Nicotto Town


ガラクタ煎兵衛かく語りき


目録




そんな昔のことではありません
かって我らが国には普く各地域に書店というものがございました
書店主は皆一家言を持っていらっしゃいました
せいぜい40年前のことでしょうか
ええ 各地域には書店というものがございました
30年前までは結構突っ張っている地方の書店様もいらっしゃいました
20年前までは無理しながらも 戦っている書店様もいらっしゃいました


今では無残です
今ではすべてネット配送の外資の前に敗れ去りました
皆様から
欲求ゆえに求められたその知識の欲求の行方は
皆様の地域から剥され 供給源は国内から消え去りました
いや 違うな 利潤が国外に移っただけですね
今はまだ供給源は国内に存在しています
かろうじて




そういった40年前のお話しを したいと思います

高校生の私
本屋さんに行く

あんとき札幌に進出した紀伊国屋さん
比較的安価な文庫棚に当然引き寄せられる

なんだか知らんけど
これだけは知っていた
 
岩波文庫は別格(今はもうない☆マークで価格を表示)
新潮文庫は優しい
角川文庫は魅力的だけど たまに棘がささる
数年経って中公文庫が発刊されたけど あれはあと一歩だった

その頃 当然我らが煎兵衛は別路線に走っていった

当然だろう SF 怪奇 ミステリ 冒険路線
当時は
煎兵衛 高校生の頃でありました 

我らが煎兵衛は 創元かハヤカワ文庫に移行していった
さて こっからが言いたいことであります





当時は各書店さんが元気だった 出版社も元気だった
文庫棚の横には分冊でそれぞれの過去最近に出版した現物やあらましを
丁寧にまとめてぶらさげていてくれていた

やがて各文庫ごとに その年ごとに過去を含めた発刊履歴を
それこそ一冊の本の体裁で すべて含めて 無料の陳列で配布し
一時は毎年更新されるそれらを集めた



それが目録
ある意味 私の知識の源泉
だって 一冊一冊小さな文字で簡潔に本質を突いたその本の紹介

おかげでそれは 大層勉強になった
だって 国別に整理されているんだよ

大抵は英国文学 米国文学 仏国文学 独国文学 伊国文学 その他の欧州文学
ラテンアメリカ文学 ギリシャの古典 そんな順番
ごめんごめん 日本文学は別の目録の一冊に収められていたね

その目録の紹介文を読んだだけで全文を読んだ気がするほど愚かじゃなかったけど
全体の把握 過去(近年)に日本で出版された翻訳物の全体像
それらがまだ柔らかい私の脳に刻み込められた

でもみんなそうだよね



その後大学の理系に進学したが 気持ちは文学青年だった
理系文系の分類は意味が無い と思う
(ただ私は数学は決定的にセンスが無いし 化学もまた然り)
教育学は学ぼうとしたことが無い(メイスンだっけ メイアンだっけ 忘れた)
SFを読んでいた影響で”総合学”という概念には惹かれた
”美学”はそれ以上に惹かれた

書いていて楽しくなってきた
若い時
自分が若い時
あなたが若い時
何を思って生きてたんだろう
みんな何を思って生きてたんだろう
(そんな心情の吐露にニコッとさんを使わせて頂いています)


でもあの頃に戻りたいとは死んでも思わない
だって 苦しかったんだから
冗談じゃございません
やっとここまで来れたんですから




という訳でスタンダールが仏人ということは
10代後半で理解し承知していました

なんて嫌味な煎兵衛でございましょw





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