南の魔女クレア63
- カテゴリ:自作小説
- 2021/12/19 21:08:25
クレアは壁にの四隅にへたり込んで泣いてました。何故こんな横暴な事が許されるのかとどうしてこんな暴力的な事が許されるのかと引き出しから出されたもので散らかった床を見て泣いてました。
隣にカリドが座ってクレアの肩を抱いて腕をさすりながら「もう大丈夫だ、もう大丈夫。」と言ってくれました。クレアは「私はもう此処に来ないわ。魔女の助手もやめる。村に帰って農家をするわ。もともとそうだったんだし・・・。」と言うとカリドの肩に頭を乗せました。しばらく二人はそうしてました。カリドはどこか視点の定まらない所をじっと見ている様でした。
しばらくして落ち着いたクレアは帰ると言って立ち上がりました。カリドが意を決したようにクレアに見せたいものがあると言うのです。クレアは店を閉めたカリドの腕に自分の腕を絡ませてゆっくり歩くカリドに頬を少し赤らめながらついて行きました。
一本上の通りを行くと其処は全く別の世界です。飲み屋と酔った客とはしゃぐ女達。そして色々な種類のアルコールの匂いに物が焼けた匂いと強烈な香辛料の匂いと何かを似た湯気の匂いもします。時々やせこけた若い青年がカリドを見つけて軽く会釈をします。カリドは其れに軽く手を動かしておうじてました。
それから少し脇道にそれて次第に人通りの少ない所へ入って行きました。そしてもう少し狭い道へ曲がると其処にぐったりと暗い中に生きてはいる事は解るけど眠っているような男が壁にもたれて座ってました。それから一つの戸を開けると暗い中に目の周りが黒く目だけがぎょろぎょろした女の人が「くすり・・・がほしい・・。」と言うと座っていたのを立ち上がろうとしますが上手く立ち上がれないのかまた座り込んで「へへへ・・・」と笑うと其れっきり中をみてます。
壁にべったりと血の跡があります。カリドが「昨日薬の取り合いで殺し合いがあって二人死んだ」と言うと其の家の家からでると戸を閉めずに次の角を曲がりました。其処にも血の乾いた茶色い跡と手形が付いています。「此処は三日前かな・・・だがクレアの「魔女の回復薬」で何とか命は助かったが薬の金を回収に着た挙句に殺し合いになってね。」
其れからリヤドはクレアの肩を強く抱くと此の町は薬にやられちまったんだよ。あの警邏隊は薬を売る売人を探しているんだ。俺も犯人を捜すために同じことをするだろう。」と言いました。
そして「兄貴の所はもっと悲惨さ。港に近いから荒くれどもが多い。売人同士の殺し合いもあったみたいで訳の解らない死体が海にういてたり、ごみ為に捨てられて居たりで手が付けられないらしい」とカリドは言いました。
「犯人はシドリアル人だと言う事だ。シドリアルの戦争が終わってしばらくたった頃に見慣れない人がぽつぽつと入って来る様になった。最初は挨拶もするし何も悪さをしないのならと受け入れた。
俺の店にもよく顔を出していたから警邏隊が時折来て調べていくんだ。最初頃は気にしなかったが今から考えると彼らが役の売人の一味だった。特徴は足が悪いと言う事と体の一部が良く見ると損傷している奴が多かったがあっという間に港町の若い連中を傘下に入れて此の町を薬中毒にしてしまった。」
クレアは「そんなはずはないわ!誇りあるシドリアル人がキリアマリ人じゃあるまいし他国に来て平気で迷惑をかける様な事をするわけがないでしょ!」と言ました。
其れからカリドの腕を払うとクレアは「帰る」と言うと急いで元来た道を戻るとロバにまたがって急いで魔女の大きな木の家に戻ってきました。
そんな馬鹿な事があってたまるもんですか。さんざんキリアマリ人にあれだけ迷惑をかけられて彼らにうんざりして此の世からキリアマリ人が居なくなったらどれだけシドリアル国が良くなるだろうと子供の時からお父様のお母様のお姉さまの話を聞いた時から思っていたのに。
キリアマリ人が此処までやってきてシドリアル人のふりをしているんだとクレアは思いました。
でももし其れがシドリアル経由だったら村を通ってきたことになります。村はどうなっているのだろうか?
クレアは村の事が心配になりました。
此処は高い山の上なので雪が解けた所ですが村はとっくに緑が青々として春の作付けが始まっている頃です。
次の日クレアは村の様子を見に行く事にしました。
橋を渡って山を下るにつれて新緑の緑がまぶしく懐かしい村見えてきました。日差しも春なのに強くクレアは麦わら帽子を持って来て正解だと思いました。
其れから修道院に付くと作付け人も留守番を頼んでいた人も農場に居ません。
小作人の家に事情を聞き行くと怯えた様に出てきて小作借地料を2倍にすると管理人が言って来たと言います。
村のどこかの家に二日前に泥棒が入って家の人をさして金を取ったとかで警邏隊の人が来ていました。
村長さんも居たのでクレアが話しかけるとクレアの顔を見ると辛そうに首を振りました。
警邏隊の人は犯人らしき人が居ると言う家もさらっとしか見ないでさっさと馬に乗るとかえって行きます。
何故徹底的に捜査をして犯人を捕まえないのかと村長に聞くと村長は静かにする様にクレアに言いました。
そしてアクレを呼ぶとクレアを魔女の家に帰す様にと言うのでした。
村長は手を合わせてクレアに黙って魔女の家に帰ってくれと言います。
クレアが何故警邏隊の人が碌に調べもしないで帰って行くのかと聞くと止まる所が無いからだと村長が小声で言います。修道院も病院もあるでしょうと言うと修道院の管理人が其れをさせないと言って病院は強力をしようとすると薬の売人をしている人達に病院があらされたとだけ言って後はアクレに聞いてくれと言いました。
アクレがクレアの手を引っ張りながら魔女の家の方への道へ促します。
アクレはチラチラと周りを見渡しながらも凄い力でぐいぐいとクレアを渓谷の橋を渡った魔女の家の方に引っ張って行きます。
少し村から見えない所から来るとアクレは泣きながら村はもうおしまいなんだと言いながらクレアをどんどん上へ上へと引っ張って行きます。
橋を渡って魔女の家の前に付くとクレアはアクレを魔女の家の中に入れました。
アクレはシンバに怒られないかとおびえて聞くので今はシンバはいないので大丈夫だからと言って中に入れて村を事情を聞きました。
内容は殆どがカリドに聞いた内容と同じでした。最初は人が好さそうで礼儀正しい人が村の空き家に住み着きました。それから人辺りよくどんどん村の人となかよくなっていきました。最初に可笑しいと思ったのは村の若者が仕事をしなくなって其の男達の家にたむろし始めました。次に若い女の人達も可笑しくなって行って次に叔母さん達の中にも明らかに薬中毒の様な人達が出始めました。
薬を買うお金の為に家のお金を全部使って借金をする叔母さんが出てきました。
遂に強盗事件が起きました。村長が警邏隊を呼びに行かせました。止まる場所に修道院に頼みに行きましたが其処にも初めに来た足の悪い男が居て修道院を使う事を断りました。其れで病院に頼みに行きました。診療所は協力をしてくれました。
警邏隊が調べて犯人が薬を買うお金欲しさに強盗をした近所の若者が捕まりました。その次の日に診療所が襲われて滅茶苦茶にされとアクレが言いました。