Nicotto Town


ガラクタ煎兵衛かく語りき


白と黒と黄と酔っ払い



白と黒

白鍵と黒鍵
白鳥と黒鳥

白い光と黒い光
白い波と黒い波

白い風と黒い風
シロヒトリとクロバネヒトリ

白けた冗談とブラックジョーク
真っ白な嘘と真っ黒な嘘


エボニー・アンド・アイボリー(P.M & S.W)
白鍵は7鍵よ 黒鍵は5鍵しかないわ
じゃあ裏返しすればいいじゃない?
クルッ!

あ! 素敵な音列
どうして今まで気付かなかったのかしら
どうしてでしょう
空を見た


もしかしたら秘密にしていたんじゃないかしら?
そんな事ってあるの?
母は真っ直ぐに娘を見据えた
「世の中は不可解よ それに従うか 抗うか それはあなた次第なの」
「え? 何? それメンドくさい」

「ゴメンね 巻き込んで」
「ううん でも何となく分かってた」


「あと 黄色も あるのよ」
母は遠い空に向かって言った
更なる問題提起を この時期なら娘は乗り越えられると信じたくて
つい難題を 神妙に 慎重に 言い放った

娘はこれらの数秒で見事に自らのニューロンの進化を遂げた
「あっはっ 何が問題なの? みんな同じじゃん 」
「え?!」
黄色? 素敵な色じゃない? ていうか綺麗じゃない!」

母は即座に喜んで娘に世代を譲った


数年後に
白鍵と黒鍵の間に
黄鍵という1/4の周波数の違いをを持ったキーが
搭載された新たなキーボードが
YAMAHAやROLANDやKORGやら 死んでいたMOOGからも
それどころか AKAIからもCASIOからもKAWAIからも
全世界の楽器メーカーが遅ればせながらも追従し
空前のキーボード革命が巻き起こった

微妙な音階を可能にする新たなコードが開発 発展 知れ渡ってきて
さらにベートーベンやショパンが墓から蘇って作曲活動に再び勤しんだり
(これはあくまで噂ベースである)
日常のラジオからは”新音楽”が流れ始め
テレビで紹介され始め
そうして やがて 音楽の教科書に載りはじめる


世界は戦争を忘れ
新たな音階の魅力に酔い痴れて
新しいリズムのダンスを踊りまくり
新しい和音(コード)に身を捩らせて
新しいハーモニーを発見して
自分が今まで生きてきた意味を確認して感謝する
音楽に感謝する



たとえば ”猫踏んじゃった”は
黒鍵だけで成立する曲であります
(けれども無やみに踏んではいけません 彼らを怒らせてはいけません)


黄鍵だけで成り立つ曲 フレーズが それだけで成り立ったり
一つの曲として 或いは逆にアクセントとなったり
その辺の周波数を際立たせたり
そもそも音調を変えたり

逆に黙殺して 従来の音をキャラ立ちさせたりしてもいいかもしれない
バトルしよう




んんんんもう





白と黒から始まったこの思考
黄色を乱入させたのは多分偶然なんだけども

この世は一触即発
もうやめよう
素敵な音楽で踊り狂おう
いや 狂わなくても結構よ
理性的に楽しめればいいんだから

右手を挙げて say yes
左手を挙げて  say no


どっちでもいい
頭を振ってステップを踏めばいい
ドレスコードはマイナカードなの?




夜が明けてきたわ
もう帰るね
ありがと
一人で帰れるよ


今はいつ?
あなたが私だったら
私はあなただったかしら
今はいつ?

あれ?
酔っぱらっているのかな
飲みすぎちゃったのかな

そんなに飲んでないけど
それほど目立たないよね
だって みんな みんな 酔っ払いだから
みんな みんな みんな 酔っ払いだから

キスミント持ってる?





Copyright © 2024 SMILE-LAB Co., Ltd. All Rights Reserved.