南魔女クレア142
- カテゴリ:自作小説
- 2022/08/12 23:57:47
クレアはクロエラルドの湖でおぼれ死んだ姫の話をした時に郵便局長が声を割と大きな声で声を荒げ気味でクレアの話を否定したのと其の時に彼の膝に乗っていたシーズの幼い子供が明らかに緊張したような様子を見せた事に落ち込んでいました。
今まで誰もクレアにその様な普段の場面で取った人はいませんでした。
お父様は勿論ピェールお兄様もあのモーリスお兄様でさえ大きな声でクレアの言う事を否定すると言う事はありませんでした。
大人同士の男同士の言い合いや怒鳴り声は効く事はあっても或いはクレア以外の人達がクレアのいない所で怒鳴りあっているのを聞いていてもクレアに対しては別でした。
しかも小さな子供がいる前でとシーズの子を怯えさせたのではと心を痛めました。
そんな事を考えながら修道院に付くとマキバルとハタルがクレアの帰りを待っていたかのように直ぐにクレアに話しがあると言って来ました。
どうせ説教だろうと思ったクレアは先に先手を打つことにしました。
「ちょうど良かったわ!私も一度マキバルに話が在ったの。あのねぇ、結局はガスを引く事にしたけど何で其れがボイラーまでつける事になったの?他の家はガス栓だけを付けて貰って其れでシステムキッチンのガスオープンは十分だと言うじゃないの!」とマキバルに今日のもやもやしていた気持ちをぶつける様に怒鳴りました。
マキバルはしばらくキョトンとしていて其れから「クレアが栓をひねるとお湯が出るバスタブの話を一番最初にしたじゃないか。」と言いました。
クレアは一瞬キョトンとして「そうだったかしら?」と言いました。「そうだよ。僕が作ったゲストルームが気に入らないと言って他はこんなんじゃないと言って・・・。ガスの事もクレアが一番最初に言い出したんだよ。」と言いました。
でも何でも交渉はクレアにさせた事は村の人達も反省して最後は村長達が交渉に行ったから其の話はもう其れで済んだ事だよ。」とマキバルはクレアに念を押す様に言いました。
最近クレアと村の人達は殆ど口をきかない様になっていて其れもあってクレアの陰口をこれ見よがしに言うようになり其の事がますますクレアは村人を避ける様になっていました。
クレアは確かにあの昔のお城の王様の寝室の様な絢爛豪華な部屋の悪口を言う時に現在の貴族家のゲストルームは違うと言う意味で言った様な気もします。
痛い所を付かれたような不意打ちを食らったような気がしてクレアが黙るとたたみかける様にマキバルが話始めました。
「実はハタルが『魔女の城』から興味ある本を持って来ていてどうも魔法の事に付いて書いてあるらしいんだ。特に植物に関しての魔法らしいと言うのだよ。
でハタルは魔法は前に使えていた魔女が持たせてくれた落雷を出せる杖だけだけどクレアなら此の本にかいてある魔法でほらイチゴとか『魔女の木の家』にあった果樹園の様なのが作れる魔法が此の本に書いてあるんじゃないかと思って持って来てくれたんだ。」
クレアは『魔女の城』にある大量の本については勿論知っているし其の中も覗いで其れが古語ではなく更にもっと古い時代の文字で書かれている事も見て知ってました。
ハタルが「私自身が興味があるのは勿論だがもしクレア様も興味をお持ちなら其れを現代語に訳して貰いたいと思いましてお持ちしました」と恭しく其の本をテーブルの上に置きました。
「でも私はこの文字は読めないから・・・。」と其の本を手に取ってひろげると確かに植物の挿絵が載ってます。
ハタルは一本の大きな羽ペンを出して「此れは『魔法の羽ペン』で『古古語字を古語字』に訳します。クレア様は其のやくされた『古語字』を『現代語』に訳して頂きたいのです。」と言いました。
ハタルが言うのには其のペンは一日4ページを訳すそうです。其れをクレアに『古語字辞典』を使って現代語に訳して欲しいと言うのです。
ハタルは自分は今マキバルの手伝いで忙しいので出来ないと言い、マキバルがとても頭を使う作業なので疲れるだろうから4ページを一日訳す事ができたらクッキーと甘いココアを出してくれると言うのです。
ただし、一日4ページの翻訳が出来ないとクッキーは出ません。クレアはちょうど郵便局長の所へ行くのは控えようと思っていた所なのでクッキーの中にシュガーミントクッキーが入ると言う事で其の話に乗る事にしました。
最初の3日間はクレアは必死でハタルが持ってきた4ページ分の紙の役をこなしてハタルが持ってきたクッキーを食べてココアを飲む事が出来ました。
ハタルが来てからハタルの助言とハタルが持ってきたコックになるぬいぐるみで食生活が随分良くなりました。
其れまではマキバルが用意する食事は散々クレアが文句を言ったので何とか魔女の木の家での食事の田舎料理になりましたが最初は薄い野菜を煮た後の汁に塩を少し入れて味を付けたスープと其れを煮た野菜とパンが一つと言う食事でクレアを怒りでそっとうさせたのですが何とかクレアが魔女の木の家から食事を作るぬいぐるみを持って来てシチューは豆とかジャガイモやニンジンが入りパンも二つになり更にベーコンや干し肉も偶に付くようになりました。
其れがハタルが来てから夕食はディナーらしく前菜のサラダと必ず何らかの肉料理か魚料理でスープやシチューも本格的になりパンの種類も増えました。
だけどデザートだけはクッキーとは程遠い薄い塩味の小さな焼き菓子とイチゴでした。
其れでもクレアが探して持ってきたパティシエになるぬいぐるみに作らせるように言うのですがマキバルがハタルが説得しても贅沢だと言って許可をしないのです。
やっとパティシエの作った本格的なお菓子を食べる事が出来てハタルがミントシュガークッキーを乗せたお皿を持ってきた時はクレアは白猫のハタルが天使の様に見えました。
魔女の城からクレアに付いて来た茶色の犬もクレアが嬉しそうにしているのがうれしいのかしきりにクレアとハタルの間をうろちょろしています。
所が四日目になった頃からピタッと翻訳のペースが落ちました。
幾ら調べても辞書に載ってない文字が多くなったのです。
其れから3日間は4ページどころか2ページも翻訳が進みません。
そうするとマキバルが約束は約束だからとクッキーとココアはクレアがいくら待ってもハタルはもって来ませんでした。
クレアも決して怠けているわけではないのです。
3冊もある古語辞典も駆使して其れらしき文字を選んで訳してみるのですが文章にもならない節ばかりで前後の文字を変えても名詞だけを書きだしても全く文章にならないのです。
イライラしたクレアは気分転換に修道院を出て魔女の木の家に行って以前自分が作ったジャムの瓶の蓋を乱暴に開けるとスプーンでジャムを救ってむさぼり食べました。
少し気分が落ち着いてまた修道院へ戻ろうすると何やら農場の中で男達が言い争っています。
どうしたのかとクレアが聞くと季節労働者の中の一人が一つも仕事をしないで誰が注意をしてもふてくされた様に突っ立っているだけでマキバルが他の人達の苦情で注意をして此れで3日目になると言うのです。
此の季節労働者の集団は金貸し業者が借金を返済期限が過ぎても借金を返済しなかった人達を連れてきてクレア農場で一定の期間を働かせて其の労賃は借金の返済に充てると言う契約で雇っている人達でした。