶏が揃ってついてくるそれはとても面白い。

「まりーん。鶏の世話済んだ?」檸檬
「終わったよ。毎日楽しいもんさ。」馬林
「よろしい。今日一日の自由時間を許可する。」檸檬
檸檬は汚れたツナギにTシャツの姿だ。
呆れることにTシャツにまで鶏が描かれている。
馬林は檸檬に「今日どうするの?」と言う。
檸檬は「予定無いよ。なんで?」
馬林は「競馬見ないか?僕の故郷では競馬が有名だったから今日の大会までお金貯めてきたんだ。」
檸檬「競馬?したことないな?何時にあるの?」
馬林「今日は日曜だから朝九時から夕方四時まであるよ。」
檸檬「どうやって馬券買うの?」
馬林「スマホのネット機能で100円から買えるよ。」
檸檬「4時に打ち上げで馬刺し頼むからちょうどいいね。」
養鶏の打ち上げだ。
馬林「まあ、熊本だからね。馬は食うものか。」


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2023/06/03 11:10
おおう
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2023/06/03 11:10
さやには難しいながらも楽しめた作品ですありがとうございます
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2023/06/03 10:48
これ、そんな自信ある作品じゃないんだが・・・
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2023/06/03 10:26
はにゃ。。。
まず、競馬のですね。描写がすさまじすぎてですね。。。
馬刺し食べながら…見るのはできませんが
で、ですね
馬林さんは、色々おありの設定のようで
歴史やらFSやらが苦手な私は、ほよよよよよよよよ?となりましたが
でもこういう夢?のある設定の不思議な主人公さんの物語も、面白いですね

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2023/06/03 09:46



 もう世界征服などという野望はない。
人間は悪の心も持っている。自分のことしか考えない人もいる。
戦争に明け暮れ不平等が支配したのだ。
馬林は永遠の命を持っている。
そうすると脳が自分の記憶により壊れてしまいがちなので定期的に新しい人格がコピーするように出来て古い記憶は古い人格と共に無意識の底に押し込められる。
DNAの回数券が無限ならがん細胞への対抗処置もできない。
馬林は細胞をDNAではなくナノマシンに制御されている。
魔術師マーリンは悪魔により作られた存在とされる。
作り主がアトランティス人なのかそれ以外の科学者なのかはマーリン自身にもわからない。
永遠に知識を持ったまま生き続ける。少しづつ知識を忘れながら。
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2023/06/03 09:46


 馬林は甲高く「コケコッコー」と鳴く目覚まし時計で目を覚ました。
布団から起き上がると日本の伝統通りに布団を畳んで押入れにしまう。
今日は昨日競馬を家で見させてもらったのでは畑仕事の手伝いをすることになっている。
檸檬はすでにツナギを着て準備万端だ。
畑に着くと猛暑で割れたスイカが大量にある。
「馬林。一日3個のペースで鶏の奴らにスイカ放り込んどけ。それで最初に水やりだ。
消毒用機械で畑に水撒け。カボチャにもな。それ終わったら肥料は鶏の糞を土と混ぜておけ。
土10に鶏糞1くらいかな。それ終われば道に通行の邪魔になってる雑草を刈って刻んで米ぬかと混ぜて袋入れとけ。」
雑草と言っても全部入れられるわけではない。
水仙など毒があり食中毒を起こすことで有名だ。
ニラに似た植物は除外することになっていてそういう融通が利くところを気に入られている。

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2023/06/03 09:46


 馬林は夢を見ていた。
石垣の強固な城。日本の城と違い建築物で強固にする感じだ。
「アーサー王。世はあなたを選ばれた。世界を支配するのです。イギリスのローマ軍を滅ぼし世界の王になるのです。」
「マーリン、すべてはそなたの魔術があればこそだ。知識も戦い方もそなたは多くをもたらした。何者かなどどうでもよい。更なるイギリスの繁栄を。」

「妖精よ。なぜこのようなことをする?」
「あなたは危険すぎます。戦争は確かに私も望みませんが他の国が戦争に明け暮れるのも望まないのです。あなたの作った部屋であなたの知識でここに閉じ込めさせてください。」
「待て、私の魔力無くてはあの剣は意味がない。魔法も教えたそれだけではイギリスは負ける。アーサー王は一時的な神話になる。私の目指すのは世界平和なのだ。統一こそ戦争を無くす手段なのだ。」
扉は閉じる。
扉に込められた魔力が無くなったのはおよそ1100年後、森の湖だった場所は埋め立てられて空間が戻るとアパートの部屋になっていて知らない男が寝ていたところだった。
「誰だ?お前!鍵も無くどうやってここに入ってきた?」
「・・・わたしか?私はマーリン。それはそうとお前は王になるつもりはないか?」
イギリスによる軍事支配は世界に及んだ。
・・・イギリスでは競馬が盛んでその時夢中になった。

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2023/06/03 09:45

パドック。
十三時五十分。第八レース
馬林は3、2、4の3連単で3000円分買った。
檸檬は3番を100円単勝で買った。
3番一着、2番2着、6番3着。
惜しい、
檸檬は勝ったので喜んでいる。
パドック。
一四時二十分。第9レース
馬林は2、4、3の3連単で500円分買った。
穴馬が好きなのだ。
檸檬は3番を100円単勝で買った。
3番1着。
檸檬は喜ぶ。1番人気の馬だから当たりやすい。
パドック。
十五時。第10レース
馬林は4、2、3の3連単で500円分買った。
檸檬は3番を100円単勝で買った。
2番が1着。
パドック。
十五時三十五分。第11レース。
馬が走っている頃家族が集まりだす。皿を出したり賑やかになる。
馬林は3、2、4の3連単で3000円分買った。前回の当たりの思いが強く残る。
檸檬は3番を100円単勝で買った。
4番1着。
パドック。
揃って馬刺しを食いながら競馬の馬の肉つきを眺める。
十六時十五分。第12レース。今日最後のレースだ。
馬刺しを食べながら「行けー」と言う。
馬林は4、3、2の3連単で3000円分買った。
檸檬は2番を100円単勝で買った。
2番1着。
儲けが僅かなこともあり檸檬は「私は馬はやっぱり食べる方がいいや。」と言った。


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2023/06/03 09:45

「いくら儲けた?」お爺ちゃんは陽気だ。
「2個当てたのに30円しか儲けんかった~」檸檬
「そういうもんよ。楽して儲けようとかいう考えはやめることね。」
「仕事を手伝うかわりに宿泊させる契約だろ?明日餌の農作業手伝うか?」
「・・・手伝わせていただきます。」馬林
パドック。
「そういえば馬食う日だな。用意しとけよ。ビール。」酒には陽気なようだ。
十二時二十分。第5レース。
雨が止んでいる。
馬林は3、2、4の3連単を100円買った。
檸檬は買わなくなった。
3番1着、2番2着、4番3着。
当たった。
「くっそー――。」馬林は悔しがる。
「どうした?当たらなかったのか?」
「どれ、見せてみろ。・・・おっ、こやつ3連単当てやがった。」お爺ちゃん
「それ、凄いのか?」
「100円の馬券が1万3000円になってるわ。」お爺ちゃん
「じゃあ、なんでこいつはこんなに悔しがっている?」
「気持はわかるさ。なんでもっと金つぎ込まなかったんだ~と思っているのさ。」お爺ちゃん
パドック。
隣りにお爺ちゃんも居ようとしたがお父さんに引きずられるように去って行った。
十二時五十分。第6レース
当たらなかった。
時間があるので檸檬と馬について話をする。
「どういう馬が強いの?」檸檬
「パドックの時に馬の筋肉の付き方を見るんだ。馬の肉体美というものがある。」馬林
「詳しいね。・・・どこで覚えたの?」檸檬
「イギリスさ。・・・おっ、パドック。」馬林
十三時二十分。第7レース。
馬林は9番を単勝で3000円分買った。
やはり、9番はお気に入りだ
檸檬は3番を100円単勝を買う。
3番1着。檸檬は喜んでいる。
9番は転んだ時に怪我したようだ。大きく順位を下げている。


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2023/06/03 09:42
「馬林はいくら賭けたの?」檸檬
「100円だよ。」馬林は嘘をついた。貧乏人で通しているからだ。
雨が降り始めた。
・・・荒れそうだ。
次のレースのパドック。馬を食い入るように見てると、檸檬のお母さんが昼ごはんを作りにきて、「ほどほどにしなさいよ。賭け事なんて。お爺ちゃんが競輪ではまって家傾きかけたんだから。」と言う。
・・・正論だ。
檸檬が「100円づつしか賭けてないから大丈夫よ。だいたい今勝ってるの。」と言い返す。
十一時のレースが始まった。第3レース。
馬林は9、1、4の3連単で3000円分買った。
檸檬は3番を100円単勝で買った。
雨が降ると走らない馬がいる。
9番1着、4番2着、1番3着だった。
流れが変わってきた。
パドック。
11時三十分。第4レース。
馬林は4、9、3を4000円3連単する。
檸檬は2番を100円単勝で買った。
9番落馬。雨で馬が転んだのだ。9番は雨でも走るが転びやすい。
5番1着。
家族が集まり始めた。
お昼ご飯の時間だ。
この一家は休憩時間が長い。
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2023/06/03 09:41

 九時になりそうだったので母屋のリビングに上がらせてもらう。
馬林は25歳だし檸檬は22歳だが馬林は親に認められている居候のためそこまでうるさく言われない。
テーブル席に座るとテレビを付ける。
BSグリーンチャンネルというとこで競馬が見れる。
九時三十五分に始まったパドック見てると爺さんが「なんや、馬か。俺は競輪のほうがドラマあると思っている。」と言う。そのまま去って行った。
第1レースが十時に走り始める。
馬林は裏金で3000円を9、2、3番の3連単で賭けていた。
前回流れに乗れなかったからこそ買いと思っていた。
檸檬は一番人気の3番を100円分単勝で買っていた。
一着3番。檸檬は大興奮だ。
興奮隠しきれず次のパドックが始まった。
檸檬は100円単勝のため10円しか儲けてない。
十時三十分第2レースが始まった。
馬林は9、3、2の3連単を3000円分。
檸檬は2番を100円分単勝で賭けていた。
馬林(9来い)
2番が1着。
喜ぶ檸檬。一位二位人気はそれは当たりやすいだろう。
悔しがる馬林。



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