今回の喫茶店は、東京都浅草の「アンヂェラス」という喫茶店です。かなり歴史があるようで、著名人も多く訪れたことのある喫茶店のようです。当時は、そのような事前知識はまったくない状態で来店してしまいました＾＾；もともと浅草を訪れた理由が美味しい天丼を食べるためだったのですが、その腹ごなしとして入った喫茶店が「アンヂェラス」でした。

ただし、現在「アンヂェラス」は閉店しているようです。この日記を書くにあたり調べたところ、2019年頃に閉店してしまったことがわかりました。かなり惜しまれていたようで、特集の記事がたくさんヒットしました。

店内に入ると、洋菓子の入ったショウケースが出迎えてくれたことを覚えています。ほの暗い店内を進み、店員さんに案内された席に着席。知り合い曰く、店名と同じ名前のケーキ、「アンヂェラス」がとても美味しいとのことだったので、そちらを注文するつもりでした。飲み物はどうしようか、とメニューを開くと「梅ダッチコーヒー」という文字が。コーヒーと梅、という見慣れない組合せを見て、梅好きな僕は迷いなく注文することに決めました。注文して間もなく、「アンヂェラス」と「梅ダッチコーヒー」が運ばれてきました。

まず「アンヂェラス」について。丸太を倒したような形のケーキで、コーティングされたチョコレートがぴかぴかしているのが印象に残っています。こちらのケーキ、どうやら白色と黒色の二色があったようですが、僕は迷わず黒色を選んでいました。どうして黒色にしたのかは……すみません、よく覚えていないです笑 　黒色のケーキは、上品なバタークリームケーキでした。当時は、バタークリームケーキといえば、こってりしていて甘みの強いものを想像していたのですが、はるかにシンプルな味わいで美味しくいただきました。

そして注目の「梅ダッチコーヒー」です。そも、ダッチコーヒーというのは水出しのアイスコーヒーのことを指すようです。そのため、氷の入ったアイスコーヒーのグラスが並べられたのですが、不思議な点が2点ありました。まず、アイスコーヒーの中に青梅が入っていました。口に含むと、お酒の味がしたので、梅酒を漬けた時の梅の実だということがわかりました。それから、アイスコーヒーの載ったお盆に、小さなピッチャーが添えられていたのです。黄金色の液体が入ったピッチャーで、こちらもお酒の匂いがしたので、梅酒であることがわかります。つまり、「梅ダッチコーヒー」というのは、ダッチコーヒーに梅酒を入れていただく飲み物だったのです。コーヒーにお酒……成人したての僕は違和感を抱きながら、少しずつ梅酒を加えていただきました。結果的に、当時の僕には大人っぽすぎたのか、劇的に美味しい！とは感じられませんでした。梅酒の甘い香りを感じながら飲むコーヒーは、確かに美味しかったのですが、楽しみきれなかったのです。コーヒーも梅酒も酸味があるので、きっとよく合うんだなと、今では思います。

年齢だけは成人しても、まだまだ経験不足な記憶です。あの頃より幾分経験値を加算した今の僕なら、ひょっとしたらのめり込んでしまうかもしれません。

甘いケーキの記憶と、苦い思い出の味。もう会うことは叶いませんが、また味わいたいものです。