南の魔女クレア44
- カテゴリ:自作小説
- 2021/12/10 19:16:49
サリカの仕事は見事な物でした。書類の不備を指摘されて昔なので残ってないと言うと其の事を書類に書かせて「それではその前の年と同じ金額の税金額になります。」と言いました。其れに不満を言うと「法律で書類の紛失によって税収が決める事が出来ない時は前年度の税金額になるとなっています」と言い其の難しい法律の条文を税収法律書を開いて説明しました。更に村人が4年前の義兄の時の領主が「所得明細申告書」を持って来なかったと言うと此れは本人が地方役務所に書類を取りに行って領主が指定した期間に提出する義務が法律で決められていますと言ってまた法律書を見せて難しい文言を読み上げるのでした。更にサリカは冷静な口調で「他の領主なら税金を其の年に税金を払わないと半年後には其の領土から退去命令を出してますよ。新しい住民の其の土地を売れば新しい収入になりますから。」と言いにっこり笑うと「それと税金を1年以上払わないと其れだけで脱税法に引っかかり犯罪になります。貴方たちは既に此の国では犯罪者ですよ。脱税法は非常に大きな罪になります。」といいました。まだ不満そうな村民に「特にこの様な有事の時は戦費も兵士の給料の税金から出ています。他の地方では戦費の為に勇士たちが寄付を募って募金をしている時代に税金を払わないでしかもちょうど其れが戦時期と重なると非常に重大な犯罪を犯した事になり他では通用しないでしょう。勿論此処でも通用しませんけど。」と冷静な口調で説明してでは次までにお金を持って来てくださいと期日と時間をを指定しました。其の日は此れないと言うとセリカはまた冷静な口調で「此の期日の此の時間の間に持って来ないと延滞金が発生します。税法では延滞金を取って良い事になってます」と言うとまた難しい法律用語を並べて法条令を読み上げるのでした。セリカは以前勤めていた会計事務所でも何度も税金を逃れようとする不定なやからとのやり取りでこの手の手法になれていたのです。
其れによって昼間の決められた時間内を指定されて夜中に来ても早朝に来ても予定時間がいという事で取り合わなくて良くなりました。執拗に其れをすると業務妨害となって警邏隊につれて行かれて事情徴収の挙句に拘留されるという事になり裁判で有罪になり罰金刑になり領主に罰金を払わうようになると村民たちは言い渡されました。
義兄は税金徴収の仕方が解らなかったのではなく通常のやり方をしただけでしたが其れを此の村の人達は税金の徴収の仕方も知らない若造がと馬鹿にしたのが始まりだったのです。
他の悪徳領主の中には税金を持ってくる期日や時間帯を非常に短くして其れに反すると領地から追い出して其処を売って新しい住民を入れるのを繰り返してお金を得ている領主もいるのでした。勿論居住税は住んでいる限りは払わなくてはならないのですが其れも領主が決める事が出来て裁判に訴えてもギリギリ通用する居住税を書ける領主が居て此処の様に何十年も同じと言うのは珍しいと言えば珍しいのですが田舎ですので其れはサリカに言わせれば「あり」と言う事になります。
都会に近い程居住税は高いし田舎に行けば低いのは当然の事で此処は他の田舎より少し低い程度と言う事になるそうで、もう少し発展すると値上げをしても良いだろうと言う事でした。
サリカもクレアも無駄に広い広大な土地をもっと活用すべきだと言う意見は義母と義姉には言いましたが義母が自分が生きている間は夫の残して行ったままが良いと言うのでまずは其れで其れ以上は言わない事にしました。
その間にシドリアル国の中枢ではとんでもない事が此の領土について起きて来たのです。其れは一部の議員たちから大量の武器を持っている領主と税金を払わない犯罪集団の村を其のままにしておかないで国有化すべきだと言う意見とイドエル達を中心とした其れに反対する人たちとの間で意見が別れてもめていたのでした。
元シドリアル王国出身者達の貴族院達はシドリアル王国に関係した歴史ある領土を残しておきたいと言う者達でシドリアル王国と関係の無い貴族院はそんな危険な領土は国有化すべきだと言う意見なのですが法的にはクレアが全部の税金を期限ぎりぎりで全額払い終わっているので領土を取り上げる合法的な根拠が無いのですが大量の武器も先祖の遺産とすれば裁判では認められるからでした。後は村民が税金を払わなければ税金を徴収しない事が脱税犯をかばったと言う事になる位ですがクレアの厳しい取り立てが何とか此の領土を守っているのでした。
其れでも村民が集団で脱税を5年間もしたという事と其れを国に隠していたという事は問題になり国に対する反逆思想があっての事として要注意地方として警邏隊重点警備地区に指定するかどうかの会議が開かれていたのでした。
ダルニによって其れを知らされたクレアは青ざめました。少しでも村民が国から派遣された警邏隊に反抗的態度を取ると此の領土が国に何らかの理由を付けて没収されるか良くて国の要注意管轄地区に指定されるのでクレアの容赦ない取り立てが始まりました。とりあえず此の村から出て行くと自ら言った家は出て期間が過ぎたので強制没収として立ち入り禁止にしました。
そして家財道具は勿論強制執行で取り上げるとしました。村民は夜中にこっそりと家財道具を運び出しましたが住民が村に残る事は許されないし彼らをかくまった家は犯罪に加担したとして捕まります。
次に残った家も税金を持って来なかった家は強制執行で強引に売れそうな家財道具は古物商の荷馬車が来て購入した資金は税収にしました。
クレアは村民を集会場にまた集めましたが以前より増えましたが其れでも村民の半分程度でした。
クレアは過去のボルアートの先祖の書いた日誌を持って来て此の領土は200年以上も続いている由緒ある領土である事とシドリアル国王が自ら来て領主を認めた特別な場所である事、更にキリアマリ軍が攻めて来た時に此の領土の領民が領地を守って闘って一歩たりとも此の領土にキリアマリ軍を入れなかった事を言って当時の日誌を読み上げました。場所は30mの段差がある此の領土の先端での攻防です。其の日の参加した村民の名前放った矢の数、けが人、死亡者の名前が連日にわたって書かれています。更にキリアマリ軍が諦めて引き上げた後もキリアマリ軍がシドリアル国から氷漬け鉱山採掘をあきらめて出て行くまでの5年間も一日も欠かさず見張り小屋を作って日夜交代で見張った事が当番制の参加した人数や名前で残っています。其処までして守った領土を貴方達が潰して此の名誉ある領地を汚したと厳しく叱咤しました。
そして脱税は国家に対する重大な犯罪である事。此処は要注意地区に指定されて国から専門の警邏隊が警備をする事になった事。少しの反抗的態度は許されない事でそんな事をしたらシドリアル北部にある一番厳しい極悪人が入れられる刑務所に送られると説明をしましたが村人もそんな事があるはずないと鷹をくくったような顔でのらりくらりと帰っていきました。
だけど5年間も村民が集団で税金を払わないと言う事実は組織的国家反逆罪を疑われても可笑しくない事案で重要要注意管理地区になってもおかしくない事例でした。
そうなれば此の領土は国の管理下に置かれて実質領土を取られたと同じ状態になります。