南の魔女クレア4
- カテゴリ:日記
- 2021/10/27 23:44:07
秋の収穫が半分終わった時にクレアは最高のおしゃれをさせられてお父様、お母様、クレアと副執事のマージとお母さま付きのメイドとコウアニ地方の一番大きな街のジルドに馬車で行きました。
お父様が此れまで取れた野菜をシドリアル国の首都のトウニの市場に運ぶ馬車の手はずと小麦を製粉する工場への手配の為にきて、お母様は家族の冬服を買うために一緒に来たのでした。
お母様は何時もより元気そうで色々な店に馬車を付けてクレアとウィルの冬用衣類をどんどん買うと其れを副執事のマージに馬車の上にある荷物置き場に運ばせました。
クレアは何度も色々な服を着たり脱いだりとお母さま付きのメイドにされて最後はふらふらになりましたがお母様は気に入ったのがあると大喜びをしてまた其れを店員にもって来させてクレアに着せて其れは春に着る服だったのですが、其れに合わせたお人形も作れると言うと其れを注文し、来年の誕生日プレゼントにするとクレアに聞こえない様にいっているようでしたがお母様が余りにも大きな声で喜ぶのでクレアにも聞こえました。
クレアは隣にいた副執事のマージさんを見るとマージさんは片目をつぶって口に指をあてて「聞こえなかった事にしましょう」と言ってにっこりと笑った。
クレアはうんと言ってうなづいた。
なぜかクレアはマージさんと秘密が出来た事がうれしかった。
当時はお母さまがご結婚なさった時にご実家から一緒にきた執事長のガゼルとお母さま付きのメイドともともと此の館で執事をしていた副執事のアルバルとメイド長のルカーナとに二派に分かれて何かにつけて言い争いが尽きなかった。
其れが嫌で止めて行く使用人も多く居た。
マージは割と新しく入って来た使用人だが其の物腰の柔らかさと貴族のしきたりやマナーに詳しかった。
其の為に早くに副執事として取り立てられた。
此れは後で知ったのだがマージの家はシドリアル地区にあった古い貴族の家だった。その為にマージは貴族の子息が通う学校に入っていた。
だが父親が多額の借金をして家も土地も手放す事になり父親は首をつって死んだ。マージと母親は母方の祖母の家に行ったが其処の生活も厳しかったためマージは14歳でトウニにあるホテルでボーイとして働いた。
だがある日其の事が元の学友に知られて嫌な学生達がマージをからかいに来て、あるものは靴を磨かせたりした。
其れが嫌で別のホテルに移ったが其処にも彼らは嫌がらせにきた。
トウニでの最後の仕事はレストランのウェイトレスだったか其の店にも彼らは嫌がらせに来た。
仕方なしにマージは誰も知った人が居ないコウアニ地方の街のジルドのレストランでボーイをしていたがダストリー家で使用人を募集していると知って応募してきたのだ。
其れはマージが20歳の時だった。其の頃一緒に応募して採用されたのがクレア付きのメイドのセリスだった事から二人は仲が良かった。
クレアが此の館に来た時にはマージは24歳で既に副執事になっていた。
異例の出世だったが貴族のしきたりにもマナーにも詳しいのを執事長のガゼルに高く評価されたのだ。
執事長のガゼルにとっていくら100年近く続いていて今は大農場となったリアド農場ではあるが金で爵位を買った男爵家は成り上がりに過ぎず其の館のしきたりもマナーも貴族の物と違っていた。
其の為に何かにつけて両派はぶつかっていた。
遂にクレアの行動が両派の大きな確執になり、母の耳に入り大きな問題になった。
其れはクレアがモニリスがアギル兄さまの部屋の本を読むためにクレアが自由になる時間に3階の屋根裏部屋に通っていて其処で過ごしている事にあった。
其の部屋は元は鍵がかかっていて誰も入れない様になっていたがお母様が其の部屋を見つけて鍵を開けて暗かった壁紙も明るくして定期的に掃除をして幽霊がでると使用人たちがうわさしているのを一掃してしまった。
其の事ももともと此処にいた古い使用人達は気に入らなかったのだ。
其の部屋に子供のクレアが難なく入り込んでおもちゃを持ち込んで遊んでいる事が此の家の古いしきたりからするととんでもない事だったのだ。
其れを止めさせる様にセリスにメイド長から命令が下ったがセリスは執事のガゼルに判断を仰ぎに行った。
その部屋にクレアが言っている事はとっくにお母様は知っていた。
何せクレア自身がお母様に3階の部屋の窓からの景色のすばらしさを逐一報告をして其の部屋が気に入っている事を話していたのだ。
お母様付きのメイドも其の事を知っていた。
そして反対を押し切って幽霊が出るなどと言う噂の暗い部屋をすっかり明るくした事は成功したととらえていたのだ。
勿論執事長のガゼルも其の事は知っていた。
ガゼルはセリスに其の命令を下したメイド長を呼びつけて館から出られない幼い子供が楽しみの遊び場にしている場所を取り上げる様とする行為は何と思いやりのない事をするのだと田舎の古い慣習はそう言う所が品性が無く下らないと言うのだと怒鳴りつけた。
メイド長と副執事のアルバルは此の家を侮辱したとお父様に言いつけた。
遂にお父様の耳にも入ってしまったのだ。