小雨に
- カテゴリ:小説/詩
- 2023/01/15 02:41:38
たくさんの雨の後に降る小雨
少しだけお酒を飲んだ
今何時だろう
何時でもいい
いつか夜はあける
重く行き交うトラックの音
大きい道路に近いこのマンションの眠りを覚ます
起きているのは私だけだろうか
人々の寝息は聞こえない
空も暗闇の中
愛していた
心から
でも別れた
あなたと私
どちらが切り出したのだろう
別れて半年
まだ想っている
すぐに忘れてしまう
そんな愛じゃなかった
少なくとも私には
今でもできるなら
あなたの胸に飛び込みたい
でももう許されない
私の鍵ではあけられない
パズルが砕けてしまった
お酒をもう少し
小雨に乾杯
もう何もできない私の
精一杯の祝杯
誰が喜ぶというのか
せめて朝まで過ごそう
電気を消したままで
キャンドルに火を灯して
ゆれる炎の向こう側に
あの時の二人を探すように