南の魔女クレア130
- カテゴリ:自作小説
- 2022/06/06 18:58:31
カチャッとドアノブが開く音がかすかに聞こえると白猫の執事がバスケットに入れたシチューとパンを持って来てマキバル様がクレア様がお腹を空かせているだろうから持って行く様に仰せつかってまいりましたと言って床にテーブルクロスを広げるとシチューとパンを置きました。
クレアは「ディナーでは無いの?」と不満そうに言うと既にイドエル様たちはお帰りになられて何時もの食事を用意するようにと言われていますと白猫の執事が言いクレアが此の城に閉じこもってから既に6日たっていると言いました。
魔女の城の中の時間の流れは流動的で其の部屋や時間帯や白猫の執事が言うと季節によっても違って来るそうで其の時間の流れも日によって違うそうです。
クレアが居た天井が高く広い為に資材置き場としても使えた此の部屋で1日も立ってないと思っていたのに6日も向うでは過ぎていました。
白猫の執事が去った後はまた静かになってクレアはいっそう孤独を感じるとまた涙が込み上げて来ましたが空腹感には勝てず少し冷たくなったシチューとパンを涙目で鼻をすすりながら食べはじめると後は一気に食べ終わりました。
空腹が満たされるとクレアはまた床に枕を置いて体を横たえると何時の間にか眠ってしまいました。
クレアは白猫の執事に肩を揺り動かされて目を覚ますとマキバルからの手紙を受け取りました。
其処にはクレアもマキバルも詳しいガスの配管の知識が無かった為に誤解が生じていると書かれていました。
村にガスをひくのは本管と呼ばれているガス管で村の中央まで1本引かれてガスが通っている証拠に街灯が2本サービスで着いて来る事とその後に自分の家にガスを引く事を希望する家がガスの本管から自分の家までガスを引く費用を払って希望した各家にガスの配管がなされるのでクレアの館がガスの配管を希望しないのならクレアの今までの計画通りの館で良いとの事が書かれてました。
其処まで読んで「そうなの!?知らなかった村の家が全部ガスを引く工事をしなければならないと思っていたわ。」と手紙を読んでいるクレアの傍で何故か寄り添うように立っている白猫の執事にいうと彼は「マキバル様も私どももガス配管に関しての知識が無かった物ですから訂正と助言が出来ない為に此の様な事態を招いてしまった事を残念に思っております。マキバル様はもっと良く村長に詳しい内容を聞いて置けばと悔やんでおられました。」と言いました。
更に手紙には建築会社の人が急用で来ているが会うか合わないかを白猫の執事に言って欲しい事が書いてありました。
クレアは飛び起きて「会うにきまってるじゃない。」と枕を持つとさっさとクレアの仕事部屋に繋がるドアがある部屋に行くと勢いよくドアを開けて魔女の城から出てきました。
クレアの仕事部屋に入るとマキバルが待っていてクレアが応接室に居る建築会社の人に会おうとするとマキバルがクレアに「クレア、其の前にする事が在るでしょう」と言いました。
「何の事?」とクレアは言うとマキバルは一枚の紙を渡して「クレアはぬいぐるみのメイドに酷い事を言ったね。あれは決して許される言葉ではないよ。まず彼女に謝りなさい。クレアは謝り方をまだ解らないから僕が手本を紙に書いてあげたから其れを読んで大人の謝り方を覚えなさい。」と言いました。
クレアはムッとして「ごめんなさいと言えば良いんでしょ!」と言うとマキバルは大人の謝り方はそうでは無いんだよ。あのぬいぐるみのメイドは悪い事は何もしてないのだから。クレアは日頃から彼女達に村人と仲良くやる様にと言ってあるので其れに従った行動を取っていたのにクレアは酷い言葉を言ってしかりつけた。間違った事をしたのはクレアなのだから其の事をちゃんと言って謝らなくてはいけない。でもこれまでそう言う事をクレアはやった事が無いだろう?だから僕が手本を書いて置いたので其れを暗記して其れを言う事から始めなさい。僕が付いているから少しずつ身に付けて行きましょう」と幽霊のマキバルが怖い目を気魄をだして言いました。
クレアも負け地に何か言い返そうと思いましたが建築会社の人の用事が気になりまので此処はマキバルの言う事を聞いて置く事にしてマキバルが渡してくれた紙に目を通しました。
やがてマキバルがクレアが燃やすと怒鳴った茶色の羊のぬいぐるみのメイドを連れてきました。
元々はぬいぐるみなので何時もと変わらない様子です。感情が無いし痛みも感じないのはマキバルも解って居るはずです。
でもマキバルは此のクレア農場を管理して行くためにも小作人達とのやり取りも村人達との共存も含めてクレアは此のままではいけないと思っていました。
クレアを少しずつ変える為の良い機会だと思ったようです。
クレアの仕事部屋に呼ばれて来た人型ヒツジのぬいぐるみのメイドにクレアは「貴方が悪くないのに酷い言葉を言ってごめんなさい。クレアは村人と仲良くやって頂戴と言ってあったのでそうしてたので貴方が間違いをしたのではないのよ。クレアが其の事を忘れてしまって間違って怒ってしまったの。此れからもクレアと此の館の為に働いて頂戴ね。」と何とかマキバルの紙に書いた内容に沿ってかなり省略して言いました。
人型ヒツジのぬいぐるみメイドは「はい。解りましたクレア様」と白猫の執事が教えたのか足を少し引いて頭をちょこんと下げて挨拶をしました。
マキバルがうなづいたのでクレアは急いで建築会社の人に会いに行きました。
平身低頭に頭を下げながら彼らが言うにはクレアとの最初の契約の大きさでのステンドグラスがあの場所では出来ないとの事でした。
現在ステンドグラス職人がベテランも含めて総勢で村のあちこちの空き家や空き部屋を借りて総出て作っているが村の鍛冶屋の一階を作業所に改装した広さでは出来ないとの事です。
色々なガラスを組み合わせるのですがデザイン上一番大きなデザインのガラスがあの場所では出来ないとの事で同じ大きさのデザインのガラスが何枚も作るので無理との事で大変難しい色でせっかく其の色がやっと出せたので何とか作り上げたいとの事で一回り小さくなることを承知して欲しいとの事でした。
クレアは組み立ては修道院の教会を使うと言う事で最初から其の予定で大丈夫だと言う事だったと言ったのですが其れでも一番大きなデザインのガラスの一枚の大きさが今の場所では作れずトウニの作業場で作って運ぶと言う事も考えたが此処で出せた色がトウニの作業場で出せると言う保証も無いので出来れば一回り全体的に30cm小さくなるのを承知して欲しいとの事でした。
建築会社の人もステンドグラスが最初の契約通りに出来なければモゾリアナ国から職人を呼び寄せて作らせる事を言ってあり厳しく大きさを確認した経緯がありましたのでクレアに納得して貰いたく必死でした。
ガス管が此の村に引かれる事を聞いたとかで館の配管工事はこちらで持つと言う事をほのめかしてもクレアの館のイメージはモゾリアナ国で見たあの大きなステンドグラスの再現でしたしガスも通す気が無いのでクレアは一気に不機嫌になりました。
クレアが其れを明らかに顔や態度に出したのでマキバルはとりあえず今日は帰って貰って少し考える時間を貰いたいと彼らにはかえって貰いました。
何故何もかも上手く行かないのかと思うとクレアの目にはみるみる涙があふれて行きました。