新宿駅~
- カテゴリ:小説/詩
- 2022/07/21 00:41:18
青い記憶の中に
微かな映像が流れていく
さよならも言えずに
プラットホームに立ち尽くす私
うるむ視線の先
人混みに消えていくあなた
プラットホーム
この空間に私の居場所は無い
滑り込んできた電車に乗った
ドアにもたれ私は泣いた
振り返り窓の外を見た
滲む景色が後ろへと流れていく
それは
すべての物を過去の世界へと押しやるように
あなたは過去へと流れていく
私の心の中に強く残像を残したまま
ドアが無言で開いた
私はドアの横の手すりを握りしめた
うつ向く私の背中を何人かの人が通り過ぎて行った
黙ったままあなたのように
その時私はドアの外に心を捨てた
電車が動き出した
「さよなら」
始めて口ずさんだ
景色が流れていく
過去へと向かって
JR新宿駅は一日の乗降客数78万人
私鉄等を合わせると350万人
恐ろしい数の人が利用しています
過去・現在・未来を持った人達
喜びや悲しみを抱えている人の無言の集団
しかも構内をあわあわただしく
電車でどこかへと運ばれていく
でも自分はその中の一人
地方の無人駅でも同じ自分は一人
結局は一人なんでしょうね
大きな流れの中で漂う心
いくつも、いくつも、といった感じでしょうか
あぁ~心の移動ですか。
そういう風に考えると
確かにそう考えられますよね。
電車もそうですが、
プラットホームも
色んな過去や未来を持った人たちが
集まる不思議な場所。
と思えます。
駅って不思議
体の移動ばかりでなく心の移動もするみたいです
もっとも朝の通勤ラッシュの時にはそんな感じはしませんが・・・
流れる景色・・・
特に後方に流れて行くのを見ていると
過去へと流れていくように感じます
電車の扉が開く
それは不思議な空間への入り口
ちょっと考えすぎ?
駅の
プラットホームに
降り立ち
あなたが いないことに
気づく
悪いことを した
と 後悔の 念だけが
私を 包み込む
私の 生真面目で
思い込みの
性格の せいで
また
ひとつの
大切な 縁を
失ってしまった
駅の 自販機で
温かい ミルクティーを
買い
一口 飲み
その 温かさに
私は 涙を 流す
その時
電車が 着き
私は
電車に 乗る