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ジュンチャン


ジュンチャンと世界を巡る 第68回はアンデス


 釣り師憧れのアンデスとアマゾンは国扱いとして登場ですので、南米のまだ旅していない実在の国々は一先ず休んで、まず「アンデス」への旅、それから「アマゾン」への旅、この順番で旅して行きたいと考えています。 

 南米のまだ旅していない実在の国々は、「アンデス」と「アマゾン」の次に登場させます。

 まず「アンデス」への旅です。

 アンデス山脈は、主に南アメリカ大陸の西側に沿って、北緯10度から南緯50度まで南北7500km、幅750kmにわたる世界最長の連続した褶曲山脈です。

 山脈はベネズエラ、コロンビア、エクアドル、ペルー、ボリビア、アルゼンチン、チリの7カ国にまたがっていて、 最高峰はアコンカグアの6960m(一説には7021m)で、6000mを越える高峰が20座以上そびえ立っています。

 アンデス山脈は北アンデス、中央アンデス、南アンデスの3つに分類され、北アンデス地域にはベネズエラとコロンビアとエクアドル、中央アンデス地域にはペルーとボリビア、南アンデス地域にはアルゼンチンとチリが名を連ねています。

 アンデス地域には紀元前1000年頃からチャビン文化が成立し、紀元前後からはナスカ、ティワナク、モチェなどのアンデス文明が生まれました。

 紀元700年頃にはペルー中央高地にワリ文化が成立し、アルティプラノにて継続していたティワナク文化との並立期を迎え、9世紀後半頃にはモチェ文化の遺民によってチムー王国がペルーの北部海岸に成立し、シカン文化などを併合して海岸部を支配する帝国となりました。

 1100年頃にティワナクが衰退するとチチカカ湖周辺は諸民族の抗争の舞台となりましたが、そのうちインカ帝国が勢力を拡大し、1476年ごろには最後の敵対する大勢力であったチムー王国を併合し、1500年頃にはインカがエクアドルからチリ北部までのアンデスを制覇しました。

 インカ帝国はアンデス文明最後の華となりましたが、「アンデス」という名称は、このインカを興した民族であるケチュア族の言葉で東を指す「アンティ」によるものとされています。

 

 「インカ帝国」について知るには丁度いい参考書があります。少し古く、古典とも言うべき本ではありますが。

 僕が大学へ入って間もない頃(暇に任せて古本屋あさりをしていた頃のことだが)、タイトルに惹かれて文庫本等を20冊ほど買ったことがありました。
 その中の1冊に、泉靖一の「インカ帝国」という岩波新書本があったのです。
 泉靖一は、今は故人となっている有名な考古学者です。
 泉が中学3年の頃、彼の学校に「南米探検家」という肩書きの長いひげを生やした男が来て、講演会を開いたのです。
 その話しのあらすじは彼の記憶には残りませんでしたが、「南米探検家」が話したアンデスの特異な自然と、そこに栄えたインカ帝国の哀しい末路だけは、彼の心にいつまでも残ったのです。

 彼はその後、朝鮮の京城大学に進み、さらに東京大学の文化人類学の教授として教鞭を執ることになるのです。

 考古学者泉靖一の誕生ですが、泉靖一はインディ・ジョーンズのような人でした。
 アンデスを探検したいという中学の頃に芽生えた夢は、その後、考古学者となることによって達成されたのです。
 その彼の著書には、東京大学在職中にペルーやボリビアに滞在し、その後、東京大学アンデス学術調査団に加わり、三度に渡ってペルーに出かけたこと、北はエクアドルから南はチリまで3万kmをジープで走り、遺跡発掘等によりこの地の文化の調査を行なったことなどが詳しくまとめられていて、アンデス山中に結実したインカ帝国という実態が、僕の記憶にしっかり残りました。
 彼の著書は、僕が高校1年の時にペルー移民100周年事業として開催された「悠久の大インカ展」で、アブリマック川源流部近くにそびえるアンパト山の山頂付近の氷解の中から発見された、あのイケニエにされミイラとなった「美少女フワニータ」に出会った時以来の感動を与えたのです。

 フワニータは選ばれた女性の一人で、インカ帝国では10歳くらいになると国中の少女の品定めをおこない、美しく身体の丈夫なものを選び、地方首都の尼僧院に送りました。
 4年の間、彼女たちは作法と宗教、紡績と料理、そしてチッチャ(この地方の酒、口に含んで醗酵させる。)のかもし方を学んだのです。
 そして時には、彼女たちの中からイケニエが選ばれましたが、フワニータは、そういう少女の一人で、イケニエになるということはこの時代は名誉なことでした。
 イケニエにされない大多数の少女は、二回目の品定めにより選ばれると、皇帝から貴族へ側妻として献上されたのです。
 他の少数の少女は、太陽の処女として、永遠の処女を守りつつ、太陽の神殿で働きました。
 泉靖一の著作には、インカ帝国の政治や文化についても詳しく記述があり、高校時代に抱いていた疑問はすべて解決しました。


今回は「アンデス」への旅、実際には「インカ帝国」への旅となりました。

次回は「アマゾン」を旅しますが、また遊びに来てください。




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