君はいなかった~失恋~
- カテゴリ:小説/詩
- 2023/04/27 10:01:27
遠いと言ったのは君は特別だったから
ここにいる理由を探していて嫌になった
海底200メートルくらいのところでピクニックするより
難しいだろうと そっと考えて
泣いてばかりのあの頃が楽しかったように想った
なにもかも とぎれとぎれ
続かないのが言葉だけならいい
時間は知らん顔で訪れては去っていくから
いつしか
想い出を語り合うことが
ふたりを繋ぎとめる手段になった
遠く 遠いのは
君がいると信じていたころ
ふたりから去っていく時間の速度
微妙に違っていることに気づいたのはいつだろう
遠く 遠いのは
すれ違っていく今の一瞬
夏になったら海へいこう
君はいなかったことにして
海の底から空を眺めてみよう
ひらひら泳ぐ魚の気持ちになってみよう
打ち明けられなかった若い日に想いで。