南の魔女クレア92
- カテゴリ:自作小説
- 2022/01/02 00:10:04
遂に花畑の世話をしている神官の一人が妖精を見つけました。
其れは小さな「キノコの妖精」でした。
此の神官の居住区に薬草畑を作るにあたって薬草畑を作る土は度ピンクの館の土を持ってきた方が良いと言う庭師たちの助言があって大量の度ピンクの館の庭の土が神官の居住区の庭に運ばれました。
其の中で余った土は塀の隅の陽があまり当たらない場所に捨てられていました。
此の国でも短い冬が来て其の場所はシドリアル国の秋の季節でしょうか生命力があるキノコが少し生えてきていました。
「キノコの妖精」を見つけた神官はもともとは農民の子で子供時代に気持ちの悪い事を言う子として近所から嫌われて親や親戚たちがもしかしてと魔力があるのかもと試しに連れて来られた子でした。
一応簡単な検査をして一年ほど修業をさせてみようと言う事で預けられた子でほとんどの魔力のある子は先祖に魔力があるとされた名前がある家を持った家柄の出身者でした。
この様にしてくる子供はまれでしたので読み書きから教えて行って少しずつ祈りをし続けて浄化の魔法を教えて行くと周りの人達とさほど遜色なく出来る様になった青年でした。
元農民出と言う事で何人かの神官の居住区に「魔女の回復薬」の薬草畑を造る作業に回されたのでしたが他の者が家柄か土仕事を卑しい人々がする仕事を決めつけておざなりにするのを彼は嫌がらずに庭師と一緒に生き生きと仕事をしていました。
彼の植物や土に対する扱いが丁寧で偏見が無いと言う誠意ある仕事と持っていた魔力が相俟って「キノコの妖精」を見る事が出来たのでしょう。
其の話は直ぐにクレアに知らされて其れが本当か確かめて欲しいと言う依頼がありました。
兎に角彼にしか見えないので本当かどうかも周りの者達には解らないのです。
クレアは一目見て其の「キノコの妖精」と友達になりました。
「キノコの妖精」とクレアと「キノコの妖」」を見つけた若い神官の3人の話が弾みましたが周りの者は二人が壁際の土と話している様にしか見えませんでした。
「キノコの妖精」度ピンクの館の土に交じって此処に来たと言いました。
そして懐かしい人が居たので彼にはなしかけたけど彼には自分がわからなかったと一人のお爺さんの庭師の事を話しました。
其のお爺さんの庭師はあの度ピンクの庭の薬草畑の世話をしていたと言うのです。
クレアが其のお爺さんを呼んで聞いて見ると確かにお爺さんは若い頃にあの度ピンクの館の庭師として働いていてあの部分は立ち入り禁止と言われていたがそれでは荒れ放題になるので手入れをしていたと言うのです。
彼に言わせるとそれ以前にも手入れをしていた庭師が居た形跡があったと言うのです。
庭師の本能と言うか職人気質といつか庭が荒れていると何とかしたいと言う気持ちが抑えられなかったのでしょう。
其れであの部分は雑木林で100年以上も掘っておかれたら大木が生えていて「薬草の庭」は修復が出来る状態ではないはずなのに雑木林の原野で済んだのはそうした庭師が時々出てきていたからでしょう。
其の庭師は既に現役退いて家で自宅の庭の手入れをしながら息子の庭師夫婦の家に居たのですが今回は此処の仕事が急ぎだと言うので息子の手伝いで来ていたのです。
「キノコの妖精」が其のお爺さんにお爺さんが度ピンクの庭から持って行った花の中に友達が居るので元気かと聞いています。
お爺さんは庭の手入れでいらなくなって捨てる部分の土と花を自宅の庭に移していました。
其の中に友達が居ると言うのです。
早速其のキノコが居る土をバケツに入れてお爺さんの家に行くと其の家の庭は流石庭師の庭と言う様に色とりどりの綺麗な庭で居るだけで気持ちが和む作りになっていました。
確かに一軒雑草で出来ている様にも思えましたがクレアには自分が植えていた基礎的で植えやすい花がいっぱいあってクレアの庭の秋の庭を見ている様で懐かしさがありました。
すると確かに「花の妖精」が出てきて「キノコの妖精」と話し始めました。
「花の妖精」と「キノコの妖精」とクレアと神官の4人の会話が進みました。
要するにフクロウ人間が花がきれいに咲いている所ならどこにでもいると言う事は豪華な高額な花では無くどこにでもある様な雑草に近い花の群生がある所に居るという事で綺麗は豪華な花々では無いと言う事なのだとクレアは思いました。
「花の妖精」に神官の庭に移って欲しいとクレアが訳を話すと自分はこれらの花々についているのでと言うのでお爺さんに此の辺りの花を神官の庭に移植させて貰えないかと交渉しました。
お爺さんは快く引き受けてくれて其の辺り一帯の花を土事荷車に乗せて神官の庭に運んで移植しました。
「花の妖精」と「キノコの妖精」は直ぐに薬草の匂いを覚えてくれました。
唯十分な薬草を作るにはまだまだと場所が必要です。
クレアの様に10本だけと言うわけではなさそうなので多くの人を救おうとする神官たちの願いをかなえるには大規模は薬草畑が必要でした。
神官達は次第に「魔女の回復薬」の作り方や処方の仕方を覚えて行きました。
其れで薬草畑がもっと広く必要だと言う事が彼も思って来たのでした。
クレアに言わせると此れは魔女の助手の時からやっている仕事で魔力が多少あると出来る事なので基礎的な事でした。
其れでも此の国ではあの小さな港町で南の魔女が作ってくれるのしかありませんでしたから此の薬があると無いとではずいぶん違います。
クレアにしてみれば毒の浄化の方が余程難しく其れを出来る神官たちの方が凄いと思うのです。
あの「浄化の聖水薬」と「麻薬草の腐らせる薬」を作る方がずっと凄い事で特に浄化の薬を作る為に「悪」と対自する心を持ち続けて常に祈りをげてささげて生活をし続ける事の方が大変な努力と精神力と魔力と体力が必要でクレアは自分には出来ないと思うのでした。
度ピンクの館に帰って一人になった時にマドレとカリドと神官医師のシグラートが3人で一生懸命に神官達と仕事をしていたりしたのを見た時とかクレアは自分が一人だと言うのと自分が魔女で良いのかとか色々な事をかんがえるえて誰にも相談できない自分が居る事を感じる様になりました。
帰りたいと思うのですがクレアにはどこに帰りたいのかも解りません。
唯一人で港に行って海をみたくなってそっとみんなの居る場から離れて一人で港から海を長い事見ている時が在りました。
訳もなく涙が出てきます。
誰がこんな生活を私に敷いているのでしょう。
どうして私には普通の幸せが来なかったのでしょう。
何故私は養護施設に入れられたのでしょう。
何故私の親は私を捨てたのでしょう。
何故私は一人ぼっちなのでしょう。
あの専門学校時代の友達も今はいません。
モニークは親の薦めた人を養子に迎えてあの店を子供も産んで更にあの店を切り盛りして自分の人生を生き生きとやっているでしょう。
なのに私はこんな所で何をしているのでしょうか?
そうやって海を見ていた時に何時も見張っているアルガーがついに馬車関係した事故が起きたと知らせて来ました。
直ぐに行けば何か解るかもしれないチャンスです。
今のクレアに泣いてる暇も与えないのでした。