【お話】桜の花が、ついてきた。
- カテゴリ:コーデ広場
- 2022/03/11 19:52:28
桜の花が、ついてきた。ふらりと入った店の中に。
もらったステキコーデ♪:26
ふらりと入った、小さなお店。
スミレのブーケと、タイムのクッキーを手に取った。
スミレの花は、あどけない恋心。
恋とも呼べない、幼い思い出をなつかしんで。
タイムの花は、勇気。
前を向いて、ここから未来へ、歩みだすために。
自分をはげますための、花とお菓子。
そうして、何かの儀式のように、お茶を飲んだ。
頼んだのは、桜の香りの、緑のお茶。
きっと立ち上がれる。
前に進める。
そう信じて。
やってきたお茶の、湯気は、
ゆらゆらとして、花の香りがして、
少し、
目に染みた。
泣いたりなんかしない。
泣かない。でも、今は。
少しだけ、うつむいて。
ゆらゆらゆれる、桜の香りの湯気を、見つめていたい。
今だけ。このお茶を、飲む間だけ。
そう、思いながら。
湯気は、ゆれる。
ゆっくりと、時は流れ、
やがて一杯のお茶も、飲み干された。
立ち上がりかけて、
ふと、気が付いた。
花びらが、服の袖についていた。
どこからやってきたのだろう、と思って、
店に入る前、通り過ぎた桜並木を思い出した。
ずっと、ついてきてくれたのか。
わたしがうつむいていた間も、ずっと。
服から、花びらをそっとはずして、
ありがとう、とつぶやいた。
***
物語は、いろいろと想像してください。
失恋したのか、なにかへこむことがあったのか。
泣かないために、お茶の湯気を見つめて、
うつむいているのは、お茶を飲むためだと言い訳している女性。
そんな感じで。
桜の香りの緑のお茶は、八重桜の葉を混ぜたフレーバード(香り付き)のお茶が、いろんなメーカーさんから出ているのと、
茶葉そのものに、ほのかに桜の香りがある緑茶があります(静岡の煎茶「さくらかほり」)。
フレーバードの方が、香りははっきりしているのですが、
ほのかな香りを楽しむのも良い感じです。
さくらほうじ茶とかもあるよ