南の魔女クレア91
- カテゴリ:自作小説
- 2021/12/30 21:21:45
モゾリアナ国には其れまで「魔女の回復薬」と言った医者のシグラートから聞いた薬はありませんでした。確かに薬草は在りましたが滋養強壮剤的な物で疲れた体がかなり回復しましたが骨折した骨が早く治ったりぐじゃぐじゃになった内臓がかなり回復したりと言った物がありませんでした。
其れがクレアの話では魔女で無くてもある程度の潜在的魔力の持ち主だと作る事が出来ると言う話は魅力的でした。
更にクレアは花の妖精は花が多く咲いている所には居る可能性があって其れはかなり強い魔力の持ち主だと呼び出す事が出来ると言うのです。
そしてクレアがアルガーの目の前で実際に其れをやって見せたと言う事はかなり衝撃的でした。
クレアは魔力を見せる事に何のためらいも持ってない様に思えました。
実際はクレアは魔女になりたてで実際はどのような事をするのかも知らずに言われるままに出来る事をやっている状態でした。
神官達は花畑や花のうっそうとしたところに行って「花の妖精」を呼び出そうとしましたが一人も呼び出す事が出来ませんでした。
更にせっかくクレアが度ピンクの館の薬草の庭だと思う辺りから花の妖精を使って集めた薬草を煮始めると焦がしたり煮詰め過ぎたのか鍋の其処に固まったりと悲惨な状態でした。
クレアは其の様子を見てがっかりしてお城の料理人を呼んで来てジャムを作る様にゆっくりと焦がさない様に煮詰めると言うと料理人は難なく其れが出来ました。
其れをスープ皿に取り分けて神官たちが「回復薬になれ」とか「人の体を治したい」とか色々頭に描いて念じ始めました。かなり時間をかけて頑張ると何とドロッとした薬草が同盟なピンクの液体に変わって行きます。
色の濃さはまちまちですが総ての神官達が出来ました。
流石に魔力があって普段から聖水を作ったり浄化する水を念じて作っている人達は違うとクレアは思いました。
其の扱いはマドレの方が詳しいと言うと早速マドレがお城に呼ばれました。
久しぶりの医師のシグラードとマドレとカリドも来て3人で色の濃さで対応の違う「魔女の薬」の使い方を神官たちに教えて行きました。
クレアは「魔女の回復薬」の使い方についてはマドレ達に任せて城下町の中で起きている事件について本格的に取り組む事にしました。
肝心の主犯格がだれなのか?どこに居るのかも解ってないのです。
にも拘らず城下町では可笑しな事故が相次いています。
其れが一連の馬車に関係した事故でした。馬車が通った時に橋が落ちて馬は勿論乗っていた人達が死亡しました。
馬車同士がどう見てもぶつかる訳が無い広い道でぶつかってけが人が出ています。
更に並んで走っていた馬車がこすりあって一台が横倒しになってけが人が出ています。
どれもどうしてこんな事がと首をかしげる様な可笑しな事故でした。
クレアは持ってきた人形の一つを手をくるりと返して人型にしました。
驚いて見て居るアルガーにクレアが此の人形は戦闘用魔法人形で細身の剣に巻き付いた煽薔薇の蔓は長い鞭にもなって少し離れた所に敵を攻撃するのに便利なの。
鞭は致命傷を与えないから相手を殺さずに痛めつけて戦闘能力が落ちた時に捕まえて主犯格の事を聞きだそうと思うのとクレアは言いました。
クレアとアルガーと魔法人形は事故の現場に何かヒントが無いかを調べに城下町に行きました。
一番最近の二頭の並んで入っている馬車が次第に馬車だけが近寄って馬車同士が接触した事件現場も馭者達は二頭を引き離そうとし続けたし馬たちも離れようと其々別方向に行こうとしてましたが何故か馬車だけがくっつこうとして最後に接触して片方の馬車が倒れたとの事でした。
時間帯も夜でしたので目撃者も居なくて馬車の破片を見ても何の手掛かりもありません。
此れが猫でしたら人間の何百倍も鼻が利くので何かの匂いをかぎ分けるのでしょうが城の中と違って外で起きた事故なのでクレアがしきりに馬車の破片の匂いを嗅いでも其れらしき気配の匂いがしません。
絨毯等は匂いが残りやすいのですが馬車は馬車の塗料の匂いがするだけでした。
次の現場も大きな通りですし時間帯が夜でしたが街燈が通りに付けられていて馬車がぶつかる様な所ではありませんし馬車も其れ程早く走って居た訳で泣くゆっくりと走っていたと言うのです。
所が次第に馬同士が自らぶつかる方に行きだして両方とも馬を止めようとしましたが馬が止まらず馬も行きたくないと抵抗をしている様でしたがぶつかって一頭の馬が死んで馬車も二台とも倒れてけが人だけでなく死人が出ました。
其れも目撃者がいなくて馭者が二人とも生きていたので其の人達の証言だけでした。
最後に一番最初の橋が崩落して馬も馭者も乗客も死亡した現場に行きましたが小さな川で確かに橋は木でできていましたが決して古い木ではなく橋自体も頑丈に出来ていました。
此れは昼間の事故でしたが此れと言った目撃者もいなかったのですがアルガーが其の事故現場の近くで可笑しな物を見つけました。
何かの儀式の後の様な前の顔にできものが出来て明らかに呪われたと思われる事件の時のあの娘が首をつって死んだ館で男がやっていた儀式の様な物と似て居る様な紫色の布をかぶせた小さな箱を見つけたのでした。
あの男が上に乗せていた燭台やお供え物は無かったのですが此れはあの男が使っていたのとは違って小さいが紫色の布をかぶせて居たと言うのは同じです。
もしかして誰かに見つかって此の台をしまう事が出来なかったのかもしれません。
此の現場だけが昼間でしたから。
クレアは次の日は庭師と一緒の度ピンクの館の薬草の庭の手入れをしました。
クレア以外は花の妖精を呼び出す事が出来ないのならクレアはいずれシドリアル国に帰るのですから取り合えず薬草の庭の手入れをして貰うより他に無いのです。
流石に今度はアルガーはクレアが土いじりをしても庭の木の伐採をしてもはしたないと言うお説教はしませんでした。
現に神官たちの中には間違った薬草を煮て魔力を入れたらどす黒く濁ってしまったと言うの物が出来てしまいクレアは間違った為に毒が出来たのだけどまだ色がどす黒くなっただけマシで同じ色に出来ると間違って飲ませた人が死ぬと言われれば度ピンクの館の庭をちゃんと作りなおして貰うより他に無いのです。
其れでも薬草は似ているのもあるので薬草を間違わずに選ぶ事は難しい事が次第に神官達も解ってきていました。
更に其々の魔力の居れぐわいが一定せずに其れによって「魔女の回復薬」の使い方が違って来るので其れ理解して習得する事も大変な事でした。
其の中で唯一良いと思われた事は個人の魔力の強さが解って特に濃いのが出来た神官数人が花の妖精を呼び出す訓練をし始めたと言う事です。
クレアは花との相性があるので普段から花の手入れをしないと行けないと言うので神官たちが住む居住区に庭を作って庭師に手入れの仕方を習ってクレアが妖精に探させた薬草を庭師に手伝って貰って神官たちの庭にも植えて増やす事にしました。
其の周りにもクレアが言う妖精が好きそうな花を植えて簡素だった神官たちの居住区の庭が華やかになりました。