Nicotto Town


ガラクタ煎兵衛かく語りき


地下事務所



とある影像音楽所の電話に突然鳴ったある日の電話

「お仕事を依頼したいのですが 担当はあなたですか?」

それを受けた女性スタッフは入社3年目だった
それなりに数多くの案件を数多くこなしていた
「はい よろしければまず私で受け賜らせて頂きます」


数秒後の沈黙の後
電話の主は穏やかにこう主張した

「決算の裁量をお持ちの 出来れば 所長さんに直接お話ししたいのですが」

女性スタッフはしかしひるまなかった
「そのご意見は承りました 現在 えー 所長は会議中でございます」



数秒後の沈黙の後
電話の主は穏やかにこう主張した


「残念です あなたも御存知かも知れませんが 例のイベントの件です
急を要するので すぐさま私 他にアウトソーシング探しをしなければいけません
これで失礼します」


言葉遣いは終始丁寧だった

電話が終わった  



女性スタッフはは軽い敗北感と虚しさを覚えながら受話器を置いた
何が起こっているのだろう



その時 会議中と称していた所長が風呂からでてきた
「どうしたの? いやにしつこかったようだったど」

所長であり夫であるシャボンの匂いを首に感じ
それをはねのけるように言い返した
「応えちゃダメよ」

交代で風呂に入った


今 再び電話の音が浴室まで届いてきた
今度は彼が 受け取る番


さあ 肌を洗おう 髪をゆすぎ 体をほぐし
この浴室以外の世界を忘れよう

私は私 彼は彼 世界は世界


こんな狭い
銃弾が飛び交い ミサイルが落ちてくる
そんな空間でも愛は語れる





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