南の魔女クレア144
- カテゴリ:自作小説
- 2022/08/21 00:08:19
クレアも其の借金取り立て業者との契約に立ち会っていて3度注意をしても働きが悪かったら連れ帰って貰ってその間の給料も払わないと契約をさせました。
クレアはもともとそんな得体のしれない人達を雇うのには反対でした。
修道院の規則を守って貰うと言うマキバルの酒もたばこも持ち込み禁止で更に労働時間が終わったら修道院の修道士が使っていた施設に入ると朝の労働時間が始まるまで其処から出れません。
蔦植物と修道士への食事を運んだり洗濯などの身の回りの世話をする為にクレアは木の家からお世話係のぬいぐるみを持って来て人かさせて使っていて蔓植物と彼らで厳しく管理されています。
其の厳しい管理に一月半耐えると食事はクレアが持ってきた田舎料理をするぬいぐるみが作る「魔女の木の家」の朝、昼、晩のメニューですので他の季節労働者に与えられる食事よりはマシですし個室も与えらるし仕事以外は外に出られないので余計なお金は使わないのでジルドから働かない旦那を入れて借金を返そうと言う家からけっこう人が来て終わる時は女房が金を使う前に迎えに来たり港町やモゾリアナ国内からも親や親戚の紹介と言われて毎年働きに来る常連が居たのです。
其処で学費を稼いで上の学校に進学する少年も居たりで其れなりに人は足りていたのですが村のあの事件で村人が大勢警邏隊に捕まえられて刑務所に入れられた時からジルドからの労働者が来なくなりました。
其れでも何とか上の学校に行きたいと言う少年達が来て何とか人数は集まったのですが次の年も人数が集まるかと心配をしていた矢先にカリドからの紹介で借金取りの業者が大勢の借金返済をしない男達を連れてきて港の荷役に酷い環境下で行って毎年其の4分の1は殴られて弱った挙句に食事もろくに与えられずに衰弱して海に落ちて死ぬと言うのです。
其の何人かをクレアの農場の季節労働者として雇ってくれないかと提案してきました。
季節労働者にとってもいくら大勢該当者がいても死なれたら其の死ぬ前の賃金しか取れません。
クレアの所に入れて置けば最終日に確実にお金が取れるし更に顔色もガタイも一回り良くなり更に彼らはまた借金をするので毎年確実に金が取れるので港の荷役労働者より一日の労賃は少ないですが堅実に金を回収できると言うのでカリドの提案に乗りました。
ですが連れて来られても中には働かないで反抗的な態度を取るのも居てクレアは3度注意しても働かない労働者は突っ返すし其の間の労賃は払わないと言う契約書を交わしていたのです。
そうやって返された借金労働者は厳しい暴力で支配する見張りとベットも無く床に寝かされて碌な食事も無い中で重たい荷物を船から降ろして別の荷物を船に乗せると言う重労働に行かされるのです。
最初はクレアの農場と同じように反抗的な態度を取るので其の時点で酷い暴行を受けて逆らう気力もなくし更に碌な食事も与えられずに其の半数は事故死?と言う状態で生きていたとしても俳人同然だそうでカリドは此の場末の港町に連れて来られて身を売らされる女達の心配をしてましたが男達の事も心配してました。
そしてクレアの所にジルドからの季節労働者が来なくなって学費を稼ぐために働きたいと言う少年が居ないかと相談に来た時に此の事を思いついて借金回収業者に話を付けたのでした。
契約書通りにクレアは其のふてくされて村人の労働者の親方筋の言う事を聞かない其の男を借金取り立て業者が寝泊まりしている所につれて行くと手足を蔓植物に縛られた其の男を乱暴に投げ捨てると季節労働者に契約したお金から一名分を差し引く金額に書き換えさせると二度とこんなのを送り込むなと怒鳴りつけるとさっさと帰って来ました。
村の親方筋が人数が減った分人手が足りなくなるので代わりを誰か雇ってきて欲しいと言うのでハタルに魔女の城から農業が出来るぬいぐるみが無いかと聞くとハタルが偉大なる魔女の城に勤めていた馬の世話係が城の敷地の作物の世話もしていたと言うので其のぬいぐるみを持って来て貰って人化をさせて馬も扱えると言うと仕事の中に刈り取った小麦を港町の業者に運ぶのにちょうど良いと言うので喜ばれました。
良かった良かったと思っていると借地人農家の相談に乗っていたマキバルが風の噂を聞いて大慌てで帰って来ました。
慌てるマキバルにクレアは冷たく「約束は約束、ルールはルールですから」としらっとした顔で言うと部屋に戻って済ました顔でハタルが持ってきた古語字で書かれた文字を辞書で現代語に直し始めました。
刈り取った麦の穂を港町にある製粉工場に売りに行った者が其の男がさんざん殴られたのか顔や足や腕に怪我をしてふらふらしながら荷物を運んでいる様子を帰ってから他の村人に話しているのを聞いてマキバルは気が気ではありません。
4日目に港町に行った者が見た時はすっかり痩せこけて傷の手当てをして貰ってないのか傷口がはれ上がって血が流れていてあれはそう長くは持たないなぁと彼の様子をマキバルに聞かれて話しました。
マキバルは意を決してクレアに彼を迎えに行きたいと言いましたがクレアは冷たい目線をゆっくりと顔を動かして浴びせると同時に「約束は約束、ルールはルールですから」と言うと辞書を手元に引き寄せるとページをめくり始めてそれっきりマキバルの言葉に耳を傾けるどころか鼻歌を歌いながら訳した文を書き始めました。
マキバルはハタルに相談しましたがクレア様もあれっきり4ページが訳せなくて約束通りにクッキーが貰えてないし此れは仕方のない事ではとクレアと同じ意見なのか首を振るだけです。
8日目に港に行った者が彼の様子をマキバルに言われて見てきて後数日は持たないだろうとふらついて荷物を担いでない時もまともにまっすぐ歩けない様子だったと聞いたマキバルはいても立っても居られず何とか村から出て彼の所へ行こうとしましたがもともと修道院から出れなかったのをクレアの魔力で村の中は自由に動けるようにして貰ったのです。
クレアと一緒でなければ村の外には出れないのです。
マキバルはハタルに何としても彼を助けたいと言いました。
ハタルが仕えていた「偉大なる魔女」は王国の女王として一つの領地を支配していましたので規範を守らせる大切さを理解してましたがマキバルは150年も此の修道院で年月と言う経験を積んできても其れ以上に死んだときの年齢の純真さが勝る時が在るのです。
其れがマキバルの欠点でもあるのですがハタルが仕えていた「偉大なる女王」とは別の弱い物をほおってはおけないマキバルの生まれ育った環境から来るものなのか或いは生まれつきそうなのか優しさが出てしまう時が在るのです。
生まれつき利発で愛情深い両親の元で年の割に高い教育を受けて育ったのでしょう。自分が仕えていた「偉大なる魔女」とは別の感情でマキバルを見ていました。
目を赤くして心から真剣に自分を頼る目の前の少年の姿に意を決したようにハタルは「では彼を此処に連れて来る間は毎日クッキーのおやつをクレア様に与えると言う条件で交渉してみてはいかがでしょうか?」と提案をしました。
マキバルはそうだ其の手があったのかと直ぐにクレアの所に行って彼を此処に連れ帰って彼がいる間はおやつを与えると言う条件を提案しました。
クレアはあっさりと其の提案を受け付けました。
そうなんです。
長い事修道院の生活を見て来たマキバルはお腹がすかないし「スィート愛」など理解できませんし、実は後ででてきますがマキバルは元修道士が住んでいた別棟の補修をしたいとお金を貯めているのです。
館長や上部修道士が住んでいた館長館はクレアのお金で立て替えますがクレアは此れも後で出てきますが残りは朽ち果てても良いと言う考えです。
マキバルは出来るだけ最初の頃の状態か或いはそれ以上にして存続させたいと思っていてお金がかかるクレアの食事の要求を出来るだけ制限しているのです。
事実上の農場の管理も其の他の管理もマキバルにさせているので其れではクレアが毎日の献立や献立の材料を買う手はずを考えるかというと管理をクレアがひきうけるかと言われると其れもした事が無いのでめんどうでせいぜい「魔女の木の家」から持ってきた人形が作る田舎料理の何品かを日にちを変えたりハタルが持ってきたコックのぬいぐるみの割とか兎の作ったクッキーなどの生地を元にしたのをマキバルが許可をハタルと相談してイドエルが来た時は同じコースメニューになったりしますが其れ以外はデザートやおやつはマキバルの許可が下りないのです。
それともしかするとクレアも其の男が死んだらあまり良い気はしないと思ったのかもです。
なかなか小説が載せられないのと載せると3000文字が過ぎてしまって内容を削る作業で多少は心の機微を書いている所もあるのですが、殆ど其の部分を削る羽目になって時系列かあらすじの様な文章になってしまってます。
クレアと直ぐ上の兄のモーリスとは同じ日に引き取られて二人の間には色々な事が在ったのですが其れを省きました。
薄っぺらな心の機微を省いた時系列の様な文を読んでくださっている方が居る事に感謝してます。
もう一つの小説の「忍者物語」の方が面白いと思うのですが此れは挿絵が作れそうにないので乗せられません。時代は応仁の乱以降の戦国時代の初めの頃のまだ伊賀、甲賀等と大きな組織が出来る前の忍者もどきの話です。
私はこっちの方が好きです。どっちも環境に振り回されながらやむなく其れなりに生きている女をかいているつもりです。
クレアも魔女になりたくてなったのではなくなったらこうなったけどクレアはクレアでなのだと環境が変わるけど其の場で何とか頑張るけど理想的な女でもなくとびぬけた美人でもなく善人でもないのです。