箭兵衛は煎餅を食べていた ②
- カテゴリ:日記
- 2022/04/08 00:01:34
ある昼下がり、金曜日かな?ドアフォーンが鳴った。
箭兵衛家のドアフォーンが鳴ったのは3週間振りのようだ。
何だろう?マンションの理事長の次期役員勧誘かな?
新聞の売り込みかな?
昔追い払った旧妻<未述>が押し掛けてきたのか?
頭を掻いて、口周りを拭いながら、箭兵衛はドアモニターを見た。
4インチの画面に(おそらく)一人の女性?が写っていた。
頭から黒いスエットをかぶり、その表情は見えない。
「は~い」箭兵衛は面倒くさがりながら通話ボタンを押した。
返事がない。不穏な雰囲気。『やべ?』ドアを開けてはいけない。
再度通話ボタンを押し、モニターを消し、居間に戻り、気配を消す。
ドアが叩かれた。ドンドンと叩かれた。既に煎餅の味の感覚は消えていた。
何か叫んでいる。ドアの外で何か叫んでいる。何かが起きている。
「Пожалуйста, спрячьте!」
恐るおそるモニターのボタンを押し、自動翻訳機を勘で露語にシフトし、
箭兵衛は震えながら云った。
「もう一回言って」
機械が瞬時に伝えた。
「скажи это еще раз」
「Пожалуйста, спрячьте!」
機械はたどたどしい日本語で、こう箭兵衛に伝えた。
「お願いします かくまってください」
龍一を呼んでいる時間は無いと判断し、意を決してドアを開けた。
そこには女性ではなく、同じくらいの身長とエライ肩幅の広い男がいた。
「Пожалуйста, спрячьте!」
スエットのフードを外した彼の顔は、毎日テレビで見ている顔だった。
プーチンだった。
「ヴォロージャ!」
箭兵衛の発音が彼に通じたのかどうかわからない。
でも、蒼ざめた彼の口元に微かな安堵が浮かんだ。
「Пожалуйста, спрячьте!」
しちめんどくさいその後のやり取りは割愛する。
ただ、頼られたからには、しばらく面倒をみよう。
数日後、箭兵衛と龍一とプーチンは、
YAMAHAのオーディオセットから流れる曲で、
肩を組みながら狭い居間で歌い踊っていた。
ウオッカの空き瓶が転がっていた。
♪
Like a putin
まるでプーチンのように
Hey!
ほい!
Touched for the very first time
先制攻撃してきたよね
Like a putin
まるでプーチンのように
When your heart beats
戦車の振動が
Next to mine
近づいてきた
細かいことは気にしないように。
ただ北海道防衛には寄与したいな。
ブチャ虐殺の証拠としてニューヨーク・タイムズ紙が出した衛星写真を検証した専門家チーム、撮影日が3/19ではなく4/1と判定
・写真には3/31~4/1日未明の豪雨後の砂地の沖積層が写っている→豪雨の後
・影の位置・角度等から撮影日時は4月1日11:57GMT(現地時間14:57)
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