南の魔女クレア42
- カテゴリ:自作小説
- 2021/12/09 18:19:28
イドエルが其の手紙も譲って欲しいと新たに机の上にお金を載せました。
其れでもカバンにお金が残っているのが解ります。クレアはわざとらしく目を伏せて口をわなわなと震わせました。「解りました。其れでお譲りします。その変わり決して粗末に扱わないと約束してください。此の由緒あるわが領土が国によって潰されそうになっております。此の名誉あるわが領土が私の代で亡くなろうとしてます。其れを阻止する為に私が取った此の責任は私一人が背負う覚悟で参りました。どうしても夫の領土を守りたいがための無謀な行為である事は承知しております。ですが私が思いつくのはこういう由緒ある領土の誇りの切り売りと言う行為を取った事を軽蔑するのならしてかまいません。その代わりどうか此れを粗末に扱わないで欲しい・・・」と言いながら涙を流す自分の演技に自分でも呆れて居ました。イドエルはお気持ちは察します。と言いながらもあのクレアがこうなったのかと冷静に観察をしている様でした。とりあえず新たに置かれたお金をカバンに詰めると其の領収書も書いて渡しました。ぐったりした義姉を支えてクレアは「ごめんなさい、お義姉様お義兄様の命をかけて守った領土をこう言う形でしか守れなくて・・・」と言うと義姉は虚ろな目をして少しだけ首を振りました。其れは一見先祖が守って来た唯一の家宝を手放す喪失感にも見えなくもなくイドエルと一緒に来た人の眼鏡の奥に涙が光ってました。
其れからクレアは此れから領土を守るために行かなければならない所があるので此れで失礼しますと言うとボルアートの友人の会計士の人とダルニと其の部下を従えて急いで馬車を止めると其れに乗って税務署に行ってたまっていた税金を総て払いました。それから裁判所に行って訴訟の手続きをしてそれから今後も力になってくれると言うボルアートの友人の会計士と更にボルアートの友人達が何かあったら相談に乗ると言ってくれている言葉に彼らに感謝していると伝えていったんホテルに戻りました。
其れから税金を払い終わって裁判費用を取り除いても残る多額のお金の使い道について義姉と話し合いました。此れから村民との税金のやり取りの為に税金徴収に詳しい会計士を雇わなければなりません。しかも村民は業と早朝や夜遅くに来て通いの会計士が帰った頃に来て不慣れな二人に難癖をつけて払う意思があって来たのに其れを無視したのはこっちの方だと言って税金を逃れる理由にされる可能性があります。だとすると館に住み込みで当分の間いて貰わなければなりません。義姉に自分の子供が大人になって領主になるまでそして領主になっても導かなければならないので其の会計士に税金の徴収の仕方を教えて貰わなければなりません。其の事を伝えると義姉は其れをやると言うのでとりあえず住み込みの会計士を雇う事はしました。
次にいちいち馬を借りに行くのは大変だから馬を買う事にして馬の世話と力仕事や庭仕事と警備もかねて男手が必要だと言う事になり下僕も一人雇う事になりました。
次に義姉が会計士や今後の事務処理に手がかかるので義母だけに子供を任せられないという事でメイドをもう一人雇う事になりました。
部屋のやり振りも今までお風呂に使っていた外への裏口がある部屋は下僕の部屋にするとして新しく雇うメイドの部屋はダルシャの部屋を使って貰って一家にある恐らく部屋の作りから言って家庭教師の部屋だったのではとクレアが思う書棚までついた机もロッカーも立派な部屋はダルシャの部屋にしてダルシャの身分は料理長兼メイド長と言う名前にする事にしました。
明日はトウニで足りなかった子供用品や義姉のサイズに合う服をモーリスの洋品店ではなくもっと一般的な量販店で数点購入して義姉が感じていた義母の為の洋服も購入して汽車は来た時と違ってもっと良い席を取って服は反対に来た時は違ったラフなトウニの量販店で買った服を着てポーターを雇ってそれらの荷物を汽車に乗せて貰うときにも義姉は驚いていたけど降ろす時には義姉自らポーターを呼んで其の荷物を降ろさせました。
其れから馬車を雇って馬車にはどう見てもあの親切に見えたクレア達をだましてどうにかしようとして居た人達が紳士でダルニ達が悪人に見える二人に雇った馬車に荷物を乗せさせてどうせ同じところに行くのだからと一緒の馬車に乗る様に言いました。二人は諦めて同じ馬車に乗りながら其の道すがら彼らは二人を娼婦宿に売り飛ばすつもりだった事。ダルニと一緒来たもう一人が逃げる犯人と駆け付けた彼が鉢合わせになって警邏隊が私服の時に警邏する短い剣で相手も持っていたナイフと闘って打ち伏せて捕まえた事。更に逃げた他の二人も追いかけた地元の警邏隊の人達が捕まえて3人とも捕まった事で彼らの常習的な犯行と数人の行方不明になっていた被害女性が救い出された事を教えてくれました。
ダルニ達が来なければ二人は今頃娼婦にされていた所だとダルニに説教されてクレアはどう見ても犯人達の方が紳士に見えたと言うとそう言う風に見せるのが彼らの常とう手段だろ。そんな見え透いたのに引っかかるなとクレアに疲れ切った顔をさらりと言いました。後はクレアも義姉も疲れ切って馬車の中で寝てしまって其の無防備さにダルニは諦めた様にクレアを見てました。
こんなクレアのどこが良くてボルアートは惚れたんだと思いながらも余程疲れたのか馬車の椅子から落ちそうになっているのを何度かもとに戻しても気が付かないクレアとそんなクレアを愛したボルアートと館を操作した時に恐らく二人の部屋だった3階のボルアートの衣類の中で寝ているのだろうと思われるベットを見た時に感じた胸が締め付けられる思いを思い出していました。
館に付くと早速下僕としてダルシャの推薦で狩人の青年が雇われてメイドもダルシャの推薦でダルシャの実家の近くのダルシャと同じ父親を最近戦争で無くして一家を支えなければならなくなってレストランで下働きを足元を見られて低賃金で雇われていた子を雇う事にしました。
其の後に裁判所から一斉に調査員が来ましたが10人でとても一斉捜査と言う訳には行かないのでダルニの『貸し』で一人につき二人の警邏隊員が同行して一軒に3人ずつ一度に10軒ずつ警邏隊員が強引に裁判所からの書類を見せて家宅捜査に入って全部税金を払える余裕のある家に認定されて其れでも36軒で後は居留守を使われて捜査が出来ませんでした。
其れでも36軒の家に裁判所からの命令書が手渡されて総ての村民に此れまでの居住税の請求書と督促所が配達されて強制執行の通達も配達されたのでクレアはさっそくボルアートの友人の会計士を訪ねて此れまで進んでいる敬意を説明して自宅に住み込みの会計士を頼みたいが女性の会計士がいないかを聞くと何と夫を戦争で無くして夫の会計事務所を継ぐために会計士の試験を受けて受かって此の半年間彼の事務所で見習いとして働いていたサリカと女性がいると言うのです。
サリカも泊まり込みでの仕事に快く協力をしてくれることになり此れで戦災未亡人3人と税金を払わないで居直っていた村民との闘いが始まりました。