ちょっと昔の思い出
- カテゴリ:日記
- 2023/01/28 17:38:08
7~8歳くらいまで歌志内に育った
夕張や三笠に負けないくらいの炭鉱の街だ
もちろん近所を流れている小川は真っ黒だった
ある程度支流に合流するとその色は薄まり
最終的に石狩川(日本第2の河川)に至ると鮭が俎上してくるような清流になった
年に一回くらい 北海道の花の都 札幌までのSLに家族旅行で乗る機会があった
(母の実家が札幌だったので)
歌志内→札幌の途中に”江別”という都市がある
ちょっと気を許すとそのあたりでSL内に異臭が漂い始める
車窓を閉め忘れたボックスは周囲から非難の視線を受けることになる
(まだ子供だったので その辺のとこは実は想像で書いている)
あわてて窓を閉め この何とも言えない香りをしばらく甘受する
当時 江別には製紙工場があった 大きな工場だと思う
(今はない)
ガラス越しにその工場のでっかい煙突から白いモクモクとした煙がはっきり見えた
よく映画かなんかで SLがトンネルに入るときに
乗客一斉が窓を閉める という情景を見たことがある
見事その任務に失敗した乗客たちは トンネルをぬけたら全員熊五郎になっていた
という お笑いポイントを知っている
(そもそも熊五郎ってなんだ? という疑問をお持ちになる若い方にはごめんなさい)
江別を過ぎて さあ あとは苗穂だ 到着札幌だの頃は窓全開で
初春の北海道の爽やかな空気を胸いっぱいに吸い込んだ
母の実家には既に石油ストーブがあり その匂いにビックリした
だって 今まで石炭ストーブか薪ストーブだったんだもの
ああ 都会って石油の匂いなんだ
おまけに近所の中華屋からラーメンの出前を受けた日にゃ
こんな美味しいものが札幌にはあるんだ! と その日早起きした自分を誉めた
(お母さん ごめんなさい)
その後 中学生になり マアマア近くでは六価クロムの被害があり
四日市ぜんそく 水俣病 イタイイタイ病 は日常のものとなり
ちょっと経ったら光化学スモッグ
あちこちで鉱毒 廃毒 土壌汚染 水質汚染 大気汚染
最近ではあなた 環境ホルモンでございますよ
それに加わり自然破壊 プラ廃棄 宇宙デブリ
核廃棄物処理能力ゼロでございますよ
けっこう長いスパンで見れば 地球は氷河期に向かってるはず
でも すくなくとも人類が生きてる限りは温暖化なんでしょうね
いえ この辺は専門の先生のご意見に従います
それが正解だとは決して思わないけどね
小さい時に石油の匂いを嗅いで
ラーメンの美味しさに感動し
走り去るSLの貨車の石炭車に
線路際から うまーく手製の雪玉が乗っかるように放り投げ
学校帰りで転がりながら やった! と快哉の叫びを仲間とあげる
学校や近所の公園の遊具は 今考えたら 危険極まりない代物
国内で 年に数人はそれで命を落としたり一生消えない傷を負ったり
それでもそれらは撤去されず 翌日の私達の挑戦を待ち受ける
住宅街の裏は当然山である
山が連なっている
山の狭間には水が溜まる
どこにでもあった
歌志内にも三笠にも夕張にも いや 当然それ以外にもあるはず
勇気あるものしかその地に行きつけない(けっこう歩くんだ)
勇者しか辿り着けない(方向が分からなくなるんだ)
その地を 私達は ”底なし沼”と呼んでいた
転校を数多くこなした私はその呼称の共通性に驚きながらも
納得し その時折りの友人達とバカみたいに挑んだ
一回は危なかった
実際 そこが”底なし”なのかはわからなかったが視認できた
さて どうやって帰ろう
ここがどこだかわからない
途方に暮れた
頭の良い仲間が提案した
少し上に登ろう
彼の言うとおりだった
遥か遠くに(でも夕食までに帰れない距離ではない)知己の会館の建物が見えた
友人と無事に別れた後 何食わぬ顔で我が家の夕食を戴いた
男の子ってこんなもんです
もっと遡りましょうか
歌志内は炭鉱の街 そして馬の街
普通に公道を馬車がゆったりと走っていた
あんときバスが走ってたのかは覚えていない
いや そもそも数十秒のラクチンを求めて
馬主の隙を窺いながら(今思う 先刻ご承知だったのでしょう)
幼稚園児が帰路を辿る馬ソリの後ろっ側に乗り込み鎮座して
家が近づいたら何も言わず降りて家に向かって駆け出す
(へたに挨拶したらむこうも気まずい)
その晩の夕食は”なんこ鍋”
知ってる方は知ってる料理
馬の腸を綺麗に洗いブツ切りにして野菜と味噌で煮込む
そんな郷土料理でございます
たいそう 美味しゅうございました
今まで綴ったのはゼロ代から十代の炭鉱の頃の話
私も年を取りました
40代後半から60代に至るまで 上記の各地を数回バス旅行でまわりました
(いや さすがに底なし沼へは行きませんでしたが)
順番に記述しましょうか
①以上の3市 歌志内 三笠 夕張 すべて日本でも(予算レベルで)最底辺の自治体になりました
②今が 公害が無いかというと その答えは難しいです いや 新たな公害が露見してるでしょ
③江別は私にとってのコニーアイランドなのかもしれません
④「アッと驚く熊五郎」とはいっさい関係がありません
⑤そのラーメン屋は柳の生い茂る創成川沿いにあったと思います 今近所なのに知る由はありません
⑥石炭→石油→ガス→原子力 この次は一体何?
⑦アトピーとか花粉症とか 昔はなかったよね
⑧「今日どこで遊んでたの?」「底なし沼で」んなことは絶対言わねえ
⑨春先の札幌の風を馬糞風と今でも言います これは いつか テレビでも特集を
あ 誰もテレビ見ないか
ちゃんちゃん