バラカン氏が流さない1971年の音楽
- カテゴリ：音楽
- 2021/08/07 16:27:30
午前のFMで、ピーター・バラカンが1971年リリースのスタジオアルバムを、
4時間半に渉って特集してました。なるほど納得のセレクションで楽しめた。
凄いアルバムが山のように出てる年なんですよね。
さてバラカン氏はヘヴィロックや『プログレ』をお好みではないわけでして。
イエスのサードとデヴィッドボウイは入ってましたが、
バカなガキ向けのウルサイ音楽はほぼ流さず。それはそれでいいんです。
そこで代行いたしましょう。清く正しく美しい音楽通には無縁な、
建設的な人生を過ごすには一切聴く必要のない、バカでウルサく有害な音楽を。
とりあえず10枚にしよう。きりがないですものね。
1.マスター・オブ・リアリティ/ブラック・サバス
全ヘヴィロックのお母さんみたいなアルバムです。サバスの隠れ名盤。
ダウンチューニングのSGでヘヴィリフ弾くという素晴らしい発明を成し遂げた、
トニーアイオミに全ギタリストは敬礼。他メンバーの演奏も熱い。イイ。
2.対自核/ユーライア・ヒープ
デヴィッド・バイロンのボーカルとコーラス、歌メロの良さ。
日本のB'zはけっこう影響されてるんじゃないかな、曲作りにおいて。
2曲目の『I wanna be free』がワタクシの一推し曲です。
3.電気の武者/T・レックス
生涯エレクトリックブギー一直線のマークボラン最高傑作。
キンキーでグラマラスな彼の音楽、意外に黒人音楽からの影響もありますよね。
ローリー寺西氏はマークボランを正しく理解してると思う。
4.ラフ・アンド・レディ/ジェフ・ベック・グループ
黒いベックの腰が揺れる名作。マックス・ミドルトンの貢献度は言わずもがな、
ボブ・テンチのソウルフルな歌唱、ドタバタするコージー・パウエル、
タイトに引き締めるクライブチャーマンのベースも佳し。
5.ロック・オン/ハンブル・パイ
スティーブ・マリオットとピーター・フランプトンの双頭期ラスト盤。
脱退後のフランプトンがヒットさせる『シャイン・オン』で幕を開け、
マリオットのソウルフルな歌唱も爆発する名スタジオ盤。みんな上手いなぁ。
6.ワン・ウェイ…オア・アナザー/カクタス
アピス/ボガートの重量級リズム隊、激烈ギターのジム・マッカーティ、
ガラガラ蛇みたいなラスティ・ディのシャウト。アメリカの名バンドの2nd。
カラリとした暴走サウンドがどことなく右翼的で、そこもなぜか宜しい。
7.ヒンテン/グル・グル
1st『UFO』のダウナーな暗さから一転、マニの個性が出たのか、
明るく楽しめるサイケデリックフリートリオに変身した。
それにしてもアックス・ゲルリッヒのギター、誠に奇妙奇天烈で至高の尊さ。
8.ファースト・アタランス/コーマス
イギリスの誇るアシッドフォークバンドの超有名1stアルバム。
邪神に捧げる供物といいますか、禍禍しさ120％のサウンドは未だに古びない。
アメリカ的アコースティックシーンと隔絶した音響構築に脱帽です。
9.ムーヴィング・ウェイブス/フォーカス
オランダの超絶ギタリスト、ヤン・アッカーマンには影響受けまくりました。
迷曲『悪魔の呪文』は無視してB面の組曲をひたすら聞きましょう。
『パピラ』~『トミー』の流れ、中世音楽をきちんと昇華させた美しさです。
10.タゴ・マゴ/カン
冷め（醒め）きった熱狂、西洋の知性と未開の蛮族の結合がカンの真骨頂。
一曲聴き始めるとその曲ばかり聴きたくなる、合法ドラッグ的バンドです。
B面の『ハレルヤ』なんて３日続けて聴いても飽きない。つい踊りだしてしまう。
……以上、間違ってもバラカン氏はターンテーブルに載せない10枚でした。
ラインナップ眺めると、黒人音楽の気配が希薄なのはワタクシの嗜好ですね。
ちなみに71年、内外のジャズにも名盤があるけど、それは機会があれば。
（蛇足としての弁解）
ツェッペリンの『Ⅳ』は大嫌い、パープルの『ファイアボール』も駄作だなぁ。
EL&P、フロイド、ジェネシス、ゴング、ソフトマシーン、GG等も選外。
バンドのキャリアを代表する名盤とはいえない気がしたんですよね。
一方アメリカ系の名盤はほとんどバラカン氏が流しちゃったのです。
ジャニス、ドアーズ、ジョニミッチェルにキャロルキング……
アイザック・ヘイズの『シャフトのテーマ』選んでくれて凄く嬉しかった。
そうそう。以下のバラカン氏の発言に大笑いして拍手しちゃった。
「ナショナリズムの権化みたいなイベントに『イマジン』を流すのは、
僕にはすごく奇妙に感じられました」ですって。大人の発言だなぁ。
