Nicotto Town



南の魔女クレア9


お母様の許可が下りたのでモニリスとクレアは更に本格的に入学のための準備を始めた。
驚いたことに其の学校は女子師範学校や看護婦養成学校より入学試験の倍率が高かった。
二つのコースがあって一つは入学金も授業料も高い一人部屋の寮に入り其の寮にはお茶をするサロンもあり食事の内容も一般コース良いらしい特別コースで其のコースの入学申込者が多いので其処の倍率が高いと言うか入学希望者が多いので試験の内容は一般コース同様実技試験と筆記試験があり其の特別コースの倍率が高いのだ。
一般コースは寮は二人部屋か3人部屋で授業料も寮費も安いコースで多くの生徒が午後は近くにある衣類製作工場に働きに出ながら授業料を払う生活をしていた。
更に寮に入っている生徒の中には夕食後も工場に働きに行っている子もいるとの事。
だた同じ試験内容だが其処は特別コースより倍率が低かった。
モニリスの知人で其の学校をでて働いている人の話だと特別コースを受験する生徒の多くは爵位は男爵が多く其れ以外はお金持ちの商人の娘がほとんどで目的は士官学校の学生と仲良くなって高貴な方との結婚を目的としている女の子が多いとの事。
上級士官学校に入る為には士官学校を出て居なければならず士官学校の生徒の中には伯爵家の息子や侯爵家の息子がいる事もあり更に公爵家の息子が通っていた事があったらしい。
士官学校の卒業パーティに呼ばれて行って最初のダンスの相手に選ばれた幸運な子もいるらしいとの事。
だが其の士官学校の卒業パーティにはトウニにある女子師範学校の成績が上位の生徒も4名呼ばれて更に看護婦養成学校からも成績上位の4名が呼ばれて服縫専門学校も特別コースの成績の上位者2名と一般コースの成績2名の4名しか呼ばれない事。
後は其れまでに仲良くなった士官学校の卒業生が個人的に一人誘う事ができるのでそれらの一人呼ばれる子になる可能性が高いのが士官学校の傍にある服縫専門学校の生徒と言う事になる。
勿論高貴な貴族同士の付き合いで高貴な貴族の娘が通うと言う女子学院の生徒も個人的に呼ばれて参加をする事があるが其の人達も士官学校の卒業生の卒業パーティに呼んで良いと言われた決まった人と最初のダンスと最後のダンスを踊るのだそうだ。
更に其の士官学校の卒業生も成績優秀で卒業した生徒が毎年呼ばれるらしく中には家柄も伯爵クラスで父親の職業も貴族院に居る様な高貴な人も出席する事があって其の人達の目に留まって最初のダンスに選ばれる子もいるらしいとの事だった。
モニリスの知人は其のパーティには呼ばれなかったが行った人たちの噂で其れは素晴らしい華やかなパーティらしい。
クレアは貧しい女の子が其のパーティに呼ばれて行って王子様の目に留まってダンスを踊る場面が出て来る昔読んだ童話の本の挿絵を思い描いた。
絶対に此の学校に入りたい!とクレアは思った。
其の為には試験の内容が同じなら倍率が低い方が確実に入れるとモニリスとクレアは推理した。
お母様も其の学校に入れるためにミシンを購入してミシンを扱う専門の家庭教師も雇うお金持ちの商人の家もあると言うのをテーラーさんに其の学校の事を聞いて早速クレア専門のミシンを購入して練習用の布も購入してミシンの練習をさせる様に縫子のエレーヌに命じた。
筆記試験の方はモニリスの其の知人から過去に出た問題の内容を聞き出して主にミシンの箇所名と布の種類、縫い方の名前、色々な袖の名前等かなり多岐に渡っていた。
専門書を取り寄せて更にテーラーさんに布の見本と見分け方のコツを習った。
此れがクレアをトップの成績で入学させた。
何と此の問題は最近色々な多種の布が出てきて其の見分け方にかんしては今年初めて出た問題だったのだ。
お父様がクレアの入学式に付いてきて下さって入学式の後にお父様が学校長を訪ねて初めてダストリー家が子爵の家柄である事と多額の寄付をして本人の意思で実力で入学したいという事一般コースを選んだ事を伝えた。
驚いたのは校長の方で慌ててクレアの部屋を無理をすれば4人部屋に使える広い部屋を二人部屋に変えて同室者もモニークと言うトウニで高級洋品店を営んでいる金持ちの家の娘で其の子も子供が姉妹二人の長女で養子を迎えて父の洋品店と服制工場を継ぐの為に大勢の縫子を従わせる信頼を得る為にあえて一般コースを受験して一位の成績で卒業する事を目的に入学してきた子を選んだ。
クレアとモニークは直ぐに仲良くなった。
まずクレアが夕食の簡素な事とデザートが無い事に失望した事を口に出した時に其れまで緊張して黙っていたモニークも「私も!」と思わず口にだしてそれから部屋の床に絨毯が無い事、カーテンが薄っぺらな布である事、ベットが硬い、ロッカーが一つだけと不満を言い合って其れが同じである事で意気投合したのだ。
二人の荷物の多さも既存の制服以外に制服を持っている事も同じアリ更に毎週実家に帰る事も同じであった。
唯クレアは遠いので金曜日に出て日曜日の10時の門限ギリギリに帰って来るがモニークは土曜の朝に出て日曜の夕方に帰って来ると言う違いである。
更に目的は違えど成績を一位を目指している事には変わらなかった。
二人は勉強熱心で成績もどちらかが一位でどちらかが二位と言う事とデザートがない為に甘いものに飢えている事に変わりはなかった。
ある日二人はクレアが持っている爵位を持っている家の子だけに与えられる特別コースの寮の宿舎にあるサロンに其の特別なサロンに入れるパスをもって行ってみた。
二人とも其の余りの簡素な作りと安っぽい茶葉の紅茶しか出て来ない事にがっかりした。
此れならトウニにある高級菓子店でお菓子を買ってきて自分達の部屋で高級茶葉で入れた紅茶でお茶をした方がマシという事になった。
其処でクレアは駅の近くで乗合馬車からトウニから此の学校がある終着駅のゼルセカまで汽車で来て其処から馬車を雇って学校に付く為に
トウニの駅の近くにある幾つかの菓子店を受け持ってモニークは其れ以外のトウニ菓子店から何かしらの気に入った菓子を買ってきて月曜日の夜は仲良しの一般コースの学生と二人の部屋でお茶をする事になった。
二人は月曜の夜も工場に働きに行ってお茶に参加できない同級生の分もお菓子を買ってきて其の子達が部屋に帰ると其々買って来たお菓子が二つ机の上に置いてあると言う優しさもあったのですっかり学校で人気者になった。
更に成績も良く人柄も特別コースの生徒が一般コースの生徒を見下した態度をとるのにお金持ちの家柄や爵位のある家柄にも関わらず気さくで誰にも話しかけて更に汽車が遅れて門限の10時になって門がしまっていると工場で残業が在って遅れた子が使う木を登って塀を乗り越えると言う技を同じように何の気後れもせず寧ろ誰よりも素早く上手に其れをする姿でますます一般コースの学友たちに親近感を持たれた。




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