Nicotto Town


ガラクタ煎兵衛かく語りき


fragment




私はその時 仕事中に端末から 本業とは関係ない情報を得ていた最中だった
その時 上司からの突然なネットワークにインサートされているという
端末からのセキュリティーアラートが 不意を突かれた形であったが
あながちあり得ると思える範囲で警告を発してくれた


警告度を最大度に設定した自らを自賛する間もなく
あらゆる障壁を超えて上司は命令を下した
「Do It!」


実は私は かねて用意していた いや 段々わかってきたからなんだけど
失踪を決め込む方向は以前より用意していたし あとは移行するだけなんだから
もとより 家族はいない 今後にも持たない
この仕事にかかわったときから それは持たないと決めた
幸か不幸か両親も知縁もいない(みんな戦争で死んだ)
気になった女性は数人いたが あまりにも素晴らしい女性ばかりだったので
言葉さえかけられなかった

イグニッサ アルマ ヒルデガッルド ローザリンデ 
ああ 涙するしかできない男を許してくれ
いや 踏みにじんでくれ 



「Do It!」
理解できる言語で彼は言った

その晩 久し振りに逢えたイグニッサは言った
「Du kannst das」

私に彼女の想いを伝えた
彼女のいぶかしげな表情は人種を超えて世界に伝わった
だって YOUTUBEで全世界で晒してたから
そこから人間の思考が新たに始まる
人 人種  肌の色  時代  話す言葉  スウィング

そしてタイミング


このお話はここで終了する 続きは無い
明らかに Fragment

また私に逢えるとは思わないでくれ
もし思ってくれたとしても その瞬間に私は存在していない
かなりの高確率でね





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