44冊目、読了。
- カテゴリ：日記
- 2021/11/14 00:44:54
「カラフル」 森 絵都 著
ある魂に命じられた人間社会でのホームステイ。誰しも生まれ変わることができる輪廻の法則に漏れた魂が、人間の世界で暮らし（修行）ながら、忘れた自分の罪を思い出しその資格を取り戻すお話。
魂自身は生まれ変わらなくても良いと思っていたが、天使に抽選に当たったというちょっとおふざけ気味の話で始まる。最初はどこの誰だかわからない少年になる自分と、その家族と一緒に生活するなんてなんという修行だと思った。でも、その家庭の事情が色々分かってきたり、学校での少年の立場が理解できるようになって、気持ちが変わってきた。
美術部の女子に、最初は変わって見えたけど、根本は変わっていないことに気が付いたと言われ、自分の罪を思い出した。「自分は自分を殺したのだ（自殺）」つまりは自分の遺体に記憶喪失になった自分の魂が戻っていたということであった。
天使との約束で、24時間以内に自分の罪を思い出したということで、本当の少年の魂を戻してあげられることになった。そうして魂は自分の体に戻れ、完全に行き返ることができた。自殺する前に聞いておけばよかった話ややっておけばよかったことなど、他人だと思ったから遠慮なく話せたことにより、知りえた家族の愛情や絆。嫌なことばかりで暗い気持ちになり自殺したが、生き返って見るとそれほど悪いわけではなかった。閉じこもっていた殻を壊して出てみればまんざらでもない。いろんな色に光り輝く現世であった。
自分の目で他人を見ているつもりが自分そのものだったなんて面白い視点だと思う。楽しく読めた。
