Nicotto Town



南の魔女クレア18


カウンターにいるコンシェルジュはどう見ても家出少女が総支配人の名を言っている様に見えましたがあり得ない事なので一応物静かな口調で「どなたかをお探しでしょうか?」と尋ねました。勿論其の名前が総支配人の名である事は承知ですが同じなの物はこの世に大勢いるのです。「マージさんにクレアが来たと言ってもらいたいのですが」とクレアは涙目になりながら小さな声でまた言いました。其の時偶然マージが通りかかってカウンターで何かもめごとが起きていると思って近寄ってきました。「お客様、何かございましたか?」と言う声を聴くとクレアは其の懐かしい声に振り向きました。「マージ、私、私・・・」と言うとクレアの目から涙がすっと落ちました。「「クレア、クレアじゃないか!どうした、何かあったのか?」マージはクレアを抱き寄せると昔の様に少しかがんで顔を覗き込みました。其れは何時もクレアの顔の高さまでかがんでくれてクレアの話を聞いてくれるマージのしぐさでした。「私、歩けないし、ダンスも踊れないの・・・。」と言うと詳しく話を聞くためにマージは優しくクレアの肩をだいて自分の執務室に促しました。
クレアの言う死ぬほど追い詰められている深刻な話を聞いてマージはホテル内に居住しているマージの奥さんを呼ぶように手配しました。マージの奥さんはマージの昔の館は広くて寒いので其処は別荘の様につかっていて殆どマージが仕事場と居住している此のホテルに住んでいました。
マージの説明を聞いて彼女は直ぐにクレアに何が起きているかを察知しました。自分も一度は経験した事なのです。
夫婦の居住場所にしている所の居間に使っている所に案内すると早速歩く練習から始めました。
直ぐに何事かと同じ居住区に住んでいたマージのお母様が「何事ですか」と其処へやってきました。
説明を聞いてしかも明日がパーティの日でダンスの相手が公爵子息だと聞くと彼女ががぜん張り切り始めました。「まず其の姿勢が行けません。背筋をもっとピンとして!お腹を引っ込める。まっすぐ前を見つめて!どたどた歩かない!つま先で歩く様に!背筋!頭にリンゴを乗せて、落とさない様に歩きなさい。」ある程度歩けるようになると今度は横の向き方です。両方一度に向けない。どちらかが先に向けて少し遅れて他を動かす。
ほら、また同時に動かした。肩が先だと少し遅れて首を動かす。違うでしょう!また同時に動かす。はい、やり直し!」次に手の動かし方も水の抵抗がある様にゆっくりとそうではなくて!」水を張ったバスルームで手を動かしてどういう形になるかを良くつかんでと何度も水の中で手を動かされて其れを今度は水の無い所で同じように見える様に動かして優雅な手の動きを覚えさせられました。
其の後にドレスを着て今度は姿勢を良くしないとドレスの裾を踏むことを覚えさせれて其れでも肩の力を抜かなと優雅な動きにならない事、お腹と背中を何時もびしーっつとまっすぐにしながらも優雅な手の動きと向きを変える時の優雅な動きをみっちり教え込まれました。
其の後に椅子に座り方も本当に椅子の前の所に少し腰掛けて背筋を常に伸ばしてお腹もぎゅっとひきしめてないとすっと立てない事も教え込まれました。
やっとダンスになってマージの奥様が男役になって手を差し伸べると其処に置く手の置き方も水の抵抗を感じる様に優雅にそして軽くふわっと置く事と小指は少しだけ挙げて置く事。
手はあくまで添えるだけ。どこまでも背筋はまっすぐで顔は少し斜め横を見てとつま先で軽やかに顔はほほえみを絶やさない。
サンドイッチを少し食べただけで後はびっしりと優雅な動きを仕込まれて最終列車でゼルセカに付いた時はへとへとで学校に戻る馬車の中で倒れ込みそうなのを何とか持たて寄宿舎の自分の部屋のベットに倒れ込みました。
昼過ぎまで寝込んで何とか何かを口に押し込んでモニークの豪華なドレスに圧倒されながらも学校が用意した馬車に乗って士官学校の体育館を模様替えしたパーティ会場に入りました。
本当にダウニが言った様にモニークとクレアが案内された所は他の子爵令嬢枠で招待された子とは別の隅の方の其処だけ壁紙が違っていて造花の何やら大きなモニュメントが在って明らかに他の所にあったイスとは違ったイスが並んでいてテーブルの上に安っぽいお菓子が山盛りにお皿の上に乗ってました。
確かに此処に座って菓子でも食べてろと言う雰囲気丸出しでモニークも此処に来ている誰よりも豪華なドレスを着て呆然と立ち尽くしてました。
クレアは其れでも何気にお菓子の乗ったテーブルから離れてお互いの申し合わせた薔薇のコサージュを胸に付けてお兄様達が手配してくれた人がダンスを誘いに来るのを待ってました。
長い色々な人の訓示とやらが済んで其の後に成績上位の10名が名を呼ばれて遠くの方で拍手が起きて其の後にまだ何やらごちゃごちゃとやってやっとダンスが始まりそうなふんいきなり、クレアは其れまで飲んでいたジュースやバックをおくとごくりと生唾を何でマージのお母様が言っていたおまじないの「カボチャ、カボチャ」と心の中で繰り返しました。
緊張をほぐすために相手をカボチャだと思って落ち着いてあくまでも優雅にふるまう事と言われていたのです。
やがて白いタキシードを着た紳士が近づいてきました。
クレアは「カボチャ、カボチャ」と目をつぶってつぶやきました。
クレアの声が聞こえたのか相手の紳士が笑いを堪えている様でしたがクレアにはもう何もかも総てが遠のいて行く用でした。
「僕と踊って頂けますか、クレア?」と其の紳士が手の手がすっとクレアの方へ来た様な気がしたのでクレアは水の抵抗と頭に描いて手をのばすと軽くその手の上に乗せると教えられたことを思い出しながら其の動作をしました。
ぐっと手を掴まれてひきよせられるとその手にひかれてトットットツと歩いて行くとその手がすっと離れて彼がクレアの方を向きました。
教えられた様にクレアは一歩引くとスカートのパニエの所をスカートごと掴んで少し持ち上げて腰を少し掲げて軽く頭を下げました。
その手を放してクレアが立ち上がるとまたすっと紳士の手が自分の方に来たのでクレアはまた水の抵抗を感じる様にゆっくりと手を彼の上に乗せました。
ぐっと彼がその手を握ると同時にクレアは引き寄せられてダンスが始まりました。
イドエルには明らかにクレアが頭の中で「イチ・二ィ・サン」と数えている事が解り吹き出しそうでした。
更に小刻みにクレアの少し小指を上げている手が震えているのも解りました。ちょっと意地悪をしてターンを繰り返してやろうかとも思いましたが次の機会があったらにしておく事にしました。
無事に1曲目が終わりクレアは教えられたとおりに一歩引くとまたスカートのすそをもって軽く挨拶をすると最後の決め手の首から少し先に横を向いて其の後に残りを横を向いて又今度は胴体を少し先に横を向いて其の後に首を横を向いて後ろを向く言うう後ろ髪をひかれるような形に見える優雅な動きで後ろを向くとゆっくりと自分の席に戻って行く予定が次第に足が速くなって「壁の花席」の造花のモニュメントが見えたら走り込んでいました。




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