南の魔女クレア26
- カテゴリ:自作小説
- 2021/11/30 15:23:53
何を思ったのか義母がクレアを一つの部屋に案内しました。
そして壁に飾ってあった額縁に入っている一枚の古い証文の様な紙を指さして「此れはシドリアル国4代目のサージモデサ国王が直々に此の領地を訪れて此の領地の正式な領主だとお認めになった事を書いた国王直筆の証文なのですよ」と言いました。クレアはモニリスと読んだシドリアル国の歴史の本に出て来た4代目国王の名前と更に此の領地も本に出て来た地名である事に驚いて「凄いわ。なんて素晴らしい事なのでしょう。もう大感激だわ。私がシドリアルの歴史の本で読んだ地名と国王の名が目の前にあるのよ。」と叫んだ。そして義母の手を取ると素晴らしい事だわ。此の家の歴史はとんでもなく凄い事だわ」と興奮して言いました。義母はクレアの対応に驚いてまじまじと其の額縁を見直していました。「あのねぇ、御義母様子供が習う最初の歴史では2代目がシドリアル国を統一したとかいてあるけど、もっと本格的な歴史の教科書によると今のシドリアル国の形にしたのは4代目サージモデサ国王が残っていた地方の領地を回って一つ一つジドリアル国の領地で其処の領主としてまとめて行ったからなの。此の地は其の最後の地名として書いてあってシドリアル国の歴史の中で此の地をシドリアル国の領地で領主を決めた事で今のシドリアル国が出来た歴史ある領地なのよ。」そして「私は此のシドリアル国の歴史の一端を見ているんだわ」とクレアは言って其の部屋にある本棚をまじまじと見始めました。すると義母が確か此の辺りに其の辺の詳しい記述が当時の領主によって書かれたのがあると思うけど」と言って本棚の一角を指さしました。クレアが其の一つを取ってみると其れは本ではなく所謂大きな表紙に製本の様にされた白紙のページにインクで書かれた毎日の此の領土で起きた事を書いた筆記帳簿でした。所謂毎日領土日誌の様な物です。クレアはさっそく其れを部屋に持って行って読んで良いかと義母に言いました。義母はクレアの誉め言葉に気を良くしたのかあっさりと其れを許してくれました。こんな貴重な歴史の本物の資料を見る事が出来るなんてと何冊かを取ると早速3階の自分達の部屋に運びました。
ボルアートはクレアに言われて3階の廊下と自分達が使っている部屋を掃除させられている間にクレアがおとなしく窓辺で其れを読んでいるので此の事態を歓迎してました。
何かしてないと気が済まないクレアは何かと一人で下に行きたがって引き留めるのに苦労をしていたのです。
其れでも暗くなると其れが読めなくなるのでクレアは下に行く方法を思いつきました。食事をした食器を自分が返しに行くのでその間にバスルームを徹底的にピカピカに毎日する様にと言いつけたのです。
クレアが体を洗いたいがお湯を持って来て貰うのは大変だから下の台所の横のバスルームで湯あみをすると言うとボルアートは自分がお湯を運んで来ると言って毎日お湯を運んでバスタブの中に入れるのです。
バスマットは無いしバスタオルもゴワゴワなので不満を言うとどこからか大きなネルのシーツを持って来て濡れたバスタブから出たクレアを包むと暖炉の前のソファに運んでクレアを乾かすのです。
バスマットは諦めたクレアでしたが何日もお湯を抜いただけのバスタブはやがてぬるぬるとしたし石の床もぬるぬるとした感触がしてきました。
クレアはバスルームは使ったら其の日のうちに清掃する物だと怒ったのでボルアートは其れをしなければならなくなったのです。其処で体と髪の毛が乾いたクレアが喪服のドレスを着るとクレアが食器を一階の台所に運んでおくのでその間にバスルームを清掃する事とボルアートに言いつけるとボルアートは其れを承知しました。
クレアは薄暗くなった廊下や階段を移動する為に家から持ってきた子供時代からクレア専用のカンテラに火をつけると其れをもってプレートに空の食器を乗せて1階まで運んでメイドのタルシャが自分が食器を洗うと言うのを断ってクレアが洗ってどこに食器を片付けるのかを聞いて片付けてました。
そんなある日クレアが台所仕事が終わって居間に置いてあったカンテラを取りに行こうとすると義母が其のカンテラを持ったり置いたりしてました。
そしてクレアが其のカンテラをもって3階に上がって行くのを見て居る様な気がして振り向くと義母はどこかへ行ってしまいました。
そんなある日ボルアートが言いにくそうに義母が其のカンテラが欲しいと言っているのだがと言ってきました。
其れがろうそくより明るく見た目より軽くて使いやすそうで欲しいと言うのです。義母はすっかり目が悪くなって夜中にトイレに行くにもろうそくでは心もとないので其の軽いカンテラを使いたいのでクレアに言ってくれないかとボルアートに頼んだようです。クレアは此れは自分の子供時代に子供でも持てる軽さでしかも四方が囲まれていて安全性が高く更に可愛い模様がついているので父がトウニに行った時にお土産に買ってきてくれた物で特に気に入っていたので嫁入り道具の中に忍ばせて来たものでしたがもう一つ絵本の「お化けが出るよシリーズ」のカンテラも子供時代から使っていて其れも持ってきたのでクレアに貴重な此の家の資料を読ませてくれているので「軽くできていて使いやすいのでぜひ御義母様に使って頂きたいわ」と言うとボルアートは其れをもってクレアがそう言っていたと言って渡すととても喜んでいたそうです。
クレアは少しずつ義母との間が縮まった様な気がしました。
クレアはバスタブに入ってボルアートを呼びました。
ボルアートが来ると「一緒に入らない?」とクレアが言うのでボルアートは急いで服を脱ぐとクレアが少しよけた所にはいると少しずつ体をお湯に沈めて行きました。
ボルアートが肩から上をお湯から出してバスタブにつかるとクレアはボルアートに背を向けてボルアートにもたれかかりながら「あのねぇ、良い物をもっているの」とバスタブの外にだして何かをバスタブの淵で隠していた手を挙げて小さな紙の封筒を見せました。「此れなんだか知っている?」「いや」とボルアートが言うとクレアは得意そうに其れを振りながら「此の中に魔法の粉が入っています。此れをお湯の中に入れます。するとあら不思議、素敵な香りがするのです」と言って封筒の封を切って中の粉をお湯の中に入れて手でお湯をかき混ぜました。強い花の香りがお湯からしてクレアは「此れはとても高いのよ。特別な時に使おうと家から持ってきたの。本当は初めての晩に使うつもりだったのよ。クレアの体がとても良い香りになるんですもの。でもすっかり忘れていたのを此の間見つけたの。其れで今日使う事にしたのよ。」と言ってボルアートに体を押し付けながら「クレアだけ良い匂いじゃもったいないからボルアートも良い匂いにしてあげる事にしたの。今日は特別な日だから」と言って少し振り向きながら「今日は何の日か知っている?」とボルアートに聞きました。「今日はクレアが此の家に来て100日目なのよ。数えてなかったでしょう。私はちゃんと数えていたのよ。100日の記念だから此の良い香りのお湯になる粉を使う事にしたの。ラベンダーの香りで男性を魅了するんですって」と言ってクレアは手でお湯をかき混ぜました。