使命
- カテゴリ:家庭
- 2022/10/22 11:08:49
「たしかに、子は父のものだ。しかし、父が子をぶつと、子は母の離れに行って慰めを求める。万事順調、素晴らしい人生なら、子は父の故郷のもの。しかし、悲しみと苦しみがあれば、母の故郷に庇護を求める。母はここでお前を守ってくれる。この地で母は眠っておる。だからわしらは、母は至高なりと言うのだ。オコンクウォよ、母にそんな浮かない顔を見せ、慰めを拒むのが正しいことかね。気をつけるがよい、死者の機嫌を損ねてしまうぞ。お前の使命は、妻たちと子どもたちをいたわり、七年後、父祖の地に連れ帰ることだ。しかし悲しみに打ちひしがれ、命までも失ってしまうと、妻も子もみな流刑の地で死ぬことになるぞ」
ー 『崩れゆく絆』 チアヌ・アチェべ ー