自分の宝物
- カテゴリ:恋愛
- 2022/04/23 16:59:01
彼の心は重く、昨晩から物悲しい気分だった。
宝物を探し続けるということは、ファティマを捨てなければならないことを意味していた。
「わしがおまえを案内して、砂漠を渡ろう」と錬金術師は言った。
「僕はオアシスにずっといたいのです」と少年は答えた。
「僕はファティマを見つけました。僕にとって、彼女の方が宝物よりも大切です」
「ファティマは砂漠の女だ」と錬金術師が言った。
「彼女は、男は戻ってくるために遠くへ行かなければならないと知っている。それに、彼女はすでに自分の宝物を見つけたのだ。それはおまえのことだ。だから、彼女はおまえにも、おまえが探しているものを見つけてほしいと思っているのだ」
ー 『アルケミスト』 パウロ・コエーリョ ー