Nicotto Town



南の魔女クレア3


クレアがダストリー家に引き取られて2年が経ちました。

お母様の「年齢から来る病気」は一向に良くなる気配は無い様にクレアには見えたがお医者様を始めメイド達もいずれはまた元気になられると言うのでクレアも其れを信じた。
其の頃にはクレアも食事のマナーを覚えて夕食はお父様、お母様、ウィルお兄様と一緒のテーブルで食べる事を許された。
夕食はお父様がお済になって席を立つまで他の者は席を食べ終わっても席を立つことは許されなかったがクレアだけはデザートを食べ終わるとお母様に食べ終わった事を知らせるとお母様が部屋に戻って良いと言って下さるのじでクレアだけ席を立つとスカートのすそを少し持ち上げてちょっと腰を下げて挨拶をすると自分の部屋に戻った。
部屋では家庭教師のモニリスが半地下の上級使用人達と呼ばれる人たちとの夕食を済ませて待っていた。
夜はモニリスと色々なゲームをしたり勉強とは違うクレアの為に買い揃えられた本をクレア専用の本棚から出して呼んだりして過ごした。
午前中は主にお母様の部屋にモニリスと一緒に行ってお母様が呼び寄せるとお母様の寝ているベットに入ってお母様にべったりとくっついたがモニリスはもう大きいのとお母さまが疲れるからとベットから降りる様にと言われてお母様がうなづくので其れに従った。
更に天気が良いとお庭の散歩の時間になったりとゆったりとモニリスと過ごした。
午後は2時間程モニリスが色々な教材を用意して勉強の時間になった。その後はモニリスの休み時間が1時間程あったのでモニリスはアギルお兄様の本を置いてある部屋への出入りを特別に許されて居たので殆ど其処へ本を読みに行くのでクレアは其の時間は広い館の中を自由に冒険して回った。
ある日クレアは3階の屋根裏部屋と呼ばれている所の真ん中の部屋の一番大きな窓が外を見られるガラスでできている事を発見した。
他の部屋の窓は木の内窓が付いていてしっかりと鍵がかかっていて居たり、ステンドグラスが付いていて外を見る事が出来なかったが其処だけは壁も明るい色でセリスに聞くと何台か前のお父様のお母様のお姉さまが分け合って其処に暮らしていた部屋だと聞かされた。
昔は鍵がかかっていて誰も入れなかったが今は鍵がかかってなかった。
クレアは広い農園が一望できるそこからの眺めがいっぺんに好きになって自由になる時間が出来ると其処へ行って外を眺めて遠くにウィルお兄様を探してみたりお父様を探したりそこから一番近くにある小作人の農場の人達の働く姿を見たりしていた。
其処の家にはちょうどクレア位の女の子がいて其の子も時々大人と一緒に働いている姿が見えた。
私と同じ位の女の子も大人と一緒に働いているんだわとクレアは其の子に興味を持って良く其の子を見つけると目で追うようになっていた。
時々ウィルおにい様と一緒にいる時が在った。
メイドのセリスに聞くとシーズと言うクレアより一つ上の女の子で午前中は村の学校に通っていて午後になると親の仕事を手伝っているようだった。
9歳になると大人と一緒に農業をする事が出来るのだとクレアは思った。
ある日とても大勢の人が農場で働いているのが窓から見えた。
驚いてクレアはセリスに其の事を伝えた。
セリスは「季節労働者だ」と教えてくれた。
モニリスに「季節労働者って何?」と聞いて見た。
北の寒い地方から秋の収穫時期と春の種まきや植え込みのじきにだけ働きにやって来る人達だと教えてくれた。
「北の寒い地方ってどこ?ピェールお兄様が居るトウニより遠いいの?」とクレアは尚も聞いた。
モニリスは地図を書いて説明してくれた。
「此のシドリアル国は4つの地方と魔女の森と呼ばれている大きな森の5つに分かれた地方で出来ているのよ」
縦長の丸い円を書いた。
「まず真ん中にシドリアル国の首都のトウニがあるトウニ地方。
その下がひょろ長くだいたい分かれていて真ん中の「魔女の森」を挟んで此のリアド農園があるコウアニ地方、真ん中が「魔女の森」と呼ばれている誰も木が生い茂っていて誰も入る事が出来ない大きな森があるの。其の森の西側にキアセリ地方。そして首都があるトウニ地方の上の北にあるのがシドリアル地方で此の国の名前は其のシドリアルがある国だからシドリアル国と言うのよ。
昔は其処に北の魔女が住んでいて其の魔女はシドリアル国の女王だった時期があるの。」「魔女が本当にいたの?」とクレアは目を丸くして聞いた。絵本の中だけの話かと思っていた。
モニリスは笑って「今も北の魔女はいなくなったけど南の魔女はちゃんといるのよ。昔は北の魔女と南の魔女で此のシドリアル国を敵から守っていたと私のお婆様に聞いたことがあるのよ」「今は魔女はどうしてるの?」
「北の魔女は今から150年位前に隣の国のキリアマリ国が今のシドリアル地方に攻めてきて一生懸命闘ったのだけど其の時は魔力がおばあちゃんで魔力が足りなくてお城が落とされてしまって殺されてしまったの。でも最後の力をふりしぼってキリアマリ国が攻めて来た理由がシドリアル地方にある鉱山だと知っていたので其の鉱山を深く氷に閉ざしてしまったの。其の闘いの時にトウニ地方にあった上級士官学校の生徒の兵士とバスタ地方にあった士官学校の生徒がキリアマリ軍が其れ以上南下してこない様にとても頑張って闘った為にキリアマリ軍はシドリアル地方しか占領する事が出来なかったのよ」モニリスの話で一番驚いたのは魔女はおばあちゃんで魔力がなくなって殺されたと言う事だった。
魔女は何百年も生きて悪事を働くと言う絵本の中の世界では無かった。
「その後キリアマリ軍はシドリアル地方の人を奴隷として使って何度も鉱山を切り開こうとしたけど深く氷に閉ざされた鉱山を開く事は出来なくて多くのシドリアル地方の人々が上と寒さで死んでしまってキリアマリ国からも労働者を連れてきて鉱山を開こうとしたけど出来なくてとうとうキリアマリ軍はシドリアル地方を捨てて引き上げてしまったの。」とモニリスはシドリアル王国がシドリアル地方になって首都がトウニ地方のトウニと言う街になった事を教えてくれた。
今は此の国は王様がいなくて貴族院と言う人達が納めているそうだ。
其の後シドリアル地方は寒くて貧しい地方になって夏のわずかな間だけしか作物が取れないので春の作付け時期と秋の刈り取り時期に季節労働者として遠くから働きに来るようになったと教えてくれた。
クレアは話が難しくて全部は解らなかったが北の魔女が死んでいなくなったこととシドリアル地方と言う貧しい地方ができて其処の人達が春と秋に働きに来て居る事は理解した。






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