Nicotto Town


ガラクタ煎兵衛かく語りき


完全犯罪




今思いついた(17歳)
完全に実行できる
誰にも もちろん警察にも
絶対バレない殺人計画 その遂行


その瞬後
背後の本棚を感じた
防御反応が働いたのかな


結局決行はあきらめた
なぜならそこには 17 歳にしては夥しい数の推理小説が整然と並んでいたから



こりゃあかん
絶対疑われる
クイーンにもヴァンスにもポワロにも小五郎にも




現場と自室は遠く離れている
面識もない
接触情報もない(多分)
どう考えても両者を繋ぐ糸はない


何もミスはしていない
揮発性の〇〇を使用したとしても
その出所は誰にもわからない
あ 本棚をすべて読まれたら
うう





ある日 奇特な刑事さんが近所に配属され
高をくくっているうちに
家に来て
自室にいらした
本棚を見た


彼は透き通った声で瞬時に告げた
「半分わかりました 近いうちにまたお邪魔しますね」

彼は何を見たんだろう
彼は私の本棚の何を見たんだろう
彼は誰だったんだろう
数日後 彼は逮捕状をわざわざ私に見せに来てくれた


『あなたを※※※で逮捕します』




そこまでで私の刑務所行きの妄想は終わる
結局私は決行しなかった
背後の本棚の推理小説の数が半端なかったので
みるひとがみれば
犯人は明白であったのかもしれない



引っ越しがあったので
それらの書籍は半数以上を売っぱらい
新たな居所でその半数くらいは古書で買い戻し始め


結局はまた以前のような
いや それ以上の本棚に今現在なっている


やれやれ
これじゃ
いつまでたっても
かんぜんはんざいなんてできやしません



さて
わたしは
そもそもだれをころしたかったのでしょうか

うん ころすんじゃない
ただ かんぜんはんざいをしたかっただけ
それによってりくつでひとをけすだけ
あ 政治か



かんぜんはんざい
未到達のまま
もうすこしがんばります
わたしのかんぜんはんざい


いっぱんしみんでいきます
わたしのかんぜんはんざい
あたりまえのことをいいます


17 さいのぼく
けっこう
まちがえていなかった





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