ぼんくらティルト【3】残念留年チーム
- カテゴリ:自作小説
- 2023/04/27 18:10:46
ティルトの不安は最悪の形で的中することになった。
シオ・タイオーは、成績優秀で有能だが、上から目線で協調性皆無。勇者としてのプライドだけは高い。
ミトーシ・アマスギは、悪い意味で中途半端でどっちつかず。相棒の武具も日替わりで変化する有り様。
そもそも、彼の単位の取り方に一貫性がまるでなく、スキルと能力が伴わず、特筆すべきものもない。
サツキ・ヤマイは、その名前の通り常に精神状態が「五月病」で、疾患を数多く持ち、
テンション低くネガティブかつ毒舌。その毒舌は自分にも向くので始末が悪い。
チームの守りの要の騎士なのに、病欠が多く、出席日数がすでに足りない。赤点常習者で保健室の住人。
ティルト・ウェイトは、契約する魔法を間違えて単位を落とすなどミスを連発。成績は底辺スレスレ。
チームの雰囲気は日増しに悪くなっていき、まるでお通夜のようになっていた。
チーム対抗戦は、負けてばかりで最下位まっしぐら。
あまりにチーム戦の成績が悪すぎて、半年で総合最下位がほぼ確実になってしまうほど。
あと少しで勝てそうな時に限って、
騎士クラスのサツキが倒れたり、ティルトの魔法が不発に終わったりで勝機を逃す。
シオ・タイオーの怒りとストレスが増大し、三人を怒鳴り散らすことが多くなった。
ティルトもミトーシもサツキも彼についていかない。彼についていけない。
みんなそれぞれ違う方を向いていた。チームワークも連携も絆もあったもんじゃない。
そして、1年が経ち、ティルトのチームは、全員留年することになった。
シオ、ミトーシ、サツキ、ティルトの4人は、トルテ学院長に呼び出された。
「納得いかないぞ!どうして、俺まで留年なんだ!?」
チームの中で唯一、成績優秀なシオ・タイオーは憤慨する。
「シオ・タイオー、あなたは自分に足りないものが何なのか最後まで気づかなかったようですね」
トルテ学院長は溜息をつきながら冷静に話す。
「俺に足りないもの!?何だ、それは!?」シオはトルテに問うが、彼女は答えない。
「それが分からないようなら、あなたはまた留年しますよ?」
トルテにそう言われて、シオはぐうの音も出ない。
「さて、みなさんをここに呼んだのは、どちらか選んでもらうためです。
武具を返納して学院を去るか、もう1年この学院に留まるか…?今、ここで決めて下さい」
果たして、彼らは自主退学か再履修のどちらを選ぶのだろうか?
ーつづくー