Nicotto Town



ぼんくらティルト【1】学院長の杖

ティルトは、大掛かりな転送魔法を発動させ、異世界15人衆全員を元の世界に送り返すことに成功した!

大転送魔法陣の展開陣形を取っていたセリカたちは、ホッと胸をなでおろした。
「あ~、しんど~!うちら、もう動いてもええか?」セリカは背伸びをした。
「ティルトが~、転送魔法を使うまで~、私たちは一歩も動いちゃいけなかったからね~」と、チュニス。
「進化の儀もしないで杖が進化するとか…ティルト、カッコよすぎでしょ!」
そう言いながらリコシェはティルトに駆け寄る。
「よくやったわ!ティルト!あなたは私の自慢の娘よ!!」トルテは、ティルトを力強く抱きしめた。
「お母さん…うっ、うう…うわーーん!!」ティルトは声を上げて大泣きした。
自身の母親であるトルテ学院長に初めて認められたのが嬉しくて嬉しくて、涙がこみ上げる…。
だって、フツツカ魔法学院に入学した時の私は…。ティルトは昔を思い返す…。

『今年はトルテ学院長の娘がフツツカ魔法学院に入学する』という情報がすでに周囲に知れ渡っていた。
周囲の期待の視線やプレッシャーに晒されながら、ティルトは「武具選定」の儀式を受けに、武具倉庫へ赴く。
「ティルト・ウェイト!」「はい!」トルテ学院長に名前を呼ばれ、武具倉庫に入るティルト。
「…あら?私の武具たちがまったく反応してないわね。ティルトが私の娘だからって遠慮しているのかしら?」
「もしかして…私、才能ないのかな?もし、どの武具にも選ばれなかったら、私、不合格なの?」
「もし、そうなったら、私が新しくその生徒のための武具を作るの。
その時は、生徒にも立ち会ってもらって、武装原石を選ぶ。もしくは、武装原石に選ばれる。
武具に選ばれなかったからといって落ち込む必要はないわ。
ほら、あなたを選んだ武具がひとつあったわよ」トルテが倉庫の奥の小部屋を指差した。
「ここの部屋にある武具は私が学院長になる前からある古株たちよ。
あの角で光っているのが、あなたの相棒になる武具なのね。さぁ、手に取りなさい、ティルト」
ティルトは緊張した面持ちで仄かに光っている古めかしい杖を手に取った。
「まぁ、懐かしい!これは、私が学院生時代に使っていた杖だわ…!
杖に選ばれたということは、あなたは魔法使いクラスになるわね」
ティルトはホッとしてちょっと涙が出た。

武具選定の次は、学院寮の部屋決めだ。4人で1チームの部屋のどこかに入ることになる。
「ここかな?」部屋のドア近くに「ティルト・ウェイト」と書かれたネームプレートがあった。
ティルトの下にある三人のネームプレートには、
「シオ・タイオー」「ミトーシ・アマスギ」「サツキ・ヤマイ」と書かれていた。
どんな人達なんだろう?ティルトは一度深呼吸をした後、部屋のドアをノックした…!

ーつづくー




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