安倍元首相殺害事件についてのコメント その2
- カテゴリ:日記
- 2022/07/15 11:40:26
○安倍元首相の死と参院選の結果が今後の政局(権力闘争)に与える影響
・2022年参院選の焦点は、選挙終了後に岸田首相の人事
次に、2022年参院選について述べたいと思うのですが、
実は2022年参院選のポイントは、選挙終了後に
岸田首相がどのような人事を行うかという点にあったように思います。
今回の参院選は、大きな争点もなければ、
選挙の追い風も逆風も吹かない無風選挙だろうと予測されていました。
そして、争点なき無風選挙、盛り上がらない選挙、
従って低投票率の選挙を行うと、
固い支持層を持つ自民党・公明党が勝ちます。
ですから、岸田政権が成立してから約10ヶ月が経ちますが、
この間、岸田政権は大きな失点を生み出すことがないよう
安全運転に徹していたと言えます。
岸田政権独自のカラーを出すことも、これまではあえて控えてきました。
そして、この参院選の勝利で政権の足場を固めた上で、
岸田首相は、岸田政権独自の政策を進めるために、
安倍元首相の影響力を岸田政権の中から排除していくのではないか
と考えられていました。
先の自民党総裁選で、
安倍元首相の支援を受けて岸田首相と戦った高市早苗自民党政調会長、
安倍首相の弟である岸信夫防衛大臣。
彼らを政権の中枢から外していくのではないか。
そう考えられていました。
安倍元首相の影響力が政権内部に強く残っている限り、
岸田政権は、安倍傀儡政権という性格を脱することができない。
従って、アベノミクスからの転換を進めることも、
岸田首相独自の政策を進めることもできないからです。
このような政治情勢の中で、
安倍元首相が銃殺されるという事件が起きました。
ですから、このような政治情勢を、
自分たちにとって有利な方向に動かすために、
この事件を、安倍元首相の死を、
政治的に利用しようとする人々も現れるでしょう。
そして、そのような動きは、
岸田政権の不安材料になっていくように思います。
・安倍元首相の死をキッカケとした、岸田政権の不安材料
1)岸田政権内部に安倍元首相の影響力を残したい人々は、
おそらく「安倍さんの遺志を受け継がなければ…」といった語り方で、
安倍元首相の死を持ち出すことで、
岸田首相の方針転換に抵抗したり、
政権内部の主導権争いに利用したりするのではないかと思われます。
そして安倍派は、自民党内の最大派閥だから、
その最大派閥と対立するようなことになれば、
岸田首相も政権運営がむずかしくなっていきます。
2番目の不安材料として、
2)同時に安倍派も、派閥の要であった安倍さんを失って、
その影響力を大きく低下させいくのではないかと思われます。
しかも、安倍派の中には、
誰もが安倍派の後継者として認めるような人物が育っていません。
その点で、安倍さんは自分の後継者を育ててきませんでしたし、
安倍派の議員も、もし安倍派からの首相候補を出すなら次も安倍。
安倍の再々登板に期待する派閥でした。
その安倍元首相を失ったことで、安倍派は衰退し、
ひょっとしたら分裂に向かうのではないかという気がします。
そして、安倍派の衰退・分裂は、
安倍派の影響力から抜け出したい岸田首相にしてみれば、
人の死をこのように表現することは、はばかられますが
「渡りに船」「濡れ手で粟」「棚からぼた餅」みたいな話になります。
しかし、ことはそう簡単では無いと、私は思います。
3)日本社会の右派勢力の人々は、安倍が長期政権を築き、
退陣後も自民党内で大きな影響力を振るってきたから、
自民党を支持し続けてきたところがあります。
安倍もまた、その右派勢力のまとめ役となり、時には抑え役となり、
積極的な代弁者となってきたから、彼らの固い支持を保ち続けていました。
夫婦別姓、LGBTQ関連の法案がなかなか成立しないのも、
安倍が中心となってこれらの法案に反対してきたからだと言えます。
その右派勢力のまとめ役であり、抑え役であった安倍がいなくなった今、
右派勢力は、引き続き岸田政権を支持していくでしょうか。
まとめ役がいれば、岸田首相もまとめ役と話を付けることで、
右派勢力を懐柔していくことができます。
ですが、そのまとめ役がいなくなった今、
右派勢力は、自民党の中で大人しくまとまっているでしょうか。
岸田政権を支持し続けていくでしょうか。
むしろ様々な形で岸田政権を突き上げ、自民党内部を紛糾させていくような、
岸田政権にとっての不安材料になっていくのではないかという気がします。
所詮、自民党内の政権交代、いわゆる疑似政権交代だからこそ、
政権が交代しても、自民党が割れないように政策の方針転換は、常に妥協的。
従ってずるずると、古い自民党政治を引きずっていく。
結果、日本はいつまで経っても変われないまま、衰退していく。
この衰退していくシステムから乗り換える必要があるのに、
乗り換えていく先が育っていかないものだから、
「自民党以外に任せられそうなところがない」という理由で
消極的に自民党が選ばれていく。
あああ~。