Nicotto Town



南の魔女クレア57


ある日クレアが掃除をしていると一人の可愛いメイドさんが水色のお茶を持って来て「シンバさんが此れを飲んで少し休む様にと言いました。」とテーブルの上に置きました。クレアは黙って椅子に座って其れを飲みました。此れは聖水が一滴はいっていて心が涙の一滴分浄化されますと其の可愛いメイドさんが言いました。
クレアは其れを飲みながら何の辛さが浄化されるのだろうかと考えました。意識を取り戻した時の下半身に感じた痛みだろうか?肋骨の折れた痛みだろうか?頭の強烈なガンガンした痛みだろうか?伝い歩きをしながらも右足と左足の違いを感じた違和感だろうか?ピェールお兄様の帰って来るなと言う手紙を読んだ時に感じた悲しみだろうか?両手に着いた紫色に変色した指のあざを見た時だろうか?後で解った膝をねじりきれんばかりに曲げた為に膝の関節の何かが切れたとのだろうと言う何時までも治らない膝の痛みの事だろうか?膝の痛みは骨が折れても少しずつ直すと言われている「魔女の回復の薬草」でも直すのは難しいとコボルトが言っていたと狩人さんから聞いて来たバロルドさんの話でした。此の膝が痛むたびに私は消し去りたい記憶に引き戻される苦しみを癒されるのだろうか?
そう言う日々が何日かしてクレアが日課となった水色のお茶を飲んでいると魔女のシンバさんが向いの椅子に座って自分の事を話し始めました。
「私はクロラルド出身でね。私が此処に来たのは12歳の時でね。馬車の事故で父さんと母さんをいっぺんに無くして葬儀も終わった頃に叔母が後見人になると言って弁護士事務所にいって私だけ其処から出てきた時に一羽のフクロウが私の方に止まったんだよ。私が不思議のおもっていると一人の女の人が来て名前とか親の事を聞くので其れに答えて居ると弁護士事務所から出て来た叔母が此の大ウソつき野郎、金持ちだろうと思って後見人になってやったらとんだ借金持ちじゃないか。と言うと私の頬をぴしゃりと叩いてお前のおかげで私は大損だよと言うのを聞いて其の女の人が其の借金を肩代わりするから其の子を譲って欲しいと言って来てね。あれよあれよと言う間に手続きを済ませて私は此の家に連れて来られた。最初は自分は借金のかたに売られたんだと思ったけど其の人は魔女でそうじゃなくてフクロウが肩に止まったから引き取ったと言うんだ。其のフクロウな魔力を生まれつき持っている物に引き寄せられると言うんだ。それから10年後に其の魔女が老衰でまるでふわりと笑顔で天国に行くように自分の仕事が終わったのでお前が後を引き継ぐが良いと言ってなくなってしまって其の後を私が引き継いだと言う事だよ」と言いました。
クレアは魔女って何百年も長生きするのじゃないかと聞くと「そんなのはおとぎ話の世界だよ。お前も私も普通の人間じゃないか」と言って笑いました。
何でもゆっくりとおいおい覚えて行くが良いと言ってシンバさんはクレアがお茶を飲む時間になるとやってきて色々な話をしてくれました。
魔女と言っても普通の人より魔力が強いだけな事。其の魔力の強さは魔力の強さに引かれて魔力の強い動物が見つけ出す場合と魔女本人が見つけ出す場合がある事。魔女の死ぬ年齢も人其々で死ぬ前に楽をしたいからとさっさと次の魔女に魔女を譲って引退した魔女も居た事。其々の魔女によって魔力が違うのであのコボルトが居た魔女の森は膨大な広さで大昔の魔女が決壊を張ったので誰も其れを解く事が出来ない事。
コボルトは当時の此の場所に住んでいた人達でいわばあの広大な魔女の森に取り残された人たちである事。
あの広大な魔女の森には私を見つけて赤いオオカミの魔獣の様に色々な魔獣が今も生息している当時のままの場所である事。其れ以外の此の近辺は魔獣は長い事かかって人間が殺して行ったこと。だけど世界は広いからまだまだ魔獣が居て人間と闘っている場所も沢山ある事。
クレアが何故バスタの南端の砦の近くの魔女の森の決壊がキリアマリ人によって破られたのかと聞くとシンバさんは少し顔を曇らせて何も言いませんでした。
クレアは其の水色のお茶を飲むたびに少しずつ心が元気になって行くのをかなり時間がかかったのか或いは其れは他の人と比べて短かったのか解らないけど元気を取り戻しているのを実感しました。
シンバさんは此の聖水は自分が作った物じゃなくて別の魔女がモゾリアナ国の司祭が作った聖水を貰って来たものだと言いました。
昔の魔女の中にはモゾリアナ国とクロラルド国と仲が良かった魔女が居てシンバさんの前の魔女はクロラルド国と仲が良くてしょっちゅうクロラルド国に行って王様と話をしていたと言いました。
更にシンバさんは北の魔女が死んだ後は別にシドリアル国に住んでも良いのだけど何故か其の時の魔女が意地を張ってシドリアル国に住まわなかったので今も南の魔女は此処に代々住み続けて居ると言って私もそうしているんだけど何かばかばかしい話だよと言うとけらけらと笑いました。
シンバさんが12歳で此処に来て10年後に前の魔女が死んで後を引きついて20年位と言うのでシンバさんと歳が42歳位なのだとクレアは思いました。
でも思ったより若く見えるので其の事を言うとシンバさんはまたけらけらと笑って疲れたなと思うと少しだけ「癒しの効果のあるのみくすり」を飲むそうで飲み過ぎると下痢をしてもっと体が悪くなるので量の調整が難しいと言って大げさに手を振りました。
クレアは聖水が一滴入ったお茶を飲むよりもシンバさんと話している方がずっと心が癒される気がしました。
アクレが二日に一般パンと牛乳を運んできてくれました。
アクレのパンは持ってきた当日に朝一つと夕方一つをシンバさんと食べました。次の日になるとパンは少し硬くなり夕方に食べるパンはかみちぎるのに苦労する程でした。
牛乳は其のまま飲む事もありますが野菜シチュウに入れる事もあります。食事のメニューは其れ程変わりませんが新鮮な野菜サラダと取れたての果物がおいしくクレアは此処の食事が気に入りました。
クレアは食事を作って持って来てくれる可愛いメイドさんの頭の角が気になってある日シンバさんに聞いて見ました。
すると彼女を呼んで「もとに戻れ」と手をくるりと振って言うと何と羊のぬいぐるみに変わりました。
前の魔女がかけて行った魔法だそうでもともとはぬいぐるみなので食事はしないそうです。
其れ以外にももともとぬいぐるみで人の形に変身して色々な仕事をしているぬいぐるみがあるそうでその他にも妖精が色々な仕事をしている事もあるし更に動物が人間に変身して言葉としゃべって色々教えてくれたり手伝ってくれたりすることがあるそうです。
殆どが過去の魔女がしていったことでシンバさんを其れを受け継いだだけだと言いました。
其の内にあの赤いオオカミも自分が其の気になったら人間の形に変えるだろうと言いました。
今はクレアを刺激しない様にみんながしていると自分に付いているフクロウが言っていたとシンバさんが言いました。
クレアはしばらく来なくなったあの赤い大きなオオカミがどんな人間の姿をしているのだろうかとあれこれ考えてワクワクしました。

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2021/12/16 23:16
遂に良い背景が見つかりませんでした。
台所の背景はあるのですけど現代過ぎて・・・。



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