トリカブト殺人事件
- カテゴリ:その他
- 2022/07/15 06:46:45
先日読んでいた化学系の本で1986年に沖縄県で起きたトリカブト殺人事件が出ていました。
興味深いと言うと不謹慎ですが、この事件はフグ毒とトリカブト毒を同時に使った凄いものだったんですね。殆ど忘れていましたよ。
どちらの毒も単独で人を死に至らしめる猛毒ですが、なぜ犯人が同時に使ったかというと、毒の働きが正反対だからです。簡単に言うとトリカブト毒は人体のナトリウムチャネルを開きっぱなしにして、フグ毒はナトリウムチャネルを阻害します。
では同時に摂取したらどうなるか? トリカブト毒もフグ毒も単独で摂取すれば症状が出るまでに早ければ10分、遅くても数十分です。しかし、同時に摂取すると互いの毒が潰し合いをし、最終的にどちらかの毒が勝ち、死に至らしめるのですが、毒が潰し合いをしている時間が1時間ほどかかるので、その間にアリバイ工作が可能になります。
当然、犯人はアリバイがあると主張し、実験でもトリカブト毒を入れたカプセルを三重にしても、10分程度しか作用を遅らせることが出来ないため、犯人のアリバイが成立しそうになります。しかし、その後の調査で妻の血液からトリカブトとフグの2種類の毒が検出され、同時に摂取すると作用が遅くなることが判明し、犯人は無期懲役になりました。化学の知識を悪用した知能犯ですね。
そう言えば高校の化学の教師が、絶対バレない蓄積性の毒があるから、完全犯罪は可能なんだぜ、と物騒なこと言っていたなぁ
この事件の毒の話は、だいぶ後になって知りました。
犯人の頭の良さ?にビックリしました。詐欺をする人も、すごい頭がいいなあと変に感心してしまったあと
この知力や労力をもっと良い事に使えばいいのにと話してたら
「こういう人間は、悪さにたいしてはすごい能力を発揮するんだよ」と言った人がいて
「なるほど、よい事には頭は働かないんだ‥」と納得しました。
この犯人も、いかにばれないで人を殺せるかを勉強したんでしょうね・・・
今回の安倍さんのように感情のもつれで起こす殺人犯より、お金のために保険をかけて
しかも優しいふりをして結婚した相手を殺す、こういう人間のほうが恐ろしい気がします。
それよりも記憶にあるのが、本庄保険金殺人事件です。これもトリカブトの毒が使われたりしています。
なぜ記憶に残ったのか!ですが、犯人のスナックで毎晩有料の記者会見をやっていたからです。
逮捕までは時間がかかったので、毎日その記者会見をテレビで放送していました。
あと、YouTubeに和歌山毒物カレー事件は冤罪だと動画が出ていますね。実際はどうなんだろう?
関係が深ければ深い程憎しみも深いんでしょうけど
夫婦なら別れればそれで済むのに
犯行自体も怖いですけど、それだけじゃなくて
何とも言えない気持ちにさせられる事件ですね
江戸時代の毒味役の中には毒を体のなかで解毒できる人がいたらしく、トリカブトを飲んでもフグ毒でも大丈夫だったみたいです。現代の合成毒はわかりませんが。
高田崇史「毒草師 白蛇の洗礼」はそんな物語です。