45冊目、読了
- カテゴリ:日記
- 2021/11/17 13:54:24
「大川わたり」 山本 一力 著
始めに題名が、何を意味しているのかよく分からなかった。読み進めていくにつれて主人公へ課せられた「縛り」であるのが分かった。
帯に「苦難にめげない男の美学」と書いてあったが、まさにその通りかもしれない。普通の人なら絶対くじけてしまいそうなことを、地道に確実にこなせる。率先して学ぶすべもあり大工や呉服屋の手代としての仕事も覚えが早い。
博打で作った借金を返すために、返せる金額になったら返しに来いと親分に言われ、その前に大川を渡ったら殺すという縛りを申し渡された。見張りはそれとなくつけられたが、自由に仕事に励むことはできた。人間を見込んでの縛りだったが次第に事件に巻き込まれ、お店のご主人や恩義ある先生と親分たちと謎を解くことになる。
博打にはまった原因は、惚れた女性に振られたのが原因である。男の弱さもあり、そこから抜け出なくてはという更生の気持ちが先生や親分、呉服屋の主人に認められ守られながら、まっとうな強い人間になるための物語であった。ハッピーエンドに終わって良かった。
それを見守ってくれる人たちがそばいて
更生へのチャンスを頂けるのはありがたいですが、実社会では
良い人に巡り合える機会は万人にあるわけではないので
難しいところかも?
男でないので良くはわかりませんが、今は自己犠牲になるような男はいるんでしょうか?自分が可愛くて保身に走る、家族や恋人が守れない。親友を裏切っても助かりたいなんて人が多いのではと思います。仕事の上下関係や事件を起こす人たちの言い訳がそのような感じに見受けられます。
全員がそうとは言いませんが、肝が据わっている人なんて言葉も聞く機会も減ったし、そういう人も少なくなった現代な気がします。
その対談で「男にとっての最高の美徳は何か?」との答えを三島由紀夫が「それを口にする前にお互いに入れ札しよう」と言いだし、ならばと二人して手元の紙に書き記して差し出して開いてみたら二人とも同じ『自己犠牲』だったというエピソードです