Nicotto Town



40、41冊目読了

「ほうき星」(上)(下)      山本  一力 著


山本一力氏の初めて読む作品である。江戸時代の小説であった。年号があっても殆ど理解できない私なのだが、時代背景は、江戸の深川にほうき星(ハレー彗星)が輝いた天宝6年に生まれた「さち」という少女の話である。

5歳の時台風による船の遭難で両親を失い、3年後には祖母を失う。伯母に育てられその後絵の弟子入りをする。確かに親の愛情を受ける期間は少なかったけど、大店の出ということで、経済的に恵まれ、父の絵の才能を受け継ぎ、小さき頃から母や祖母から教わった料理などの才能にも恵まれていた。もちろん本人が嫌だと言ってやらなければ、開花しない才能であるが、努力の甲斐あって達成することができた。江戸の人情ものというくらいだから、多くの人に可愛がられ、助けられ、なんと羨ましい話である。

祖母が土佐の出身ということで、鯨の絵を描きに行くくだりがあるが、私はその豪快な土佐人との触れ合いが何とも気持ち良かった。強運の少女として歓迎され、自分の生きていく道を模索しながら祖母の故郷で温かさに浸る。

大地震をきっかけに江戸に戻るが、しっかりと自分の意思が固まり、絵師・サンゴ細工屋そして、好きな人を手に入れ、これまた、つきすぎな人である。父親の絵の詐欺未遂事件があったが、殆ど順風満帆に進んだ。ま、哀しく終わるより、ハッピーエンドで良かった。

今年は江戸人情小説を数冊読んだが、男女の絡みも清純派っぽく、人情が厚く(現代ものは最近苛めが多い)気持ちよく読めるので好きになってしまった。




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