Nicotto Town


「さくら亭」日報


コーデ記録~霜夜の鐘声



中華系でコーデして遊んでいたら
なんとなく浮かんだ物語のかけら。









大陸を統べるは偉大なる帝国。
神獣を祖に持つと伝わる若き皇帝は
百官を集めた席で、属国の王に命じた。
「其方の娘を正妃として迎える」
王は急ぎ国元へ走り、娘を呼び出す。
公主たる娘はふたり。
亡き第一婦人の産んだ姉公主と、第二婦人の産んだ妹公主。
慈悲無き苛烈な皇帝の元へ、可愛がっている妹公主をやるに忍びなく、
姉娘を差し出すことに決めるが、
当の妹公主が正妃の位を欲したため、その我儘を叶えることにした。
「ではお姉様を下女としてお連れしましょう」
姉公主の母の一族は政変に敗れ、全員が屍となった。
それを知り、儚くなった母。
後ろ盾を失った姉公主は疎まれ、虐げられることになる。
公主と呼ばれながらも嘲笑され下女のように扱われ続けて
既に心は疲弊し、身体は衰弱していた。
生きる気力も死を選ぶ気力すら失って、ただ命じられるまま従った。
生ける屍のような姉公主を、しかし妹公主は尚も甚振る。
彼女の気に入りの玩具であったから。
そして姉公主の今は陰った美貌に妬心を抱くが故に。
栄華を極める自分を見せつけたくて。
だが皇宮にて拝した皇帝は烈火の如き怒りを放つ。
「其方の娘を、との命に逆らうか」
そうして付き従った一団の末尾にいた姉公主を見つけ出す。
「ようやく見えた。我が妻よ」
皇帝の祖は神獣・白虎。
その本性は獣であり、獣は己の番を匂いで見つける。
王から番に近い匂いを感じたからこその命であった。
そして、皇帝の鼻は妹公主が王の実子でないことも暴いてみせた。
皇帝を謀った罪で、王も妹公主も第二婦人も全てが処された。
姉公主は仙桃を与えられ、本来の姿を取り戻すが、
長年の虐待に壊れかけた心までは癒されず、
皇帝はその寵愛を注いでゆっくりと癒える日を待つことになる。

白虎の血を正しく引き、白髪に生まれ、白虎の姿になれる者だけが
皇帝と認められる。
獣の本性を鎮められるのは番だけ。
そして番との間にしか次代の皇帝は生まれない。
他の女との間に子供を作っても、白髪にも白虎にもならない。
それが分かっているので歴代の皇帝は後宮を拒否してきたが、
理由を知らぬ野心家たちが娘を献上するのをやめない為、
仕方なく後宮所属の女官扱いになっている。
なのでお渡りはない。その説明もされているが、
後宮に押し掛けるような者たちは聞いていない。



といった、「ドアマット」系ヒロインの中華系異世界恋愛もの。
しかも番の溺愛付き。
べったべたです。
でも考えるのは楽しかった。
でも固有名詞を考えるのが面倒…。
ううむ、短編で書けないかなあ。

コーデはリハビリ中の皇妃(姉公主)。
長年の虐待で人間恐怖症になっているので
白虎の姿で見守り、絆そうとする皇帝w
もふもふは最強だから仕方ないね!
なので深夜に散歩することに。
こんなに寒い夜であっても。
でも夜中を告げる社寺の鐘が鳴ってるからもうそろそろ
引き上げ時かなあ、という感じ。


で、タイトルは張継の『楓橋夜泊』から。
月落ち烏啼いて霜天に満つ、って奴で
おそらく全文を諳んじられる数少ない漢詩です。
実際は晩秋の光景らしいんですが、
霜が降りそうな寒い夜なんて、もう冬でいい。
楓が紅葉している様子は、この際無視で。

なんというか、ひたすら侘しさを感じる詩なのですが、
同時に月と霜、烏に楓、漁火、といったイメージが
なんとも胸にくるというか、
寂々としたビジュアルがたまらないほど美しく思うのです。

ちなみに。
この漢詩ですが。

漫画で覚えました!www
森川久美の『蘇州夜曲』なんですけどね。
黄がね、そりゃあもうツボでツボで。
この頃から中華系黒髪男のビジュアルは好きだった。
ただ、リリィの豹変っぷりとかパパンの変態っぷりとか
本郷さんの純愛が蹂躙されて酷いw
続編で長期連載になった『南京路に花吹雪』は。
タイトルに反して結構ヘビーな内容で。
当時の私には重すぎた。
租界時代の終わりの上海が舞台だからね。
本当、よく本郷さん生き延びれたよなあ…。
そして今でもイメージアルバムの曲は歌えますw




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