南の魔女クレア107
- カテゴリ:自作小説
- 2022/01/24 22:43:31
イドエルは目頭が熱くなった。此れで工事を再開できる。机の上のお金と金のインゴットを丁重に袋に入れてカバンに仕舞うとすぐに馬車を飛ばして役所に駆け込んみました。
「直ぐに工事を再開するぞ!」の声に其の場に居た男達が一斉に立ち上がりました。「魔女が資金を出す事に賛同してくれたのですか!」と側近の一人が聞いた。イドエルは少し間を開けて「似たような物だ。」ときっぱりと言ってカバンの中から金とインゴットを出した。役所の中に歓声が響きました。
工事再開の報はあちこちを動かした。資材を納入していた所は更に資材の確保に動き出しました。工事現場の近くで仕事を貰おうとたむろしていた労務者達が馬で駆け付けた数人の請負人達の所に我先に雇ってもらおうと誓約書の紙を奪い合った。
フクロウ人間はマドレとカリドにモゾリアナ国の魔法学校を作る為に動いている関係者との仲介を頼みました。
訳を聞いた二人は馬車を走らせて神官長の所へフクロウ人間を案内しました。
クレアからの魔法学校の為に出来る事としてお金と金のインゴットを渡しました。
神官長は「してクレア殿は?」と聞くとフクロウ人間は彼女は此れから魔法の修業に入るので当面はお会いできないだろうと言いました。
クレアはドラゴンの腕に噛みつきましたが歯が立たず蹴飛ばそうとしましたが足が届かずあっさりと木の家の庭にほおりだされました。
怒り狂ったクレアが飛び去るドラゴンに向かって火飽を爆発させましたが
あっさりとよけられて飛び去って行きました。
フクロウ人間はそれ以前に見当たりません。
アクレは雷の様な音を魔女の木の家の方から聞こえて黒い煙が一瞬出た様な気がして何があったのだろうと思いました。
クレアはしばらく泣きわめいていましたが考えてみると自分を魔石を取らせに言ったのもフクロウ人間でした。
彼を連れて行ったのが敗因だとさんざん泣いた後に其れは肝に銘じて二度と過ちを犯さないようにしようと思いました。
次の日アクレが心配してパンを持って様子を見に来てくれました。
クレアはアクレの持ってきたパンにジャムをたっぷり縫って新鮮な果物のジュースを飲むとベットに潜り込んでぐっすり眠りました。
目が覚めるとドラゴンがどこかに行くから身支度をしろと言うのでとりあえず洋服を着るとドラゴンは爪の先でクレアの洋服つまむと其のまま空へ飛んで魔女の森の城の近くに落としました。
「!なんだ!?」と思っていると壁の苔を燃やして落とすと言うのでみていると火加減も上手に苔を焼くとふっと其の後に真っ黒になった苔の焼き後の煤を吹き飛ばしました。
後は自分の魔力で束子と箒を動かして煤を綺麗にしろと言いました。
どうやらドラゴンは城の修復の手伝いをしてくれるようです。
クレアは束子と箒に命令をして煤を払いさせました。
下から綺麗な石が出てきました。
暫くするとドラゴンはまたクレアをつまむと魔女の城を囲っている森のへ少し入った所に不思議な場所がありました。
其処へ行くと何故か心が落ち着いて怒りや悲しみ等の感情もすっと消えて心の中が広く体に染み渡る様な穏やかな心地になりました。
ドラゴンは此れは周りの木々や草が体に良い周波を特に強く出している場所で魔女の祈りの場所だと言いました。
そして一つの両手で抱えるには十分で片手ではアブ泣かしそうな大きさのガラスの様な透明なボールを両手で持ってお前は浄化の力が弱いからイザとなっても浄化をして人を助けるまでには此のままでは行かない。お前は浄化の念を念じて此の玉に込めよ。次に其れと同じだけの癒しの念を込めよと言いました。
クレアは其の玉を両手で持っておでこに持って行って浄化の念をしばらく込めました。そして同じだけの癒しの念をこめると癒しの念はあっと言う間に同じ位になるのかすっと言う形で終わりました。
クレアは如何に自分の浄化の念の力が弱いのかを実感しました。
確かに此の玉に其れを込めて置けばイザと言った時に此の玉を持ち出せば浄化が必要な人が浄化されて其れと同時に悪や毒によって消耗した体力が戻ります。
こんな便利は物は在りません。
クレアは必死に其れを繰り返しました。だがいつまでたってもガラス玉の様な透明な玉に色の変化がありません。
ドラゴンは今度は一つの剣を持って来ました。
そして剣に呪われた悪を斬る念を込めよと言われました。
クレアは今度も必死に剣を持って念を込めました。
何の変化もありません。
ドラゴンは此れから毎日城の掃除と魔玉作りと悪を斬る剣を祈りの場に来て自分の魔力を注ぎ込んで作る様にと言いました。
木の家と城を毎日往復しながらクレアは其れを繰り返しました。
束子と箒が使い物にならなくなると大量に買い足しました。
クレアは此れならどうだと思う位の浄化の念を込めてみましたが其れでも同じ量の癒しをと念じるとすっと終わってしまいます。
癒しの念よりも浄化の念の方が如何に難しいのかが解りました。モゾリアナ国に在った浄化の杖を作った魔女はどれほどの念を込めて作ったのでしょうか。命を削ってまで其の浄化の杖を作って自分が居なくなった後も其の杖を使って悪と戦ってモゾリアナ国を守って欲しいと言う彼女の気持ちは如何に強く深くそしてモゾリアナ国の人々の事を思っていたのかとクレアは思いました。
多くの魔女が14,5歳だとドラゴンは言いました。
其の年齢で自己犠牲をしてまで人々の事を思う気持ちを持って決意をすると言う事はどんな事なのだろう。
自分の14.5歳の時は白いタキシードを着た王子様がパーティで自分を見初めてダンスに誘ってくれてパーティ会場の真ん中で羽が生えた様に軽やかにと真面目顔をしてボルアートにダンスを習っていたり、お母様やお父様にお願いして其の夢をかなえさせて貰ったりと其の為に毎日ミシンの練習を何時間もやって居たりと国の事、其処に住む国民の事、多くの人を救うと言う事を決意して魔女になる事を選択する事など頭の隅にもありませんでした。
フクロウ人間の言う「タイギ」とは其の事なのだろうか?
クレアは草の上に寝転んで考えました。
でも思い出すのはあの士官学校の卒業パーティで最後のダンスを踊った時に楽しかった思い出が浮かびました。
相手をしてくれた人の名も忘れたのにあの時に音楽だけは頭に残っています。そして視界の端に見える他の人達の注目の視線と軽やかに動いたステップの感触。
少し走って広い場所に行くとあの時のステップを踏んでみました。頭の中に広がるあの時の音楽。少し動いて疲れる自分が居ます。
私は叔母さんになってしまった。
今更夢を思い出して何になるのだろう。
クレアはぽつんと「フツーの叔母さんで良いかな・・・。」と口に出しました。
そしてもう一度「夢はフツーの叔母さんになる事」其の為に自分の魔力を此の魔玉に移す事。
此れなら納得が出来ます。クレアは改めて魔玉を見ると真剣に両手でおでこに持って行って自分の魔力が此の魔玉に浄化の力になって入って行けと念じました。
其れから癒しの念を同じだけ入れと念じました。
此れまでに無く癒しの念が入って行き魔玉の色が少し変わりました。
悪を斬ると言われる剣にも同じ様に自分の魔力が其処に入って行く様に念じました。剣がビリっと震えた様な気がしました。
其れを何日か続けると魔玉の色が変わり魔玉の光り、剣もどんどん変化して行きました。